No.31 2007年1月

Loading

鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (44)

トビ(ワシタカ科)Milvus migrans

「トンビがくるりと輪を描いた」という歌がありますが、トビの別名はトンビとも呼ばれています。猛禽類の中でも大型の部類に属します。魚や動物などの遺骸を食べる自然界の掃除屋さんとしてカラスやカモメ類と共に知られています。私が小学校〜中学生の頃には市内でも時々見ることがありました。特に田圃の稲刈り後などで凧揚げをしている時に悠然と飛ぶトビを見る事がありましたが、今は懐かしい記憶である。江ノ島の海岸では数百羽のトビが頭上を舞っていたのに驚いたが、定期的に餌をまいている人がいるらしく、その時間になると集まってくるらしい。以前に山口県の見島でお婆さんが台所の残飯をネコに与えていたところトビが集まってきて、残飯を横取りしたり、小さめのネコには襲いかかったりしていたが、背中の毛を掻きむしられてネコは相当驚いたらしく石垣の下で体を丸めてトビが去るまでじっとしていた。。。。。

自然の記録:

 1月 7日   風の強い日である。埼玉植物園の一部が農地変更となり、介護施設が建設されることになったため植木が全て取り除かれた更地にキジバト6羽、ハシボソガラス、スズメなどが群れていた、植物の種子がかなり落ちているようでよい餌場になっている。

 1月 9日   オナガの声がよく聞こえたが、風が強いためか庭には飛来しなかった。隣家のブロック塀に張り付いたツタにミノムシがぶら下がっていた(桜町6丁目)。隣家の庭から大量にクズのツルが飛んできて困ったが、完全に枯れていたので庭の片隅に堆肥用に置いたら、早速ネコの寝床になってしまった。

 1月10日 オナガ、ヒヨドリ、スズメが庭に飛来するが、カキ、タチバナモドキ、マンリョウ、ヒヨドリジョウゴなどの実を全て食べ尽くしてしまったので去っていった。以前は餌台を置いていたが自然のままにということにした(桜町6丁目)。

 1月13日 鳩ヶ谷市環境フェスタの一環として探鳥会が行われ、辻公園を起点に天神橋周辺の芝川および旧芝川を散策しました。天候にも恵まれ探鳥日和となりましたが、途中から風が出てきたため少々寒く感じました。鳥の方は思ったよりも種類も個体数も出現し、参加者は満足したようです?

出現した野鳥はドバトを含め27種類。鳩ヶ谷市内としては多く見られたと思います。特に鳩ヶ谷市では今まで記録のなかったベニマシコの若い雄が観察でき、皆さん大喜びでした。

出現鳥種: カワウ(2)、アオサギ(1)、カルガモ(9)、コガモ(60)、ヒドリガモ(♂2,♀1)、オナガガモ(♂1,♀1)、キンクロハジロ(3)、セグロカモメ(3)、ユリカモメ(25)、キジバト、ヒヨドリ、モズ、ハクセキレイ、キセキレイ、ジョウビタキ、ツグミ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、アオジ、オオジュリン、カワラヒワ、ベニマシコ、ムクドリ、スズメ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

鳩ヶ谷市桜町の自宅庭でジョウビタキが観察できたことから、今日1日で観察した野鳥は28種類でした。

旧芝川再生によるビオトープにはコガモ、カルガモ、オナガガモなどのカモ類やカワウなどが散策の人たちが近くを歩いていても恐れることなく水辺で休息したり、採餌をしたりしている風景が見られました。探鳥終了後、辻公園から帰宅途中、立体交差点の上を歩いてみた風景は、一帯何処の町であろうかと思わせるくらい変貌した鳩ヶ谷市でした。生物が住める環境はどこに?道路沿いの環境はこれから益々変貌することでしょう。

国道122号線、変電所方面に 東京・大宮線 市役所が見えます
   
中央の大きな建物はゲームセンター 国道122号 鳩ヶ谷駅前の高層マンション

 1月15日 暖かい日であるが、風が冷たい日である。久し振りに家の上空をセグロセキレイが鳴きながら通過した。園芸品種であるがスノードロップが白い花を咲かせてくれた。一昨年は1月29日に開花(14日早い)、昨年は2月7日に開花(23日早い)ので今年はいかに暖かいかが解ります。この温かさを反映してか電気やプロパンガスの使用量が少なくCO2の排出量では260g/1月度、金銭に換算すると約6000円の経費節減したことになる。環境に易しいことは家計にも潤いをもたらすことになりそうだ。旧芝川再生プロジェクトの合流点周辺で、先日の探鳥会に参加された方がカワセミを目撃された。久し振りの記録である。トンボ公園があった頃には時々観察されていたと聞くが、何とか市内にカワセミが生息できる場所がほしいものである。

 1月17日 小雨降る中、ツグミがコンポストで作成した堆肥を蹴散らかしてミミズなどを採餌している。周囲に餌がなくなったので、しばらくは庭で生活をすることになるであろう。ウグイスとメジロが時々訪れるが通過していってしまうのは寂しいものである。サザンカには時々吸蜜に来ているようだが(桜町6丁目)。

 1月18日 久し振りにジョウビタキが庭を訪れたが、ヘクソカズラの実がなくなってしまったので、すぐに移動してしまった。

 1月19日 メジロが二羽、地上から飛び立って隣家のシラカバの木に止まったので何を食べていたのであろうかと思い、行ってみるとマンリョウの赤い実が落ちていた。既になくなっていたと思っていたが風か何かで落とされた実がいくつか地上に残っていたようだ。よく見つけたなと思ったが、もともと庭のマンリョウ3本は鳥(多分ヒヨドリ)が運んできたものであるので、鳥にとっては自給自足かもしれない。

 1月20日 鳩ヶ谷小学校の植え込みでメジロが鳴いていた。氷川神社の保存樹は昭和60年に指定され、20年が経過したが神社の杜として維持されている。市の緑が減少していく中、元気な杜を維持してほしいと思う。特にクスやヒマヤラスギは郷土の潜在植生ではないが、市の緑として位置づけされている。

 1月22日 13日の探鳥会でベニマシコが観察されたのと、当日はカメラを持参しなかったのでカモ類の写真を撮りに出かけたところ、9時頃まで降っていた雨が止んで晴天になったためかカモ類が元気。カルガモ(10羽)、コガモ(♂32、♀42)、オナガガモ(♂13、♀11)、キンクロハジロ(16)、ハシビロガモ(♂1)、いずれも探鳥会の時よりも個体数が増加していました。場所が旧芝川ビオトープなので残念ながらこの記録は全て川口市の記録となりますが、市境にこれだけの多くのカモ類が生息していることはよいことで、散策している人たちはカモ類を脅かさないようにゆっくりと歩いていました。他には探鳥会で観察できなかったイソシギ(1)、ジョウギタキ(1)、がいました。

芝川ではヒドリガモ(♂8、♀10)が川で泳いでいましたが、私の見ている前で岸に上がり芽生えている草を食べていました。

芝川護岸で採餌するヒドリガモ 川岸で憩うイソシギ
   
はばたくカルガモ はばたくオナガガモ♂
はばたくキンクロハジロ ハシビロガモの♂

三ツ和の東武ストアー付近でメジロ2羽が民家の垣で飛び回り、近くの公園付近をオナガが飛んでいきました。帰宅途中、毛長川で川底の生物調査を行っている人たちがいました。綾瀬川と芝川の環境調査を委託された、いであ株式会社の環境調査グループが極楽橋周辺で生物採集をしていました。これらのデータを国土交通省がどのように活用するのか解りませんが、水が綺麗になって各種の生物が増加してほしいと思います。

採集した生物を選別中の調査員  

 1月25日 ジョビタキの雄が久し振りに飛来したが、餌がないためか愛想が悪い(桜町6丁目)。

 1月26日 キセキレイ(1)、メジロ(3)、ツグミ(1)が飛来、マルカメムシが布団の中からはい出してきた。干している間に布団に着いてきたのか、触っても殆ど動かなかった(桜町6丁目)。

 1月27日 見沼代用水と毛長川合流点付近でカワセミを観察した方がいます。今年に入り1月15日(前述)の観察例に続いて2例目となります。

 1月29日 毛長川でカルガモ2羽を観察、カワセミを確認したかったが見つからなかった。

鳩ヶ谷から消えたもの、消えつつあるものたち

ウスタビガ(ヤママユガ科):薄手火蛾、薄足袋蛾、ツリカマス、ヤマカマス、ヤマビシャクなどとも呼ばれる大きな蛾。この写真は土浦市にある宍塚大池で写したウスタビガの繭です。昭和40年代初期までは鳩ヶ谷市内でもケヤキなどの枝先にぶら下がっているのを見たことがあります。葉が落ちた枝先に黄緑色の繭が青空をバックに美しく輝いているのを見たこともあります。旧旭町ではケヤキの木が多く、私の家の裏にはかなりの大木がありました。また、道路脇にも数本のケヤキがありそこには毎年ウスタビガの繭が出来て、よく眺めていました。今、鳩ヶ谷市内を歩き回ってもこの美しい繭を見ることは出来ません。この様な造形の美とも言うべき自然の美しさを見ることが出来る町になればよいなと思うこのごろです。