No.177 2019年3月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (190)

シジュウカラ(シジュウカラ科)Parus majoa

黒いネクタイが太い 雄 黒いネクタイが細い 雌

シジュウカラ(四十雀)はスズメと同じくらいの大きさですが、スズメよりもスマートな体型をしている。背中から翼にかけて青みがかった灰色と黒色、お腹は白色あるいは白っぽい灰色をしています。頭頂部と嘴は黒く、頬にある白い斑紋が特徴です。喉から下には、ネクタイのように黒い縦線が入っており、太ければ雄、細ければ雌と判別することが出来る。全国に留鳥として生息し、意外と身近なところで繁殖しており、我が家の周辺では空き家が多くなり、ブロック塀や電線のカバーなどを利用して繁殖しています。カラ「雀」は小鳥の総称です。冬にはメジロ、ヤマガラ、エナガなどと共に混群をつくり、公園や庭などにきます。「始終空」とごろ合わせで商売人には敬遠されると言われている。

老いの名もありと知らで四十雀 松尾 芭蕉

自然の記録:

平成15年に行われた鳩ヶ谷市の環境基本計画基本調査の報告書では、昆虫類303種類、野鳥・動物などは105種類、植物は316種類の合計724種類でした。2004年から2018年までに鳩ヶ谷博物誌に掲載した生物は昆虫類567種類、野鳥・動物などは171種類、植物は440種類の合計1178種類でした。

 3月 2日 毎年行われている川口グリーンセンターの野鳥観察会に出かけました。参加者は一般市民14名、センター関係者4名で、池の周辺などで工事が行われていたことや池の水がなかったことなどが影響したのか観察された野鳥は13種類と少なめでした。梅林では満開が過ぎたところでしたがメジロ、アトリ、アオジ、シロハラなど、雑木林ではコゲラやシジュウカラ等をしっかり観察することが出来ました。

 3月 3日 朝から冷たい雨が降り、開花し始めた庭の枝垂れウメが重たげに垂れており、ヒヨドリ数羽が飛び交っていました。

 3月 4日 今日も一日中雨となったが庭ではキジバト、シジュウカラ、スズメ、ヒヨドリ、オナガ、ハシボソガラス、ウグイスなどが来ていました。ウグイスはまだ囀らずチャッ、チャッという地鳴きでした。温暖化の影響か、今年は例年に比べてウメの開花が2週間ほど早く「ウメにウグイスホーホケキョ」という構図はなかなか難しいですね。どこでも梅まつりの頃には咲き終わっていました。

 3月 6日 啓蟄(二十四節季)の今日、枝垂れウメの周りをクサカゲロウが飛びび回っていました。夜になって洗面所の隅にザトウムシがいました。以前はメクラグモと呼ばれていましたが名称変更されました。

 3月10日 近所の庭ではシキミ、ミモザ、アミガサユリ、セイヨウタンポポ、ミチタネツケバナ等が開花し始めました。我が家の庭では桃色のヒメオドリコソウ、ホトケノザ、水色のキュウリグサ等が開花しはじめ、ニリンソウやヤブカンゾウも発芽し始めました。

 3月12日 庭の落ち葉の下からマルガタゴミムシの仲間が出てきました。この仲間はよく似ているものがあるのでちょっと見ただけでは特定することが出来ませんでしたが、甲虫類が出てきたのは楽しみです。

 3月13日 市内ではハクモクレン、数種類のサクラ、モモ、乙女ツバキ、オオキバナカタバミ等が開花し始めました。夜になり、洗面所の壁にホソバヒメカゲロウという小さなカゲロウの仲間が止まっていました。全国に分布していて越冬する昆虫です。

 3月15日 隣家の菜の花の周りをモンシロチョウが飛んでいました。安行密蔵院の安行桜が開花を始めたとの情報があり出かけたところ、すでに7分咲きとなり花見客もかなり来ていました。例年より10日ほど早い気がします。隣接する林に続く草地ではツクシも伸びていました。近くの万葉植物園ではヒキガエルの卵塊から小さなオタマジャクシが沢山出ていました。園芸種のキクザキイチリンソウやヒメミズバショウも開花していました。

開花した密蔵院の安行桜
伸び始めたツクシ ヒキガエルの卵塊 キクザキイチリンソウ

 3月19日 昨日からの暖かさの影響か庭のクサイチゴが10株ほど開花しました。昨日まで開花していなかった裏庭のレンギョウも一斉に開花したので驚きました。

 3月22日 江川沿いの岸辺ではセイヨウカラシナ、ムラサキハナナ(ショカッサイ)、カントウタンポポ(8株)、ミチタネツケバナ、ナズナ、コハコベ等が開花していました。我が家の庭ではシャガが開花しはじめました。ジョウビタキの雌が2日続けて飛来、今日は雄も来ていました。そろそろ北帰行の時期かもしれません。(ジョウビタキは1983年に北海道の糠平で繁殖した記録があり、その後は2010年に長野県、2016年から2018年に岡山県、鳥取県などで繁殖が確認されました。)

 3月25日 旧芝川を散策、オオカワジシャが開花し、カワジシャも発芽していました。ソメイヨシノはどこでも2分咲きから3分咲きになって、今週末が盛りとなりそうです。川の中には大きなコイやミシシッピアカミミガメ(100頭<)に交じりイシガメがいました。モンシロチョウ、モンキチョウも飛んでおり春の小川の雰囲気でした。緑町ではカントウタンポポ(5株)、辻ではカントウタンポポ(32株)、交雑タンポポ(4株)も咲いていました。辻のバス停そばの田んぼではレンゲの花が開花しており、市内では珍しくなりました。里中学校付近の見沼遊歩道ではカントウタンポポ1株、交雑タンポポ130株が開花していました。

レンゲの群落 開花したレンゲ フキの花

レンゲ田の後背地には江戸時代には鳩ヶ谷からも大量に江戸の町に出荷されたという禅師丸柿(1214年の鎌倉時代に川崎市の星宿山王禅寺の山中で発見された品種といわれており、800年以上の歴史を持つ品種です)があります。市内でも少なくなった田園風景が残る一角です。暖かくなってきたのでウグイスやホオジロも囀り始めました。

囀るホオジロ 禅師丸柿の畑

 3月29日 どんよりとした花曇りの寒い一日でした。西立野にある西福寺のソメイヨシノもかなり開花していました。サクラの木は昔に比べて少なくなりましたが古木があるので大きく枝を広げていました。どこのサクラも5分から7分咲きの所が多い感じでした。ここ数日気温が低いようなので4月初旬が満開となりそうです。法性寺の陽の当たる斜面ではタチツボスミレの小群落、コンフォール東鳩ヶ谷の敷地内ではカラスノエンドウが開花しました。

 3月30日 すでに渡去したと思っていたジョウビタキの雌がまだ残っていました。庭ではクサイチゴが満開となりキケマンが開花し始めました。

西立野・西福寺の三重塔とサクラ

地球温暖化を考える(129)

川口市立グリーンセンターと野鳥

川口市のグリーンセンターは、昨年50周年を迎えた。1967年11月1日「グリーンセンター川口市立花木植物園」として開園し、1979年に現名称に変更された。「都市農業の振興」「緑地の保全」「市民のレクリエーションの場の提供」を設置目的として設立され、当時は以前からあった雑木林が自然のままの状態で維持されていたが、近年は下生えがきれいに除草され林内が明るくなってしまいました。約15ヘクタールの園内には、大芝生広場・つつじ山・花壇・ロックガーデン・菖蒲園などの施設に様々な植物が植栽されており、川口市安行地区で栽培された植木の展示や販売も行われている。

開園2年後の1969年から1978年までの10年間に亘って、川口市内で活動していた川口野鳥の会(鳥海歓彦会長)の指導で市民を対象に探鳥会が行われていました。午前7時から9時までの開園前に道合子供会を中心に多い時は50名を超えるほどの人が集まり、雨天を除いて毎月1回開催していました。その後は不定期に埼玉県生態系保護協会川口支部が中心となり継続されていたこともありますが、現在は5年前より1回/年探鳥会が行われています。1969年から1978年までの鳥の記録を見ると水辺の鳥の記録が多くみられましたが、現在は池があるものの水辺の鳥はほとんど見られなくなりました。自然林の減少による環境の変化とともに飛来する野鳥の種類も減少しているようです。現在までに観察された野鳥は90種類になりました。グリーンセンターの自然林は3000羽以上のカラスの塒になっていたこともありますが、最近は個体数が減少しているようです。自然の雑木林は野鳥のみでなく昆虫類にとっても重要な場所ですが、公園管理の面から除草や剪定作業が定期的に行われているために生物相が貧弱になっているのが残念です。