No.153 2017年3月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (166) 

オシドリ(カモ科)Aix galericulata

オシドリは俳句では冬の季語となっている。繁殖羽の雄は色とりどりの複雑な羽色をしており、特に三列風切羽は銀杏羽とも呼ばれオレンジ色をしている。この羽を俳句では剣羽、思い羽とも言う。

他のカモ類に比べて、オシドリの雄は派手な存在である。雌は全体が灰褐色をしている地味な色であるが、眼の周りにメジロのように白い輪があり目尻から後頭部にかけて線状に伸びている。ドングリの堅い実を好んで食べる。

一般的には冬鳥であるが本州、四国、九州の山地や森林地帯の水辺の木の樹洞や人工の巣箱などで繁殖する。埼玉県内では冬でも見ることが少なくなった。川口市内では過去に西立野の三重塔付近にあった小さな沼地で数年間越冬していたが、近年は芝川第一調節池で稀に観察される程度である。

飛騨の高山市では、昭和30年代には城山から日枝神社にかけて28個の巣があったが、平成2年には8個に減少したという。オシドリは高山市を代表する鳥でもあった。

 

静かさやをしの来ている山の池  正岡 子規

 

人避けて川のまなかに泳ぎだし鴨はいささか流されにけり 松村 英一

 

自然の記録:

 3月 1日 コンフォール東鳩ヶ谷バス停付近の芝地で、ロゼット状の葉の間から短い茎の先に花をつけたセイヨウタンポポがありました。丁度日だまりになっていたので開花したようです。

 3月 3日 ひな祭りの今日は暖かい一日でしたが、風がかなり強いところもあり夕方は特に強い風が吹きました。ホトケノザが咲いていた草地ではモンキチョウ2頭が飛び交っていました。

 3月 4日 グリーンセンターで探鳥会が行われました。参加者18名

サンシュウ、アンギョウヒカンザクラ、ヒガンザクラ、マンサク等が満開でした。

早朝家の上空をシメが飛んでいきました。そろそろ、北帰行の時期ですね。

 3月 5日 2時間ほど旧芝川周辺を散策しました。モンシロチョウ、モンキチョウ、キタテハが飛び交い、セイヨウカラシナの花が咲き始め、花の咲いていないセイヨウカラシナや芽生えたばかりのギシギシの葉を採っている人たちを大勢いました。カモ類は少し減少しているようでしたがヒドリガモ、オナガガモ、コガモ等はまだ残っており、汐入橋付近ではスズガモの雌が残っていました。他にはカルガモ、セグロカモメ、ユリカモメ、オオバン、バン、イソシギ等の水鳥類やキジバト、ツグミ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、メジロなど29種類の野鳥が観察できました。ミシシッピアカミミガメ、イシガメなども甲羅干しをしていました。すっかり春の雰囲気です。

さて、モンシロチョウの初認記録ですが、1958年に出版された「日本の季節 動物編」この当時の記録では、紀伊半島、四国、九州の南部では2月末から3月上旬にかけて、愛知県で3月10日前後、関東地方では3月末から4月10日頃が一般的であったようです。その頃と比べると1ヶ月近くも早くなっています。それだけ暖かくなっていると言うことでしょう。

舞いもつれ吹きもつれつつ蝶二つ たけし

 

 3月 8日 市内各所でウメ、モモ、アンギョウヒカンザクラ、コブシ、ミモザ等の花が開花しました。春の花ではあるものの、昔は少しずつ開花期がずれていて季節の移ろいを感じさせてくれました。我が家のブロック塀の外ではオニタビラコが開花し、ナガミノヒナゲシが茎を伸ばしています。芝川第一調節池ではウグイスの初鳴きが聞かれました。

ハルノノゲシ             
新朝日橋袂近くに営巣中 五右衛門橋袂近くに営巣中

 3月 9日 暖かい一日であった。カラスノエンドウが開花している場所が数カ所見られた。辻の交差点付近の電線にツバメが止まっていました。今年初認で、関東地方では早すぎるのではないかと疑問に思った人もあるようです。自然の世界は変わったことがあるから面白いのではないかと思いますが。前述した「日本の季節動物編」によれば、1958年代のツバメの初認は九州南部で3月上旬、関東地方では4月上旬に記録されています。最近の記録でも川口市周辺では毎年営巣する家の近くに来るのは4月上旬が多いようです。

 3月13日 家の周辺ではキュウリグサ、ナガミノヒナゲシ、ヒュウガミズキ等が開花し始めました。ジンチョウゲの花も咲き始めたようで、どこからかよい香りが漂って来ました。ジンチョウゲの漢字名は「瑞香」と書くようです。

 3月14日 庭隅からシロハラが飛び立ちました。落ち葉をひっくり返して餌を探していたようです。

隣家の庭先ではバイモ(アミガサユリ)やシキミの花が満開です。

 3月15日 今日は庭にアトリの若い雌が1羽飛来して、ハコベの種子を頻りに啄んでいました。我が家に飛来した54番目の野鳥となりました。5分ほど採餌していましたが、強い風が吹いて身を潜めたかと思う矢先に飛んでしまいました。三光稲荷の植木畑ではサンシュウが満開となり、植木畑全体が黄色く染まっていました。

アトリの雌 トサミズキの花
ハコベを食べるヒドリガモ サクラを吸蜜するヒヨドリ

 3月22日 日当たりのよいところではソメイヨシノの花が一輪、二輪咲き始めたところがありました。ボケ、レンギョウ、ユキヤナギ、トサミズキ、ハクモクレン、コブシ等も咲いており、

コンフォール東鳩ヶ谷の敷地内ではノボロギク、セイヨウタンポポ、ハルジオン、カラスノエンドウ、キュウリグサ等も開花し始めました。今年初めてのルリシジミも数頭見ることができました。 

 3月23日 16時頃に庭のウメの木でスズメが騒いでいるので外へ出るとツミの雌がスズメの群れを襲っていたが複雑なウメの枝に邪魔をされて捕まったスズメも何とか難を逃れツミは飛び去った。我が家でツミを見るのは4度目であるが、いつも襲われるのはスズメの群れが集まっているときである。

 3月24日 庭のシャガが花芽をつけ、クサイチゴの白い花が数輪開花しました。

 3月25日 安行原にある密蔵院のアンギョウザクラは開花が早くすでに散り始めて葉が出ていました。今年は彼岸の時期が満開で一番よかったようです。隣接する林の池ではヒキガエルの卵塊がありましたが例年に比べかなり少なかったようです。イチリンソウ自生地に隣接する万葉植物園の池でもヒキガエルの卵塊がありましたが、こちらは卵塊の中に黒いオタマジャクシが見え始めていました。林の下草の中でシュンランやキクザキイチリンソウ等が開花し、万葉植物園の一角にあるリュウキンカが満開となっていました。周辺の植物園や植木畑ではツツジやジンチョウゲ、ミツマタなどの花も開花していました。ハクモクレンやコブシは散り始めているところもありました。

キクザキイチリンソウ(園芸種) シュンラン リュウキンカ
バイモの花(拡大)  バイモの花 シキミの花

 3月29日 旧芝川を散策、カモ類はほとんど北の国へ移動したようですが、ヒドリガモ(雄9羽、雌11羽)とコガモ(雄7羽、雌11羽)が残っていました。その他の野鳥の数や種類数も減少していました。アブラコウモリ(イエコウモリ)1頭が青木水門の当たりを飛んでいました。ミシシッピアカミミガメ(40頭<)、モンキチョウ、モンシロチョウ、キタテハ、ルリシジミなども飛んでおり、セイヨウカラシナの群落が見事でした。タガラシやオオカワジシャ(ヨーロッパ〜アジア北部原産の外来種)の花も開花していました。オオカワジシャは河川改修の時に持ち込まれたものが、増殖しました。その代わりにカワジシャが消失したようです。ソメイヨシノは初めて花を見てから一週間経過しても何処の場所も1分から2分咲きでした。

 3月30日 庭のモクレンが一輪だけ花をつけました。ウメの木では毎日スズメが賑やかに争っています。繁殖期に入ったようで雄が数羽の雌を追いかけているようです。全国的にスズメが減少しており、鳩ヶ谷市内でもスズメの姿を見る機会が少なくなりましたが、春のこの時期と秋のカキの実がある時期だけは我が家の庭でまとまってみることができます。

 3月31日 朝から家の庭にオナガの群れが何度か来ましたが、ドアを開けた途端に飛び立っていきました。どうやらカキのヘタをつついていたようです。オナガが去った後はスズメが戻り賑やかにしていました。

時々ツマグロオオヨコバイも飛んでいます。シャガの花も一輪開花し始めましたので数日以内に他の花も開花しそうです。本町2丁目の樹林でウグイスの囀りを聞くことができました。町中でウグイスの声を聞いたのは今年初めてです。

セイヨウカラシナとモンシロチョウ オオカワジシャの花
ゴミの中のハクセキレイ タガラシの花

 

地球温暖化を考える(106)

川口市赤山歴史自然公園

川口市の歴史自然公園と平行して工事が行われている火葬場の外観が出来上がってきました。写真奥に見えるのが外郭環状線の高速道路です。将来、池や湿地となる場所でもかなり工事が進んでいますが、残念なことに今まであった湿地の植生が埋め立て工事によってどの程度回復できるか疑問です。池ができればそれなりの景観としては見栄えのあるものにはなるものと思われますが、貴重な湿地性の植物が失われたことは残念です。それでも将来緑地として残るので何とかよい生態系になってほしいと思っています。みどりのある暮らしをうたい文句に販売している宅地もありますが、近隣の植木畑が宅地造成されていくので、いずれは安行の植木も減少し緑地としての面積は格段に低下していくことでしょう。

おそらく、数十年後には川口市の緑地面積も旧鳩ヶ谷市のように目に見えて減少し、気温も上昇し東京同様に砂漠化していくことでしょう。

大池から見た火葬場の工事現場 首都高速道路側から見た火葬場の工事現場
将来は池と湿地になる工事現場