No.96 2012年7月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (110)

カッコウ(ホトトギス科) Cuculus canorus

カッコウは姿よりも、カッコウ・ワルツなどで良く知られているカッコウ・カッコウという特徴的な鳴き声で良く知られています。実はこの仲間のホトトギス、ツツドリ、カッコウの3種類は姿形がよく似ていますので、姿を見ただけでは識別が難しいのです。その代わり声の方は、とても解りやすい声で鳴きます。日本へは夏鳥として飛来し、高原や北海道などで繁殖します。鳩ヶ谷の市内では毎年5月の中頃に通過する時に声が聞かれますが、川口市から埼玉市にかけての見沼田んぼでは繁殖しているところもあります。芝川第一調節池周辺ではオオヨシキリが沢山繁殖していますので、カッコウはオオヨシキリの巣に托卵しているようです。オオヨシキリの巣に卵を産んで雛が孵ると、オオヨシキリの卵や雛を巣から落として、餌を独り占めにして大きくなり巣立っていきます。しかし、今年はあまりカッコウの声を聞かないので繁殖しているのかどうか疑問です。飛んでいる姿は小型のワシタカのような感じです。

自然の記録:

7月1日 久し振りに湧水公園の旧ふるさとの森斜面林の竹林へ入ってきました。竹林の絨毯のような土の感触がとても気持ちがよかったです。林内の植物層は貧弱でしたがヒヨドリジョウゴ、ドクダミ、ヨウシュヤマゴボウ、トキワツユクサ、ミズヒキ、クズ、ヤブガラシ、ヤブマオ、カナムグラ、クサギ等が繁茂していました。ヤブマオではアカタテハの幼虫が数頭見つかりました。先日の台風の影響で銀杏の枝がかなり折れていましたがカブトムシの養殖のため枯れ枝を集めておきました。少し前にはアオダイショウもいたようです。

7月2日 雨の中庭のヤブカンゾウが一輪開花しました。オレンジ色の花が雨に濡れてとても綺麗でした。雨が止むと同時にアゲハチョウが花にとまっていました。

7月4日 夕方になるとウメエダシャクに混じりカノコガも飛ぶようになりました。

7月5日 庭ではボタンクサギのピンク色の花が開花しました。毎年、刈り取り作業を行っていますが根が蔓延って今年は80本に増えています。ユズの葉にはクロアゲハが頻繁に飛来し産卵していました。また、トウキョウヒメハンミョウが数匹飛び回っています。これから個体数が増えてくると思います。

湧水公園の斜面林ではヤブミョウガ、ツユクサ、ノゲシ、オシロイバナ等が開花していました。

ボタンクサギ ヤブカンゾウ

7月7日 今日は七夕様ですが生憎の天気でした。雨の止み間に庭へ出てみるとツユクサの葉にアカクビボソハムシ、ニジュウヤホシテントウ、トウキョウヒメハンミョウ等が集まり、サクラタデの花にヤマトシジミが飛来しました。

7月8日 午後になって晴れ間が出ましたが、庭のクコの葉にトホシクビボソハムシ、ツユクサの葉にはアカクビボソハムシ、ルリクビボソハムシ、ヒメツチカメムシ等が飛来しました。

7月9日 久し振りに湧水公園でカワセミを見ました。民家のアンテナにとまり、飛びたったと思ったら池面にダイビング、その嘴にはモツゴを捕らえ近くの工事用フェンスに留まりました。数回モツゴを鉄骨に叩き付けて飲み込みました。そして、飛去したのかと思ったら同じ場所に戻ってきました。

庭では久し振りにナガコガネグモとヤモリを観察しました。

フェンスに留まるカワセミ  アンテナに留まるカワセミ

7月13日 昨夜からの強い降雨は止んで、庭先をナガサキアゲハが飛んでいました。夕方にはツマグロヒョウモンの雌がトマトの葉に飛来しました。

湧水公園は昨日の雨のおかげで、浮いていたヘドロが殆ど流失したようです。目立ったのはメダカ、ウシガエル、コイ、アオスジアゲハ、ツマグロヒョウモン、ショウジョウトンボ、シオカラトンボ、コシアキトンボ、等でした。

7月14日 昨夜の雨で旧芝川もかなり増水した様子で、多くのゴミが流れていました。クロベンケイガニが増加しており、子供達の恰好の遊び場所になっています。野鳥は少なく、昆虫類ではナミアゲハ、クロアゲハ、ツマグロヒョウモン、ウラナミシジミ、オオスカシバ、シオカラトンボ、シオヤトンボ、ショウジョウトンボ、コシアキトンボ等が目立ちました。ミシシッピーアカミミガメは甲良の大きさが30cmを越えるものも数頭含め20頭以上が確認できました。釣り人の容器にはマブナ、カダヤシ、アメリカザリガニ等が入っていました。五右衛門橋付近では2m近い長さのアオダイショウが日向ぼっこをしていました。

植物ではハギの花が6分咲き、フトイ、ヒメガマ、ヌマガヤツリ、ユウゲショウ等が優占していました。湧水公園ではオニヤンマが飛んでいました。真夏日となったためムクドリの若鳥がフェンスに留まって大きな口を開けていました。よほど暑かったのでしょう。

7月17日 真夏日が続き、10時過ぎに庭の物干しに温度計を10分ほどおいたところ48℃、カキの木の下では33℃、家の中で33℃でした。直射日光にあたっていると熱中症になるのは当然という感じです。埼玉県では昨年からクールスポットを選定しました。身近な涼しい場所で過ごすのも節電対策になります。涼しいところへ行くまでが暑いので涼しさが倍加する感じがします。湧水公園の藤棚の下にいるだけでも5℃は違います。

こう暑いと蝶もばてるのか、カキの木の下においてあるクンシランにカラスアゲハの雄が飛来し、飛びたっても3度同じ場所に戻り、玄関に入る私の後をついて入ってきました。その他、クロアゲハ、ナミアゲハ、キチョウも同じ場所に飛来しましたが通過しました。

家の近くの道路上にはタマムシの遺骸がありました。なかなか姿を見るのも難しくなって来ましたが、まだ生息していることが確認できました。

7月18日 午前中、湧水公園斜面林の下草刈りを行いました。外気温は軽く36℃を越えていましたが、竹林内は30℃で、中にいると暑さを感じませんでしたが、草刈り作業の間に観察された昆虫は、クロアゲハ、ナミアゲハ、キアゲハ、キタテハ、コミスジ、キマワリ、キオビベッコウ等でした。我が家の庭ではキンミズヒキ、ミズヒキソウ、カラスウリの花が開花しました。

7月19日 15時頃庭に出てみると玄関前のカキの木にノコギリクワガタの雄が留まっていました。

市内で見るのは数十年ぶりのことでしたので、童心に返り一寸興奮しました。市内の数カ所でカブトムシの仲間を呼ぶために枯れ木を積んでおいたりしていますが、その効果が出てきたのかは不明ですが、自然環境がなくなっていく中で少しでも昆虫類が増えればよいなと思っています。子供の頃は当たり前にいた生き物を復活させたいという小さな夢です。

タマムシ ノコギリクワガタ カラスアゲハ

7月22日 ここ3日間ほど肌寒い日が続いていましたので、節電にはよかったのではないかと思います。庭のノコギリクワガタは4日間もカキの木に居着いています。涼しいせいか昆虫類は少なく、庭で見られるのはクサギカメムシ、ハラビロカメムシ、チャバネアオカメムシ、マルカメムシ、ホオズキカメムシ、コミスジチョウ、ヒメウラナミジャノメ等でした。5種類のカメムシは庭で繁殖し、毎年子孫を増やしています。

7月23日 4日ほど降ったり止んだり涼しかったので湧水公園のヘドロは消失し、数本の水路も綺麗な水が流れていました。オモダカやコナギも順調に生育し、アサザも数カ所に落ち着いたようです。クロスジギンヤンマ、ショウジョウトンボ、コシアキトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボが水辺を飛び回り、クロアゲハ、ナミアゲハ、モンシロチョウが飛び回っていました。久し振りにダイコンハムシや背中に沢山の子グモを背負ったコモリグモを見つけました。ハクセキレイの巣立ちビナ、ヒヨドリ、スズメ等が観察できました。

裏庭ではオオセンチコガネとクロコガネの遺骸にアリたちが群がっていました。

八幡木2丁目のN氏より、八幡木のレオパレス付近でアカボシゴマダラを捕獲したとの情報をいただきました。

7月27日 10日前にカラスアゲハの雄が飛来しましたが、今日は雌が飛来しました。家の近くには幼虫の食草であるコクサギは見あたらないので、何かミカン科の食草を利用しているのかも知れません。ようやく、ニイニイゼミの初鳴きを庭で聞くことが出来ました。

7月28日 湧水公園でミンミンゼミ、家の庭でアブラゼミが初鳴きしました。プランターのトマトにはクロメンガタスズメの幼虫3匹が大きく育っていました。その他にはクロアゲハ、アゲハチョウ(ナミアゲハ)、ルリタテハ等が飛来しました。

7月29日 今日はキタテハが飛来しました。ここの所日替わりで各種の蝶が来てくれるので楽しみです。小さな庭ですが生えるに任せているため蝶の飛来も多いようです。今年になって飛来した蝶は20種類になりました。

7月30日 アオスジアゲハ、アゲハチョウ、クロアゲハ、キタテハ、ヤマトシジミ等、ここ数日の庭の常連になっています。アブラゼミもようやく夏らしい鳴き声になりカキの木で数匹が賑やかに鳴き出しました。

7月31日 今日も、室内は午前8時で32℃を越えました、殆ど風がないので蒸し暑さ抜群です。毎日、サウナ風呂に入っている気分で生活しています。空を見上げても積乱雲の陰もなく雨はいっこうに降る気配もありません。

ゴミ箱の陰に10cmほどのカラスヘビ(シマヘビ)がいました。今年も我が家の庭で孵化したようです。毎年観察されるので住みついていると思うのですが見かけるのは年に数度程度です。市内でも少なくなっているヘビですが生態系の一因として欠かせない物です。

狭い庭でも植物の遷移は毎年ありますが、ピンク色のフヨウの大輪が一つ開花しました。昨年からボタンクサギ、ドクダミ、シャガ等の根が蔓延り庭を占領しています。

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 61

ヤブキリ(バッタ目キリギリス科)

背中が茶色のキリギリスの仲間で前脚にトゲを持っています。セミなど、大型の昆虫を襲うこともあり、人でも噛まれると結構痛い思いをします。丈の高い草原から、高い樹上に棲んでいるのと、体色が緑色をしているので見逃しやすい。鳩ヶ谷の町中では彼らが生息できるような草地がないことが問題です。稀にオギなどの草が伸び放題の空き地があっても、安全管理上すぐに伐採されてしまいます。一部ずつでも良いから草地を残すような刈りかたをして貰えると彼らの姿を見る機会も増えるのでしょうが。

 

地球温暖化を考える(52)

 

仮称・はとがやの湧き水の里に関連して(14)

 

●    後背地斜面林の草刈り作業

数年前までは湧水公園に隣接した斜面林は「埼玉県のふるさとの森」に指定されていましたが、解除後は鳩ヶ谷市の保存樹林、合併後は川口市の保存樹林の指定を受けています。

この度、地権者の理解を得て、斜面林の利活用が出来るようになりました。とりあえず、7月18日に斜面林の草刈りを行いました。

クズやカナムグラの蔓が蔓延っていましたので、ツル性植物の除去に手間取りましたが、ドクダミ、ツユクサ、トキワツユクサ、ミズヒキソウ、ヒカゲイノコヅチ、ウラシマソウ、ヒヨドリジョウゴ、ヨシュヤマゴボウ、マンリョウ、クサギ等の植物を観察しながら作業を行いました。

外気温は軽く36℃を越えていましたが、竹林内は30℃で、中にいると暑さを感じませんでしたが、流石に作業を行うと汗だくになりました。帰宅後体重を測ったら1kg減少していました。1g近くの水分は補給していましたが、上着と作業ズボンは白い粉がふいていました。

この樹林地には樹齢400年を越えると言われる大銀杏とケヤキやスダジイの大木が数本あります。これらの大木や竹林が湧き水の地下水を蓄えてくれています。小規模ながらも水源涵養林の役目をしてくれています。このような林を数百年も維持されてきた地権者の苦労は大変なものであると思います。生物多様性の重要性が叫ばれ、気候変動が進む中で市内の貴重な緑地帯であり永続的に維持して欲しいものです。

比較的明るい竹林 大銀杏周辺の草刈り作業
下草刈り後のイチョウの若木(手前の緑)  草刈り前の斜面林