No.60 2009年6月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (73)

ヒバリ(ヒバリ科) Alauda arvensis

菜の花が咲き始め、麦の芽がそろそろ伸びてくる頃、長閑な空へ舞い上がって「春こそ我がもの」とでもいうように、空いっぱいに鳴き立てるヒバリ。見上げるとヒバリは空中の一点でぴかぴか光って細かく翼をふるわせながら囀っています。さも、ここが俺様の縄張りだとでも言わんばかりに。

昔はヒバリが囀る風景には緑色の麦畑があったものですが、最近は殆ど見られなくなりました。

4月に入り太陽光線が強くなってくるとホルモンの刺激を受けるのか、縄張り争いと共に雌の奪い合いが始まります。春から夏にかけては、よく囀っているので、その存在を知ることができますが、冬の間はビルッ、ビルッというような地味な声なので目立ちません。けれども、小春日和の暖かい日中には冬でも囀ることがあります。しかし、鳩ヶ谷市内ではヒバリの囀りどころか姿を見ることもできなくなりました。これが、鳩ヶ谷市の発展の現実なのです。


自然の記録:

 6月 1日 5日ぶりに何とか晴れ間が見えるようになり、スジグロシロチョウ、ヒメジャノメ、ルリシジミなどが庭を飛び回っていました。

 6月 2日 物干しに絡んだヘクソカズラの葉が坊主になっていると思ったら、黄色い色をした体のチャイロハバチの幼虫が蔓に数匹絡まっていました。カノコガも数匹が飛び始めました。

本町3丁目のMさんより自宅付近でアカシジミの観察をしたとの情報がありました。市内のアカシジミの記録は昭和40年代までで、それ以後の記録はありませんので、嬉しい記録となりました。

 6月 4日 鳩ヶ谷小学校の校内の生物を観察したところ、サンゴジュの葉がボロボロになっていたので近づいてみるとサンゴジュハムシが大量発生していました。また、色々な木にアワフキムシがついており、泡の中ではセミに似たアワフキムシがじっとしていました。

斜面林では枝の剪定が行われていましたが、ヒカゲチョウ2頭が飛んでいました。構内は斜面林があり、遊歩道が設置されていますので自然観察には良い環境が整っています。

各教室のベランダでは、ゴーヤ、キュウリ、トマトなどの野菜や草花を育てていますので、緑のカーテンができつつあります。また、バケツを利用して稲の栽培などもしています。

キイロガガンボ チャイロハバチの幼虫 サンゴジュハムシ

 6月 6日 羽化したばかりと思われるヒカゲチョウが庭に飛来、毎年出現するので我が家か隣家の庭で羽化しているのではないかと思っています。ピンク色のハゼランが開花しました。本町2丁目のアパートの隅でアメリカオニアザミが1.5mに成長し、鋭いトゲが伸び緑色の蕾を沢山つけていました。

ハゼランの花 ナミギセル ヒロオビトンボエダシャク

 6月 9日 クマケムシのように黒いアカハラゴダラヒトリという蛾の幼虫2頭が月下美人の鉢の周りを歩いていました。月下美人も漸く花芽をつけるようになりました。

 6月12日 庭木の周りをオレンジ色の長い尾のヒロオビトンボエダシャクが飛び回っていました。この時期に発生するようで、各地で姿を見るようになりました。ここ数日コガネムシの仲間オオクロコガネの姿も散見するようになりました。

 6月15日 本町2丁目の市民農園でハキダメギク、シロザが蔓延っていました。その周辺ではキアゲハの雄が元気に飛び回っていました。

通学途中の小学生が籠を持って歩いていたので見せてもらったところキャベツの葉にアオムシ数匹と蛹がいました。家の近所で採ってきたと嬉しそうに話していました。恐らく学校で観察するのでしょう。

本町2丁目にある樹林ではオナガの声が頻りに聞こえてきます。例年、この地でオナガが繁殖しています。道路の上あたりに覆い被さってきている樹木の中で営巣しているものと思われますが、フジヅルなどが絡み合っているため巣の位置がわかりにくくなっています。流石に良いところに巣を作るものだと感心しました。

 6月16日 ブロック塀をカタツムリの仲間のナミギセルが細長い貝を背負って歩いていました。ナメクジは至る所で徘徊。ナガゴマフカミキリが枯れたキョウチクトウの幹に止まっていました。胴体が殆ど食べ尽くされて羽のみが残ったキイロスズメの残骸を沢山のアリが運んでいました。

 6月17日 鳩ヶ谷小学校の斜面林でオナガとキジバトがそれぞれ2羽づつ飛んでいました。恐らく何処かに営巣しているもの思われます。自宅庭の桜の木にキマワリ、月下美人の葉にナガゴマフカミキリ、ヤマイモの蔓にブチヒゲカメムシが止まっていました。

 6月20日 ドクダミの葉にヨツボシハムシ、ジャガイモの葉にムシヒキアブが止まっていました。隣家のアンテナでシジュウカラが元気に囀っていました。裏の家の庭からヒヨドリジョウゴ、クズ、ヨウシュヤマゴボウ、ノイバラ、キケマンなどが垣根を越えて侵入、毎年のことですが草刈りが大変です。環境のためにはそのまま放置しておきたいのは山々ですが、昆虫類が多く飛来するので楽しんでもいるので、難しいですね。

 キマワリ  ナガゴマフカミキリの顔 ヨツボシハムシ

 6月21日 このところ家の周りにいろいろな蜘蛛の巣が張り巡らされ、通行の度に顔や頭に絡みつきます。蜘蛛の巣の殆どがジョロウグモ、オニグモ、タナグモの仲間、家の隅や天井の片隅にはオオヒメグモの巣があり1cm程の卵塊があります。そのうちに蜘蛛の子を散らすが如くの言葉通り、沢山の小さなクモが出てくることでしょう。

隣家の屋根裏では2か所でムクドリが繁殖し、巣立ちビナの声が賑やかです。この家では庇の下のベニヤ板が剥がれて、その隙間からムクドリが出入りしています。今年で3年目になりますが、当分安住できそうです。

 6月22日 雨が小やみになった頃、玄関先にハラビロトンボが飛来しました。先日のムギワラトンボに続いて2種目のトンボです。

オオヒメグモと卵塊 エナガワムシ ×100   動・植物プランクトン

 6月25日 6月から鳩ヶ谷小学校の理科支援員として通っていますが、今日は解剖顕微鏡の使い方の学習でしたので、デジカメ持参で行きました。光学顕微鏡を用いて池の水を覗いたところ沢山のプランクトンがいました。よく泳いでいるのがヒルガタワムシやエナガワムシの仲間。その他、アメーバ、線虫、珪藻類などが見えましたので顕微鏡写真を撮ってみました。鏡筒とカメラを固定するためにトイレットペーパーやアルミホイルの心を使って作成し撮すことができました。顕微鏡の世界も楽しいものです。

 6月26日 郷土資料館から氷川神社へ向かう路地脇でカラムシの小群落があり、そのうち2枚の葉が丸められていたので中を覗くとアカタテハの小さな幼虫が入っていました。

先日庭で見かけたハラビロトンボの雌が郵便受けの下で骸になっていました。庭ではヤブカンゾウとトケイソウが開花しました。

桜町6丁目の中央病院付近でウグイスが盛りに囀っていました。

 6月27日 台所裏の庇にコガタスズメバチがとっくりを逆さにしたような巣を作りました。展覧会に出品したくなるような良いでき映えで模様もきれいです。

 6月29日 黒い体に胴の部分にオレンジ色が目立つオオモンクロベッコウ(蜂の仲間)2頭が、ここ数日庭を飛び回りクモを狙っています。また、雨の水たまりにビロードコガネが落ちてもがいていました。ここ数日は15cmほどのミミズが数匹動き回っています。

夜になり洗面所の天井をオオナミザトウムシが徘徊していました。ザトウムシの仲間は以前メクラグモと言われていましたが、名前が変更になりました。

コガタスズメバチの巣 ヒルガタワムシの仲間 ×100

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 24

エダナナフシ

まるで宇宙人のようにも見える、細長いカマキリのような昆虫です。枯れた木の枝に止まっていると殆ど見分けがつかないくらい擬態となっています。子供の頃は見つけるとおもしろがって遊んだが、最近は見ることがなくなりました。生物多様性が叫ばれる中、この様な生物がいつの間にか消えていくことは寂しいことです。

 

地球温暖化を考える(16)

 今回は、鳩ヶ谷市と川口市域を流れる旧芝川の河川工事を観てきました。以前に改修して自然的な護岸になり、漸く野鳥や各種の昆虫などが生息し始めたと思ったら低河川敷の改修と河川内のヘドロ除去の工事が始まり、河川敷内は最初からやり直しになりました。おまけに護岸に育成し始めた野草を全て抜き取って、外来種の植物を植えていました。まるで屋上緑化をイメージしたような護岸工事。

 いずれ、クコ、ギシギシ、スイバ、セイヨウタンポポなどに変遷していくことでしょうが、この工事のために1億円近くのコストがかかっているそうです。緑と清流の何かが違うのではないかと思わざるを得ない工事現場でした。一応、この工事は6月30日迄の予定です。今回の工事を行っても、恐らく水質が良くなるのはヘドロが減少した一時期だけのことと思われます。市内から流入する家庭用雑排水や工場からのヘドロを含んだ汚水の排水制限が行われない限り清流が戻ることはないでしょう。工事中も県や市の関係者が視察に訪れていましたが、先のことまでは考えてはいなかったのではないかと思われます。

 一方、周辺地域の小・中学校では旧芝川の環境を利用した環境教育が行われています。生物調査や水質検査あるいは浄化設備に関する実験など、この様な環境教育が持続することにより一歩でも前進するのではないかと思います。

工事中 工事前
工事中          工事前の環境 キンクロハジロ
朝日橋付近の改修工事中 朝日橋から見た改修前
子供会の子供達が描いた河川イメージ