No.124 2014年10月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (137)

エゾビタキ(ヒタキ科)Muscicapa griseisticta

 エゾビタキはヒタキ科の仲間コサメビタキ、サメビタキと共に旅鳥として低地から低山の林に渡来し、特に秋に多く見られます。大きさはスズメと同じくらいですが、スズメに比べて体型がスマートなのでかなり小さな小鳥に見えます。3種類ともよく似ていますが、喉からお腹にかけて黒い縦斑が密にあります。後ろから見ると大雨覆と呼ばれる羽の白色部分がよく目立ちます。若鳥は成鳥よりも上面の色が濃く、下面の黒斑も著しい。ミズキの実やごみ捨て場などに集まるハエを食べたりします。

 そのようなゴミ捨て場では100羽以上のヒタキの仲間が集まることもあり、頻繁にフライングキャッチをする姿が見られます。ヒタキは鶲あるいは火焼と書き、地鳴きが“火打石を打つような声”を発するところからつけられたと言われています。

 

自然の記録

10月 1日 久しぶりに庭の上空をアオサギが飛んでいました。芝川第一調節池では近年になって繁殖するようになったことから生息数も増加しているようです。

10月 2日 久しぶりにシマヘビが出てきました。30p程の長さでしたが、素早い動きでした。ヤモリやカナヘビも犬走の溝や草の上などで見かけました。

10月 3日 キタテハ、ツマグロヒョウモン、アオスジアゲハ、キマダラヒカゲ、コミスジ、ヤマトシジミ等が庭に飛来しました。近所を散策していると目立つのがオレンジ色の花のルコウソウと真紅の花のモミジバルコウソウです。どちらも蔓性植物ですが園芸種が蔓延りだしたようです。

湧水公園では池の周囲にアライグマの足跡がありました。昨年5頭の家族が捕獲されましたが、新たな個体が入ってきたようです。動物の足跡を見つけた時は嬉しいのですが外来種であることを考えると手放しで喜ぶこともできません。

10月 5日 台風18号の影響を受けた低気圧の影響で一日中雨、そのためか郵便受けにはナメクジが入り込んでいました。慈林町会の倉庫の前にコミカンソウに似た背丈の高い草が生えており以前から気になっていましたが、ナガエコミカンソウというトウダイグサ科の植物で、熱帯アフリカ原産で20数年前に日本で始めて確認され、関東以西の各地で繁殖が確認されている1年草。草丈30a〜50aで、良く分枝して横に広がる。葉は互生して長さ1a〜2aの卵形で短い柄があり、葉先はわずかに尖り全縁で両面無毛。葉腋に直径約2_で花被片が5個の、白緑色の花を下向きに咲かせ、雄花と雌花が同居する。花も果実も長さ7_〜1aの柄の先に横向き〜垂れ下がってついているところから「長柄」、果実は幅約2_の扁球形で、5個の花被片は白く縁取られています。旧鳩ヶ谷市の植物目録に1種類追加。

10月 6日 第二産業道路の里地区の交差点脇の畑でニラの花が満開となり、ヒメアカタテハやアゲハチョウが飛び交っていました。交通量の多い場所でも緑があれば昆虫類も集まるものです。コンクリートの上をオオシロフベッコウという狩り蜂がアシダカグモの仲間を運んでいました。叢に行くと草の間にあった巣穴の中にクモを引きずりこんでいきました。

10月 8日 今夜は皆既月食となり、6時半から9時過ぎまで庭へ出て眺めていました。少しづつ変化しながら、時々雲の影になりましたが最後はオレンジ色に見えました。月が隠れた後も太陽の光が地球の大気で屈折し、月を照らすためにオレンジ色に光って見えました。

18:15 18:33 19:01
19:10 20:56

10月 9日 最近はハーブを好んで植える人がいるためか、この時期でも色とりどりの花が咲いていて蜂や蝶の仲間がなど訪れています。特に紫色のラベンダーセージ、赤紫のアメジストセージあるいは濃いオレンジ色のチェリーセージ等にはアオスジアゲハ、キチョウ、ツマグロヒョウモン、イチモンジセセリ、ヤマトシジミ、ウラナミシジミ、ヒカゲチョウ等が飛来し、ハチの仲間のクマバチ、オオハラナガツチバチ、キンケハラナガツチバチ、ヒメヒラタアブ等、またハチドリに似たホシホウジャクというスズメガの仲間も目立ちました。小さなハチドリが飛んでいるような感じで楽しめました。

地上に敷かれた朽木のからカニの足のようなキノコの仲間が沢山生えていました。頭部の方が黒褐色の粘液で覆われています。

キツネノタイマツ  ホシホウジャク ハチにひかれるクモ

10月14日 台風19号が去って晴天となりましたが風が強く、庭のカキやサクラの葉がかなり散りました。雨戸をあけると戸袋の縁に大きなゲジゲジが止まっていました。

豊田の森の竹林では風が吹くたびに竹のこすれる音が多くの音色を奏でていました。銀杏は足の踏み場がないほど落ちており、林内に匂いが充満していました。枯れた朽木にはカワラタケが沢山生えていました。湧水公園では小学生がいくつかのグル−プに分かれて見学に来ていました。ウスバキトンボやナガコガネグモ等が目立ちましたが、嵐の後の静けさなのか、昆虫類は他に見つかりませんでした。桜町6丁目の中央病院前の空き地ではアメリカセンダングサが群落となりアゲハチョウ、モンキチョウ、モンシロチョウ、ヒメアカタテハ等が風に吹かれながら飛び回っていました。

10月15日 夜になりアオマツムシやエンマコオロギの声が聞こえましたが、そろそろ鳴く虫の季節も終わりかな?

10月17日 庭のイチジクの木にキボシカミキリが止まっていました。昨日は御嶽山や富士山で初冠雪となり季節は着実に移り変わっています。

10月20日 新芝川の青木水門から青木橋までの旧芝川を散策しました。ようやく冬鳥のコガモ(雄1、雌4羽)、ヒドリガモ(雌1羽)が姿を見せてくれました。その他は常連のカルガモ、カワウ、イソシギ、コサギ、アオサギ、バンの幼鳥、カワセミ、ハクセキレイなど15種類、昆虫類もまだまだ健在で、ツマグロヒョウモン、キタテハ、ヒメアカタテハ、モンシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、アゲハチョウ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、イチモンジセセリ、アオモンイトトンボ、アキアカネ、トノサマバッタ、エンマコオロギ、オンブバッタ、コバネイナゴ等、ミシシッピアカミミガメは21頭、クロベンケイガニも個体数が増えた感じです。

魚類はコイ、モツゴ、タップミノー(カダヤシ)、ボラおよびライギョ(カムルチー)の稚魚がいました。外来生物法で要注意外来生物に指定された淡水魚で北海道、長崎、山口、愛知、滋賀、群馬では移植が禁止されている(各道県漁業調整規則または内水面漁業調整規則)。子供の頃はナマズと同様に、から揚げやフライにして食べましたが、カムルチーには「顎口虫という寄生虫が多いため、生食は危険である。感染して、人の体内に入った顎口虫の幼虫は、胃壁や腸壁を破り体内に移行します。皮下組織内に移動した場合、爬行疹(寄生虫の這い回った痕跡)が外部から認められます。幼虫は長期間にわたり生存し続け、臓器、脳あるいは眼球に侵入することもある。脳や眼球に到達した場合、脳障害や失明といった重大な症状を引き起こすことがある。」モツゴやタップミノーはカワセミの絶好の餌になっています。家の壁ではハラビロカマキリが産卵のためか大きなおなかを重たそうにゆっくりと歩いていました。クロガネモチの枝先にはシモフリスズメの終齢幼虫がいました。

カムルチー ボラの群れ クロベンケイガニの群れ

10月22日 一日中雨が降り寒い日でしたが、夜になってアオマツムシの声が聞こえてきました。イチジクのキボシカミキリも健在です。20日にうろついていたハラビロカマキリは自転車のサドルに止まっていましたが、サドルに産卵されては困るので植え込みに移動しましたが、ほとんど動きませんでした。

10月23日 今冬初めてのジョウビタキの声を聞きました。姿は見えませんでしたが家の周りに飛来しているようです。夜になって玄関ドアの内側にドクガが止まっていました。どのようにして入ったのかわかりませんが、翌日には姿が見えなくなりました。

10月24日 玄関口の雨どいをヒメシロモンドクガの幼虫が昇っていました。終齢幼虫になっているので蛹化する場所を探しているのでしょう。オオカマキリはすでに産卵を終えていました。富士見市のS氏より、ホウシゼミが鳴いていたとの情報をいただきました。ツクツクボウシの声が10月下旬に聞こえるということは今までなかったのではないかと思います。それだけ暖かいと言うことなのでしょう。

10月27日 クロガネモチに寄生していたシモフリスズメの幼虫が地上を這っていました。一昨日見た時には薄緑色をしていましたが、今日は背中から横腹にかけて枯葉色になっていました。カキの葉の枯れ葉のそばにいると擬態をしているように見えます。犬走りの上に小さなネズミの遺骸が落ちていました。肋骨がむき出しになっていたので野良猫にやられたようです。ハタネズミかアカネズミかと思いましたが、小さなクマネズミでした。

10月28日 昨晩からかなり強い風が吹いているなと思ったら、木枯らし一番とのことでした。しかし、日中の風が強いのにもかかわらずモンシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、ヒメアカタテハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミ、ウラナミシジミ等の蝶が飛び回っていました。10年前には考えられなかったことです。それだけ温暖化が進んでいるのでしょう。

 

地球温暖化を考える(77)

浮谷の里(加須市)

浮野の里”は、加須市の案内によれば、武蔵国の昔ながらの田園風景を残す『浮野の里』は、周辺には屋敷林や田堀、くぬぎ並木などの田園景観が保全され、平成7年度には全国「水の郷」百選に認定され、平成19年度には埼玉県から「緑のトラスト保全第10号地」に指定されています。 4月上中旬には、ノウルシが鮮やかな黄色に色付きます。ノウルシは、トウダイグサ科の多年草で、浮野の里には約1,000平方メートルの群生地があります。ノウルシは、絶滅の危険が増しているとして環境省及び埼玉県から絶滅危惧2類に指定されている大変貴重な植物です。

また、6月中旬には地元の皆さんにより「浮野の里・あやめ祭り」が開催され、色鮮やかな花菖蒲や女船頭さんの田舟遊覧など、訪れる多くの人を和ませてくれます。

 なお、「加須の浮野とその植物」が、埼玉県の天然記念物に指定されています。しかし、この地へ行くには車がないと不便極まりないのが残念です。バスの便はあるにはあるがとにかく不便。こういうところだから自然が残っているわけですが。暑い夏の時期でも田を渡ってくる風の涼しさはクーラーの比ではありません。多くの昆虫類や植物が楽しめて気分も安らぎます。このような日本の田園風景をいつまでも残しておきたいものです。高速道路ができると沿線の開発が始まるために田園風景がなくなる場所をいくつも見てきました。常磐道沿線の開発も進んでいます。先月に通った時は緑の小山が続いていたのに、次に通った時には赤土の大地に変わっている、こういう場所の多いこと。無差別な開発を進めながら二酸化炭素の排出を抑えようと言うのは時代に逆行しています。

浮谷の里入り口付近 遊歩道
周辺の環境 県の保全地
トウキョウダルマガエル ヒオドシチョウ ミズイロオナガシジミ