No.111 2013年9月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (124)

アマツバメ(アマツバメ科)Apus affinis

アマツバメはツバメという名前がついていますがツバメの仲間とは全く異なる種類です。この仲間は日本では4種類が知られています。アマツバメの特徴は翼が鎌形をしています。尾は深く切れ込んでおり、腰が白いのが特徴です。高山や海岸の断崖に巣をつくり、その近くを集団で飛び回っています。体型的にもスリムで空中生活に適しており、餌をとるのも空中で飛びながらとります。

渡りの時期には市街地でも群れが上空を通過することがあります。10年ほど前になりますが立川市にある昭和記念公園でコスモスを見ていたところ、上空をたくさんのツバメの仲間が飛んでいました。ツバメ、ショウドウツバメ、イワツバメ、ヒメアマツバメ、アマツバメに加えて、大変珍しいヒマラヤアナツバメを観察しました。この時の群れは、数百羽と大きな群れでしたが一番目立っていたのはスピード感のあるアマツバメでした。頭上近くを飛んだ時などは羽音が聞こえるほどでした。

これからの時期は上を向いて歩こうです。アマツバメだけでなくサシバやハチクマといったワシタカの仲間も飛んでいることがあります。

 

自然の記録:

 9月 3日 夕方から秋の虫の合唱が始まりました。これだけにぎやかな虫の合唱は何年ぶりかな。アオマツムシを筆頭にミツカドコオロギ、エンマコオロギ、カネタタキ等庭の住人の合唱団でした。ここ数日の荒天の影響で夜がすごしやすくなったのがよかったのでしょう。虫にとっても涼しさは心地よいものかと思いました。6日は涼しすぎたのか虫の声が聞こえませんでした。温度に敏感ですね。

 9月 7日 庭の柿の木の周りをヒカゲチョウとヒメジャノメが飛び交っていました。湧水公園の池では10p程度にまで育ったウシガエルのオタマジャクシがたくさん泳いでいました。小学校の子供たちが玉網で捕まえて喜んでいました。水路ではクロアゲハ2頭とアオスジアゲハが吸水していました。トンボの種類は減ってきてショウジョウトンボ、ウスバキトンボ、シオカラトンボのみでした。竹林ではカラムシやオシロイバナが勢力を張っていました。

 9月 9日 久しぶりに旧芝川を散策してきました。まだ、カモ類の渡来はなく寂しい限りでしたが、昆虫類は結構楽しむことができました。ギンヤンマやアジアイトトンボの交接・産卵が各所で見られました。また、ずいぶん久しぶりのことですがトウキョウダルマガエルが姿を見せてくました。アブラコウモリは天気が良かったので目の前を飛ぶと骨格が透けて見えるようでした。野鳥はスズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、キジバト、カルガモ、ハクセキレイ、ドバトの8種類、動物はシマヘビ、アブラコウモリ(2)、ウシガエル、トウキョウダルマガエル、ミシシッピーアカミミガメ(23)、コイ、ヘラブナ、カダヤシ、クロベンケイガニ、アカテガニなど、昆虫類はギンヤンマ、シオカラトンボ、ハグロトンボ、ウスバキトンボ、ナツアカネ、アジアトンボ、モンシロチョウ、アゲハチョウ、アオスジアゲハ、ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、キタテハ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、オオスカシバ、マドガ、エンマコオロギ、ハラオカメコオロギ、ツチバッタ、コバネイナゴ、セグロアシナガバチ、マルハナバチ、ジガバチなど、開花していた植物は、コニシキソウ、オオニシキソウ、ヒメムカシヨモギ、アレチノギク、アカツメクサ、交雑タンポポ、ヘクソカズラ、ガガイモ、イヌナスビ、ハキダメギク、ニラ、オヒシバ、メヒシバ、スベリヒユ、ヨシ、センニンソウ、マルバアサガオ、ホシアサガオ、ユウゲショウ、ツユクサ、ヒメジオン、ヒルガオ、イタドリ、イヌタデ、ボントクタデ、ジュズダマ、ヤブガラシ、フトイ、ツルマメ、ガマ、ホウキギク、ヒナタイノコヅチ、センダングサ、カラスウリ、セリ、アオガヤツリ、オシロイバナ、ノゲシ、アオビユ、サンカクイ、オオブタクサ、アキノエノコログサ、ヨウシュヤマゴボウ、タカサブロウ等でした。

アブラコウモリ ホシアサガオとオオスカシバ オオスズメバチ

 9月11日 昨日から今日にかけて庭の木々の選定を行いました。ヘクソカズラやヤブガラシが絡みついて剪定に時間がかかりましたが、選定作業中にクサカゲロウ、ツマグロオオヨコバイ、ビロードコガネおよびスズメガやモンクロシャチホコの幼虫類等が落ちてきました。夕方になってアブラコオモリ4頭が家の周りを飛んでいました。

 9月12日 安行の花と緑の振興センターへ行ってきました。開花植物は少なかったがアゲハチョウ、アオスジアゲハ、カラスアゲハ、クロアゲハ、アカボシゴマダラ、ツマグロヒョウモン、ヒメアカタテハ、イチモンジセセリ、ヤマトシジミ等の蝶やタイワンホトトギスに寄生しているルリタテハの幼虫、ムベではアケビコノハの幼虫など。トンボの仲間はシオカラトンボ、ナツアカネ、アキアカネ、ノシメトンボ、コノシメトンボ等、セミの仲間はアブラゼミ、ミンミンゼミ、ホウシゼミの3種類が元気に鳴いていました。珍しくトカゲを三か所で見ることができました。興禅院では黄色とオレンジのヒガンバナが咲き始めていました。

庭ではミスジチョウ、ヒメウラナミジャノメ、ヒカゲチョウ、アゲハチョウ等が飛来しました。また、桜の木から降りてきたモンクロシャチホコの幼虫13匹が厚く熱したコンクリートの犬走の上で干からびていました。よりによって暑い日に移動しなくてもよかったのにと思いますが。

ルリタテハの幼虫 ギンヤンマの産卵

 9月16日 台風18号の影響で各地に多くの被害がありましたが、我が家の周辺は木の枝が折れたりした程度で済みました。強風の中で落ちた柿の実にアカボシゴマダラが飛来して果汁を吸っていました。

 9月17日 近所のブッドレアの花にツマグロヒョウモンの雌雄が飛来して、吸蜜していました。オオケタデの周りも飛んでいましたが、ブッドレアの方が好みのようでした。

 9月19日 市内の東縁見沼代用水や新芝川沿いではヒガンバナが開花しています。また、野鳥によって広がったクワの木が増殖して繁茂しています。何本かのクワの木を調べてみるとクワコと繭がありました。市内のあちらこちらでアカメガシワ、ネズミモチ、クワ、アオキ、シュロ等がヒヨドリやムクドリなどの野鳥の排泄便とともにまかれて広がりを見せています。今日観察された蝶は、アゲハチョウ、キアゲハ、アオスジアゲハ、カラスアゲハ、モンキアゲハ、キタテハ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、アカボシゴマダラ、コミスジチョウ、イチモンジチョウ、モンシロチョウ、モンキチョウ、ムラサキツバメ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、ウラナミシジミ、イチモンジセセリ等18種類、トンボの仲間はギンヤンマ、シオカラトンボ、ノシメトンボ、コノシメトンボ、アキアカネ、ナツアカネ、ウスバキトンボ、チョウトンボ等でした。ツクツクボウシはまだ鳴いていましたが、アブラゼミやミンミンゼミは姿を消したようです。

夜になって、風呂場にカネタタキがはいってきました。窓の隙間から入ってきたようです。

 9月21日 湧水公園が改修されてから半年がたちました。池周辺の植物の状況を調べたところ、いろいろな植物が生育していました。ハギ、ススキ、オミナエシ、フジバカマ、タコノアシ、オモダカ、コウホネ、アサザ(以上は人為的に植栽されたもの)自然に生えてきたものは、チョウジタデ、ユウゲショウ、ミゾソバ、ヒナタイノコヅチ、ツユクサ、オヒシバ、タマガヤツリ、アキメヒシバ、タカサブロウ、セイバンモロコシ、ヨモギ、アメリカセンダングサ、ヨメナ、ハキダメギク、オオバコ、ツルマメ、アメリカオニアザミ、ノブドウ等、大半は帰化植物ですが、放置しておけば自然に多くの植物が生育してくるものです。

昆虫類はウラナミシジミ、ヤマトシジミ、モンシロチョウ、アゲハチョウ、アオスジアゲハ、ツマグロヒョウモン、ギンヤンマ、ノシメトンボ、シオカラトンボ、アキアカネ、ウスバキトンボ等でした。

ノブドウのツルには珍しくブドウスズメ(蛾の仲間)の終齢幼虫がいました。庭では久しぶりにルリタテハが飛来しました。

クワコの幼虫と繭

 9月24日 庭の手入れをしていて、植木鉢を移動したところムカデ、ヤスデ、ナメクジ、ミミズ、アメリカミズアブの幼虫、アトアオゴミムシ、等が出てきました。植木鉢が置いてあった土は良い黒土になっていました。水を溜めている容器の中にアトボシゴミムシが落ちて泳いでいましたので、外へ出すと大慌てで物陰に隠れました。

 9月28日 大分涼しくなってきましたが、夕方になると庭の樹上でアオマツムシ、叢ではエンマコオロギとハラオカメコオロギの合唱が聞こえます。一時期に比べて聞こえる音が、なんとなく張りがないような感じです。ウラナミジャノメも叢の上を飛び交っています。

 9月29日 庭のツバキを剪定していたところホタルガがとびだしました。ドクガの幼虫(毛虫)も多く糸にぶら下がって枝から鈴なりに連なっていましたが、道路へ落ちるといけないので駆除しました。

 9月30日 鳩ヶ谷本町2丁目の空き地で生育している植物の種類を調べてみたら、市内では珍しくなったチカラシバが10本以上生育しており感激しました。その他はセイタカアワダチソウ、オギ、アキノエノコログサ、オヒシバ、スギナ、ヨメナ等でした。オギとセイタカアワダチソウの繁茂がすごいので周りから見るだけで終わりました。昨年はセグロアシナガバチの巣があり大変でした。

湧水公園の斜面林では、先日の台風で古木が1本折れていました。

   

地球温暖化を考える(66)

野鳥の楽園バードピアの勧め

公益法人日本鳥類保護連盟が進める野鳥の楽園バードピアは、緑のつながりは、生き物のつながりをコンセプトに日本全国に活動を広げています。(鳥)とユートピア(楽園)を合わせた言葉です。全国的に経済発展の名のもとに自然環境や農地を破壊し、都市計画もへったくれもなく無秩序に開発し、そのうえで魅力的な街づくりを?なんてことをまことしやかに唱っていますが実際には何も変わりません。人が自然を壊した結果、野生の生き物にとっては住みにくい環境となってしまいました。

しかし、例え小さな緑地でも、そこにある植物に依存する生き物がいて、またその生き物に頼って生きているものがいます。小さな緑地や公園や庭がつながれば、生き物たちが行き来して生活の範囲を広げていきます。いろいろな生物がすめる場所は鳥たちにとっても住みやすい場所なのです。生物多様性という難しい言葉を使わなくても、生きとし生けるものすべてが共存共栄して生活できる場所づくりをすることが、これから先の町づくりではないかと思います。

書類上のまちづくりや絵にかいたような街づくりのモデルは、今までに実現されたためしがありません。構想は構想にしかすぎず、夢は実現するものです。バードピアには場所の大きさなどは関係ありません。鳥のために水場を設置したり、実のなる木を植えるなど野鳥や生き物のためと思えば、それがバードピアの始まりです。バードピアのルールは、除草剤や防虫剤などの化学薬品を極力控えること、植栽する場合はできるだけ在来の草木を選択し、バードピアに集まる生き物すべてを大切にすることです。

はとがやに里山をつくる会の活動の考え方もバードピアと同じような考え方で活動を進めています。この活動を広げることによって、緑が減少した市街地を緑の里山のようなイメージに変えていこう、子供たちが町の中の公園で昆虫採集ができるような環境づくりをして行こう。それによって、ヒートアイランド現象も緩和していくことができるのではないかと思います。気候変動の抑制は身近でできることから始めることが肝心です。川口市の住民一人一人が1年に木を1本植えるだけで60万本以上の植樹ができます。5年間続けると300万本になり、川口市内は緑で覆われてヒートアイランド現象も多少は緩和されることでしょう。

ちなみに、埼玉県が進めている植樹エントリー制度では、2009年4月〜2013年3月までの植樹本数は個人や企業などが77万本、事業者・行政が行う植樹341万本、合計418万本を超えたそうです。

しかし、県内の緑は1975年に22190haあったものが30年間で15676haになり、6514haも減少しているそうです。ちょうど浜名湖の面積分の緑地が減少した計算になります。

緑が多いと自慢している川口市では、実際には市域の20%以下に減少しています。その原因は、農耕地や植木畑の減少が影響しています。

例えば、国立市にあるお鷹の道では家並みの間を清流が流れており、周辺は多くの植物が繁茂しています。このような道では真夏でも涼しく、すがすがしい気分で散策することができます。川口市内の町中でも、このような環境を整備していくことは可能です。高齢化社会が進む中で車両用の道路整備よりも歩行者が落ち着いて散策できるような環境作りが必要ではないかと思っています。

 
お鷹の道の遊歩道