No.184 2019年10月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (197)

ムギマキ(ヒタキ科) Ficedula mugimaki

 ムギマキとは変わった名前であるが、ムギマキの名は秋の麦の種を蒔く時期に見られることが多いために名がついたという説がある。ロシア東部からオホーツク海沿岸、サハリン、アムール、中国北東部で繁殖し、冬期は中国南部、東南アジア方面に渡り越冬する。日本では旅鳥として春(5月頃)と秋(9月から11月)の渡りの時期に全国各地を通過するが、数は少ない。特に、日本海側の島嶼(舳倉島・対馬・飛島等)や秋の戸隠高原等では比較的よく観察されている。スズメより小さく、雄は上面が黒く、眼の後方の眉斑が白く目立つ。喉から腹はオレンジ色で、下面は白色である。雌の上面はオリーブ褐色で、眉斑は不明瞭である。喉から腹は雄に比べると淡いオレンジ色である。若鳥は雌に似ている。埼玉県では秋ヶ瀬公園や市街地の公園に現れることもある。川口市内では、1977年10月に観察された記録が1例ある。

自然の記録:

10月 2日 芝川第一調節池を散策しましたが、カモ類はまだ飛来していませんでした。今年は大分遅れているようです。池の端にある灌木林ではキビタキやセンダイムシクイがいました。コゲラ、シジュウカラ、エナガ等の混群が静かに通り過ぎていきましたが、エナガの群れは手の届くようなところまで近づいてくれました。また、オオムシクイが初記録となりました。                        

キビタキ ♂ エナガ コミスジ

10月 3日 9月中旬頃からカキの葉が色づきはじめたと思ったら、毎日大量に落ちてきて掃除が大変になってきました。庭隅でゲンノショウコが開花していました。すでに庭からは消滅していたと思っていたので驚きました。熟柿が落ち始め、ルリタテハやキタテハが飛来しています。

10月 6日 18時頃に庭の上空を低くイエコウモリ1頭が飛んでいました。今年は初めての確認です。数年前までは夏になると10頭近くが飛んでいましたが年々減少しているようです。庭隅ではジィ--------------と鳴くクサキリの声も聞こえてきましたが、エンマコオロギもアオマツムシも少なくなりました。

10月 8日 台風の影響か、このところ降ったり止んだりと目まぐるしい日が続いています。鳥たちも秋の移動が始まり、ヒヨドリの声も賑わしくなってきました。プロパンガスボンベにブドウギクトリバという十字架に似たトリバガの仲間が止まっていました。

10月 9日 雨戸にルリタテハが止まり日向ぼっこでもしているかのように羽を休めていました。庭隅の叢ではアカウスグロノメイガという蛾の仲間がいました。すばしこいので写真を撮ろうと近づくとすぐに飛んで葉裏に止まるので苦労します。

ブドウギクトリバ ルリタテハ アカウスグロノメイガ

10月11日 台風接近のため小雨が降ったり止んだりの一日でした。プロパンガスの置き場にスズメガの仲間のホシホウジャクが止まっていました。幼虫はヘクソカズラを食草としているため毎年6月から11月にかけて飛んでいます。夜になり月下美人の花が10個開花しました。一度に10個も開花したのは初めてです。9月30日〜昨日までに6個開花していたので合計16個の開花となりました。

ホシホウジャク ナガサキアゲハの幼虫 開花した月下美人

10月12日 台風19号の影響で南平地区、横曽根地区、鳩ヶ谷地区などの低地地域の高齢者に緊急避難の電話が2か所からありました。川口市の洪水ハザードマップで2.0m〜5m未満の区域となっている地域です。この地域では初めての避難連絡ですが、雨風が吹き荒れる中で外へ出るのはかえって危険。昭和47年のキャサリン台風で荒川や利根川が決壊した折に芝川が氾濫して、三ツ和や辻周辺地域が大洪水となりました。午後6時には避難勧告4が発令されました。

10月13日 台風の通過後、庭にはトタン板5枚が落ちていました。家の脇にあるゲッケイジュの大枝が1本折れていましたが家には被害がありませんでした。柿の木にシジュウカラとメジロの混群がやってきました。柿の木にいる昆虫類を探しているようでした。物干し竿にはアキアカネが5匹止まっており、夕方にはアオマツムシが鳴きだしました。

10月15日 久しぶりにテレビのアンテナにモズが飛来して、高鳴きを披露してくれました。近年は市内の町中でモズを見る機会がなくなったので高鳴きを聞くと秋になったという気分になります。

10月17日 庭の柑橘類の葉にナガサキアゲハの幼虫10匹がいました。葉が込み入っているため他にもいるものと思われる。夏の間はナミアゲハ・クロアゲハの幼虫とともに若齢幼虫の間に全て消去していたが、今回の幼虫は蛹まで行きそうです。

10月18日 雨降りが続いていますがテレビのアンテナに、ムクドリ、スズメ、ヒヨドリ、モズ、キジバト、ハシボソガラス等が交代で止まりに来ていました。周辺の高木が伐採されたために止まり木になっているようです。

10月20日 庭のイチジクの木にキボシカミキリ6頭がいました。そのうち4頭が交接中でした。イチジクの幹には10以上の穴が開いており成虫が出て来たようです。来年も多くのキボシカミキリが出現しそうです。周辺にイチジクやクワの木がないため殆どがイチジクの木で生活しているようです。

10月21日 隣家の庭からジョウビタキの声が聞こえてきました。今年の初認で昨年とほぼ同日に飛来しました。年々、僅かですが早めの飛来となっている感じがします。近年は、国内でも繁殖するものが増えているようです。

年度

2009

2010

2011

2012

2013

初認日

114

1029

118

118

1112

2014

2015

2016

2017

2018

2019

1023

113

1020

1030

1022

1021

  

交接中のキボシカミキリ 鉄塔に止まるハヤブサ

10月23日 芝川第一調節池へ出かけました。台風19号で満水となりましたが、その後の降雨つづきで調節池の水はたっぷり、カモ類が飛来しキンクロハジロ、ホシハジロが200羽<、ヒドリガモ、コガモ、マガモ、カルガモ等、ワシタカ類はオオタカ、ノスリ、チュウヒが上空を飛び、鉄塔にはハヤブサが止まっていました。林の中ではシジュウカラ、エナガ、コゲラ等、ヒヨドリの群れもかなりの数が見られました。

10月29日 早朝から濃霧で10m先が霞んで見えました。そのために普段は見えにくいジョロウグモの網がくっきりと見え、同じ場所で3重、4重に張ってそれぞれに雌雄のクモが網の中にいました。少し明るくなってくるとカキの木にオナガ、メジロの群れ、ムクドリ、スズメ、ヒヨドリなども飛来しました。庭隅でアメリカスミレサイシンが開花しました。近年は春に咲く花が晩秋に開花することが多くなりました。隣家ではヤツデの花が開花しました。

張り巡らされたジョロウグモの巣

地球温暖化を考える(136)

川口自然の家と周辺緑地

 東縁見沼代用水に沿った川口市行衛地区の見沼田んぼの一角に江戸時代から続く農家が一軒ありました。1983年の正月明けに、農家の主人である会田さんより家と水田を買い取ってもらえるならば手放したいとの話がありました。当時、㈶日本野鳥の会埼玉県支部の川口分会で話をしたところ川口市で購入してもらえるように働きかけようということになりました。その後、紆余曲折はありましたが、1995年に川口市が借り上げ、県が緊急補修工事を行い市有化に成功しました。取得までに12年かかりましたが、見沼自然の家は江戸末期の入母屋造りの母屋と屋敷林があり、自然保護活動の拠点として㈶埼玉県野鳥の会が運用することになりました。この地域は、隣接して川口自然公園(3ha)があり、芝川第一調節池(90ha)があります。芝川第一調節池周辺地域は、北本農事試験場跡地(現、北本自然観察公園)および巾着田がサンクチュアリの候補地になっていました。芝川第一調節池周辺地域は、サンクチュアリ―にはなりませんでしたが、川口自然の家が取得できたことにより活動拠点が出来ました。現在は、公益財団・埼玉県生態系保護協会が日曜日、その他の曜日は川口グランドワーク(GW)のメンバーが管理・運営をしています。調節池、水田、畑地、アシ原を含む湿地などの多様な環境があることによって、この周辺で記録された野鳥は1962年から現在までに204種類、昆虫類も1000種類を超えています。

GWでは、ホタルの里づくりや見沼自然学校・公有地化された土地の管理作業や水田での稲作などを行っています。また、今年は20周年を記念して、グランドワーク20周年のあゆみ(冊子)と自然観察用のハンドブック「見沼自然学校 生きものハンドブック」を作成しました。

*㈶日本野鳥の会埼玉県支部-㈶埼玉県野鳥の会-公益財団法人 埼玉県生態系保護協会

川口自然の家
 
自然観察会の様子
奥の林が自然の家 グランドワークが管理する水田
ハンノキのハザカケ 脱穀作業