No.176 2019年1月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (189)

シロカモメ(カモメ科) Larus hyperboreus

2015年2月7日(成鳥)   (撮影:銚子港)   2014年3月22日(第一回冬羽)

シロカモメ Glaucous Gull はカモメの仲間では大型で、セグロカモメよりも大きめの個体が多い。ユーラシア大陸、北米大陸の北極圏、グリーンランドなどで繁殖し冬は南に移動する。千葉県の銚子港などでは稀にアイスランドカモメに似ているアラスカなどで繁殖する小型のシロカモメの亜種も見られる。シロカモメは飛翔中遠距離から見ると全身が白っぽく見えるが、北海道で繁殖しているオオセグロカモメの第一回冬羽〜夏羽は羽毛の摩耗や退色があり全体が白っぽくなる個体が多いため識別には注意を要する。冬鳥として12月から4月にかけて銚子港などに少数が飛来します。体全体が白く、特に初列風切が白いのが特徴です。また、第一回冬羽の個体は比較的多く見かけます。関東地方では成鳥の飛来数は少ないが、北海道のオホーツク沿岸では多く見られます。埼玉県内での記録は少なく、富士見市のびん沼公園、深谷市の利根川、八潮市の綾瀬川などでの記録があるのみです。川口市内では2000年12月2日に芝川第一調節池でビデオ撮影された1例の記録があります。

自然の記録:

 2月 4日 今日は立春、日中の気温が18℃を超え2月とは思えぬ暖かさになりましたが、春一番が吹き荒れて風が強く自転車で走っていても横風で何度か倒れそうになりました。急に気温が高くなった影響か市内でも白梅、紅梅、マンサクなどが満開となっているところがありました。

 2月 5日 昨日とは変わって急激に気温が下がりどんよりとした天候となり、周辺のカキの実がなくなったのかヒヨドリ数羽が一日中我が家の庭でカキのヘタやミカンなどをつついていました。

 2月 6日 冷たい雨が降る中、我が家をふくむ3軒で5本のカキの木にヒヨドリ60羽<、ムクドリ20羽<、オナガ、スズメ等が集まりカキの残りのヘタを突きに来て賑やかでした。そろそろ、どこでも餌がなくなってきたようです。玄関の入り口にはツマグロオオヨコバイが止まっていました。そろそろ昆虫類の活動も活発になりそうです。

 2月 7日 今日もカキの木にオナガ10数羽、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメ、メジロなどの鳥の群れが集まり、木の下周辺は糞だらけでした。糞の中にはキカラスウリ、へクソカズラ等の種子が多く含まれていました。

ムクドリ ヒヨドリ
シロハラ ツグミ

 2月 9日 昨夜より初雪が降り近所の屋根がうっすらと白くなり、窓ガラスを通して周辺が白く見えました。庭のカキの木には何もありませんが、シロハラ、ツグミ、ヒヨドリ、スズメ、オナガ、ハシブトガラス等が飛来し、枝をつついていました。流石に雪が降ると餌探しに苦労しているらしくミカン5個を庭木の枝先に置くと同時にヒヨドリが飛んできました。庭隅にあるナンテンでは実がないにもかかわらずジョウビタキの雌が飛来し頻りに餌を探しをしていました。

 2月11日 昨日から今朝にかけて僅かながら降雪、カキの木にシロハラ、ヒヨドリ、メジロ、スズメなどに混じってエナガが飛来しました。エナガの飛来は数年ぶりでした。

 2月18日 早くもオオイヌノフグリ開花しているところがありました。庭隅でアメリカスミレサイシンが開花、枝垂れウメの蕾もだいぶ膨らんできました。どういうわけか1輪だけ開花とともに落下してしまった。

開花したオオイヌノフグリ 地上で餌を探すツグミ

 2月19日 今日は朝から小雨模様、暦の上では「雨水:雪が雨に変わり草木の芽生える頃」ですが、草木の芽生えどころか、近所の庭ではチュウリップ、フクジュソウ、ノゲシ等が開花していました。

 2月20日 旧芝川を散策、天気がよく散歩する人も多かったが、野鳥の種類も個体数も少なかった。暖かかったので越冬中のキタテハが2頭飛んでいました。

 2月22日 曇りの予想が大幅にはずれ暖かく良い天気となったので、久しぶりに花と緑の振興センターへ出かけた。梅林のウメの開花はまばらでしたが、ロウバイ、オウバイ、ミツマタ、マンサク、アセビ、フクジュソウ、ヒメリュウキンカ等が開花していました。

ミツマタ アセビ オウバイ

 2月22日 11時頃庭へ出て空を見上げたところ上空で1羽のタカの仲間が旋回していた。小型のタカの仲間でハイタカかツミと思い、双眼鏡を持ってきて確認するとツミであった。ほんの束の間の観察で消失してしまった。ツミは毎年1〜2回程度ですが家の周辺で記録されるようになりました。

 2月27日 どんよりとした雨が降りそうな天気でしたが、芝川第一調節池へ探鳥に出かけました。自転車で往復2時間、以前は1時間程度で往復出来た場所ですが、最近は交通量の多い道路が多くなったために車が少ない裏道を走るために遠回りで時間がかかるようになりました。

今年は雨量が少ないために芝川第一調節池の貯水量も少なく減少中なので周りの水底が見えはじめてきました。そのためにカモ類も例年に比べて少なめです。観察された水鳥類はカルガモ、コガモ、マガモ、オカヨシガモ、ハシビロガモ、オカヨシガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ミコアイサ等のカモ類、カイツブリ、カンムリカイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、コサギ、オオバン、バン、ユリカモメ、アオシギ(初記録)、猛禽類はハヤブサ、チョウゲンボウ、チュウヒ、小鳥類はスズメ、ホオジロ、オオジュリン、ベニマシコ、セッカ、メジロ、シジュウカラ、モズ、ムクドリ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、キジバト、ハシボソガラス、ハシブトガラス等でした。ベニマシコは綺麗な雄でしたが、どんよりとした曇り空で写真にとっても色が出ませんでした。アオシギは芝川第一調節池で202種類目の記録となりました。

水底が見え始めた芝川第一調節池
ベニマシコの雄

地球温暖化を考える(128)

埼玉県花と緑の振興センターと興禪院(川口市)周辺緑地

 安行地区は、植木の街安行として知られていますが年々緑地面積が減少しています。特に赤堀用水沿いの斜面林の開発が著しく、裸地化しているところが目立ちます。その中にあって花と緑の振興センターと興禪院を含む雑木林周辺は貴重な緑地となっています。花と緑の振興センターは、以前は植物見本園と称していました。また、興禪院の森は川口野鳥の森として指定されています。冬枯れの時期は見通しがよく、日当たりがよくなりますが夏には林全体を覆うように葉が茂るので鬱蒼とした暗い感じの林になります。周辺の気温が35℃を超える真夏日でも林の中は涼しすぎるくらいの気温の差があります。過去には猛禽類のオオタカやツミなどの繁殖も確認されており、1960年代まではサンコウチョウが繁殖していたこともあります。1980年代初期までは花と緑の振興センターから草加方面を望むと見渡す限りの水田地帯で所々に休耕田や蓮田などがありました。現在は東京外環道が周囲を取り囲み、家が林立している状態です。過去の野鳥の記録を見ると湿地や水辺に生息する野鳥は40%程度でしたが、2000年代には20%程度になりました。現在は、出現鳥の9割が森林性や農耕地などを好む野鳥になっています。

1973年〜1982年までの10年間の記録 1980年代と2000年代の記録
梅林の風景
北側斜面 堆肥造り
興禪院の林 シュロの群落 川口市野鳥の森
アスファルト舗装に出てきたラクウショウの気根 ヒメリュウキンカの群落