No.19 2006年1月  

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (32)

イソシギ(シギ科) Tringa hypoleucos

イソシギ

暑い夏の日、チィー、チィー、チィー、と涼しげなイソシギの鳴き声が芝川の水辺を駆け抜ける。野鳥の秋の渡りは、8月に入ると既に始まっている。翼を小刻みにふるわせながら飛んでいる時に、翼の白い帯(翼帯)がよく目立つ。河原に降り立つと、石の上などで尾を上下に振りながらせわしなく歩く、この鳥の仲間(Tringa属)の特徴的な行動である。地味な鳥ではあるが、首から胸にかけてのエプロンとつぶらな瞳が愛らしい。繁殖期に入ると非常に警戒心が強くなり、雛を護るために自分が負傷してでもいるかのように、翼をバタバタさせて人や犬などの外敵を自分に引きつけるように注意を向けさせる偽傷行動を行う。この行動によって外敵を雛や卵から遠ざけることによって護っている。今の時代、人間も子育てを見習う必要があるのでは。英名では、普通のシギという意味の名前が付けられており、ある小説の題名にもなっている。割と身近な鳥ではあるが、地味な姿や行動からあまり目立たない鳥である。芝川に放棄され、ヘドロで汚れた自転車に止まっている姿は何とも侘びしい気がする。

自然の記録:

暖冬とは言え、流石に1月は生物の活動は少なく、市内を歩いても記録できる生物種が少なかった。

 1月 1日   元旦の今日は朝から冷え冷えとして、一日中どんよりとしていた。柿の木にメジロ、スズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、ツグミが飛来し、ハシブトガラスとハシボソガラスが上空を飛んでいた。剪定されたヒバの枝にキイロテントウが張り付いていた。

 1月 2日   1日中肌寒く。小雨の降る日であった。柿の木にはムクドリ2、ヒヨドリ数羽、ツグミ1、メジロ6羽が入れ替わり立ち替わり、残りの柿を食べていた。ムクドリが来ると柿のなくなるのが早い。メジロは残りを食べている感じである。キイロテントウが昨日と同じ位置にじっと動かずにいたが寒くはないのか(桜町6丁目)。

 1月 5日   カルガモ(15)、コガモ(5)が潮の引いた護岸近くに休んでいたが、犬を連れた人が近づいたため半数近くが川の中へ泳ぎだした。反対側に葦辺でコサギ(2)、ゴイサギ(1)が休み、ユリカモメ(1)が上空を飛んでいた(芝川境橋付近)。里郵便強近くにあったケヤキの大木が区画整理によって、伐採されてカラスの古巣7つもなくなったが、新たに50mほど離れたケヤキに1巣確認した。

 1月 6日   ジョウビタキ雌(1)が宮下橋付近、コサギ(1)が浅間橋付近の見沼用水、ハクセキレイ(1)が井川で採餌していた。

 1月10日 初雪でうっすらと雪化粧をしたが、すぐに溶解し坂道が凍結した。各所の柿の木にスズメが群れていた。

 1月11日 久し振りにコゲラの声を聞く(桜町6丁目)。

 1月14日 見沼用水の富士見橋付近でコサギ7羽の群れを見る。川が凍結しているため餌探しに苦労しているようだ。

 1月17日 マルカメムシの遺骸が廊下に落ちていた、16,17日と久し振りに暖かい日が続いたのでどこからか出てきたらしい(桜町6丁目)。

 1月19日 コサギ(3羽)変電所付近の芝川、工事中の護岸の岸で採餌していた。

 1月20日 キジバトがしばらくぶりに飛来し、電線とテレビにアンテナに止まり鳴き交わしていた。以前に比べ個体数が減少してきたようである。農地の減少がかなり影響しているものと思われる。鳩ヶ谷市のシンボルマークも変える日が来るかもしれない。キセキレイの声のみ通過か。ムクドリは相も変わらず柿のみを求め5〜10羽が飛来して、スズメやハシブトガラスと共に柿を食べていた(桜町6丁目)。

 1月26日 21日に降った雪がまだ残っており、風が冷たい。セグロセキレイの声のみ(桜町6丁目)

 1月27日 的場橋付近でシジュウカラが囀っていた。

 1月28日 ハクセキレイ(1)坂下町3丁目、カルガモ(5羽)井川、コガモ(8羽)南町の調整池。この調節池ももう少し、自然環境を整えれば以前のように各種の野鳥が訪れるようになると考えられるが、県や市の方針から考えると期待薄であろう。また、芝川の護岸工事が継続されているが、全てコンクリートの護岸となっている。建設省の推奨する環境に優しい護岸とは何処に出来るのであろうか。鳩ヶ谷市内では実現する可能性は極端に少ないようである。4月以降、鳩ヶ谷市に埼玉県生態系保護協会の支部が発足予定であるが、市の環境行政にものを言える団体に成長する事を期待したい。