No.45 2008年 3月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (58)

オオジュリン(ホオジロ科) Emberiza schoeniclus

オオジュリン クリックすると拡大写真が表示されます
オオジュリン冬羽 (新芝川の汐入橋付近で撮影)

日本では主に北海道・青森県・秋田県などの湿原で繁殖し、秋から春にかけての越冬期間には関東以南に移動します。大きさはスズメと同じくらいの小鳥で、雄の夏羽では黒い頭と喉の間に白い頬線があり、後頸は白くて、背は赤褐色に黒とバフ色の縦斑があります。冬羽では上面が褐色でスズメの背中のような感じになります。主に、葦原のあるところで生活し、チュインとかチュリーンと聞こえるような声で鳴きます。鳩ヶ谷市内では葦原がありませんので、主に芝川沿いに生育しているアシのある場所や、その周辺の草地などで餌を採っています。特に、冬の間は枯れたアシの茎の中にいる虫を食べるので、アシの茎を割っている音が聞こえます。

自然の記録:

 3月 1日 ジョウビタキの雌が飛来、すぐに飛び去ってしまいましたが、この雌は定期的に我が庭に飛来するようです。

 3月 4日 まだホーホケキョとは鳴けずにいるが庭でウグイスの初鳴きを聞きました。

 3月 6日 南町1丁目のOKさんより、2月28日にウグイスが鳴きはじめ、今日は綺麗な声で鳴いていたとの情報をいただきました。市内でのウグイスの初鳴きの記録は、

(1995年4月17日、2000年4月2日、2001年4月16日、2004年3月15日、
2006年3月20日、2007年3月26日などの記録があります。)

江川の合流点付近でカルガモ12羽、八幡木中学校付近の毛長川ではカルガモ6羽、オナガガモ雄1羽、コガモ雌雄各5羽、コサギ1羽などが採餌をしていました。

 3月 8日 八分咲きとなった垂れ梅にシジュウカラが飛来し何かを啄んでいましたが、大きな声で話しをながら人が通ったため飛び去りました。

 3月11日 ジョウビタキの雌が飛来、モンシロチョウは今年初記録(庭で)となりましたが、隣家の庭と行き来していました。クコの葉が大分落ちていたので、何かの幼虫にでも食べられているのかと思って探しましたがウリハムシが1匹いただけで原因は不明でした。

庭に来たジョウビタキの雄と雌 梅の木に来たアオジ

 3月12日 梅の木にアオジ、シジュウカラ、スズメなどが時々飛来し、窓越しに目を楽しませてくれます。ムラサキハナナ(諸葛菜、オオアラセイトウ、ハナダイコン等の別名)の花が数株、庭の数カ所で開花しました。花が終わった後に抜いているのですが、鳥が運んできてくれるのか毎年増加の傾向にあります。花は食べられるそうですが、まだ食べたことはありません。

 3月13日 江川沿いに散策したところ、カラシナ、ムラサキハナナ、ナズナ、オオイヌノフグリ、ホトケノザなどが開花し春の雰囲気が漂っていました。カワセミもいつもの場所で止まっていて、のぞき込んだら飛び立ち、江川の上流の民家裏に止まりました。

 3月15日 桜町6丁目の中央病院敷地南側が宅地造成されていました。大龍寺山最後の林地が開発されてしまいました。更地を歩いていたらモンシロチョウ(6)、キタテハ(2)が飛んでいました。南斜面で暖かいこともあって、オオイヌノフグリ、カキドウシ、ホトケノザ、ツメクサなどがお花畑のような感じで咲いていました。

街荒れて鳥や獣は減少し我が故郷はかくわびしけれ

友人からびん沼で今年初めてのツバメを見たとの情報がありました。鳩ヶ谷市内ではまだツバメの姿を見かけません。鳩ヶ谷市内での過去の記録では、

2000年 3月27日、2001年4月13日、2004年 3月29日、2005年4月15日、
2006年4月5日、2007年 3月29日でした。今年の記録は?

 3月16日 江川と見沼代用水の合流点付近で、今年初めてのツマキチョウ(雌)を観察しました。周辺にはハルノノゲシも開花して、カルガモ4羽も元気に泳いでいました。また、合流点の道路上でヒキガエルが車に轢かれてノシイカのようになった感じで乾燥していました。数少なくなった生物がこの様な形で発見されることは大変残念なことです。       

中居小学校付近の芝川では、枯れた葦に止まってオオジュリンが頻りに餌を啄んでいました。

 自宅の庭ではレンギョウやルピナスの花が開花し、尾の切れたカナヘビが日向ぼっこをしていました。

 3月18日 昨日、辻の天神橋付近の住宅でハクビシンを見たとの情報を得ましたが、夜になり、辻で農業を営んでいる方から竹藪に動物の巣穴があるので見てほしいと連絡があり、行ってきました。3年ほど前にハクビシンを捕獲したことがあると言う話しでした。観察したところ、ハクビシンかタヌキの巣穴ではないかと思われました。近くの畑にはハクビシンの糞?とタヌキのため糞がありました。両方とも旧いものでしたがかなりの柿を食べたらしく沢山の柿の種が落ちていました。この柿は禅師丸という名前の柿です。

「鳩ケ谷の辻地区では、禅寺丸(ぜんじまる)という甘柿の栽培が盛んに行われていました。まん丸い形をした小さな柿で、熟すと実が黒くなり“ゴマ”のある懐かしい味がします。鎌倉初期に柿生の王禅寺で発見された、日本で最初の甘柿。昭和40年代後半には宅地造成などで辻地区では、殆どの柿の木が切り倒され、今では残り少なくなってしまいました。辻のバス停前に懐かしい風景が今も残されています。」

農家を維持していくのは大変ですが、色々話を聞いてパワーを感じました。地球温暖化の影響や中国からの農薬野菜の問題など、これからは第一次産業をしっかり考えて行かなくてはならない時代になってきたのではないでしょうか。

動物の巣穴(両方の穴は繋がっており5mほどの長さがある)

畑にはタチツボスミレ、ホトケノザ、オオイヌノフグリ、フキノトウなどが咲き、庭木の間をメジロの群やヒヨドリ、キジバトなどが飛んでいました。ここには、鳩ヶ谷市内に残る貴重な田園風景が個人の努力によって維持されています。

フキノトウ 周辺環境 ツクシの小群落

 帰宅途中、本町2丁目の第4ポンプ場敷地内のフェンス沿いに、ツクシの小群落がありました。コンクリ-トで固められた土の隙間から生育していましたが、横に広がっており、これからも増加しそうな雰囲気でした。自宅の庭ではキュウリグサが開花しました、また16日に見たカナヘビよりも小いさなカナヘビが石段で日向ぼっこをしていました。裏庭に堆積させた落ち葉の下からアオオサムシが顔を出しましたが、すぐに穴の中に入り込んでしまいました。

 3月19日 桜町のHa氏より、ラクダ坂傍の藪でウグイスの声を聞いたとの情報を戴きました。

 3月20日 冷たい雨が降る中、梅の花が散り始めアオジが頻りに何かを啄んでいました。そろそろ渡去の時期が近づいてきたのか、お腹の黄色がずいぶん綺麗になってきました。

 3月21日 コンフォール東鳩ヶ谷の道路沿いに、カラスノエンドウとナガミノヒナゲシが開花していました。家の庭では、ヤブカンゾウの新緑の芽が綺麗に伸び始めました。

 3月22日 ツマグロオオヨコバイがブロック塀に止まっていました。

 3月24日 今日も冷たい雨の中、ウグイス、アオジおよびメジロが垂れ梅やサンショウの新芽に飛来しました。

 3月25日 早朝家の周辺は濃霧でしたが、昼頃から暖かくなり庭のソメイヨシノが1分咲き、ラクダ坂脇で3分咲き、鳩ヶ谷駅近くの見沼用水沿いでも3分咲きとなりました。今週末は見頃となるでしょう。モンシロチョウも舞っていました。(東大総合研究博物館で3/15〜5/18まで行われている“鳥のビオソフィア”展を見に出かけましたが、東大病院から三四郎池にかけてサクラが6〜8分咲きになっていました)

 3月26日 見沼代用水の貴船橋から稲荷橋までの間のサクラは6分から8分咲きになり、稲荷橋には俳句の短冊が沢山展示されていました。稲荷橋から浅間橋の間のサクラは、樹木がまだ若いためか1〜3分咲きでした。見沼用水から毛長川へ放水されていたので、カルガモ4羽が忙しそうに採餌していました。本町4丁目のモモの畑も満開でした。

Ha氏より、庭のヒゴスミレでツマグロヒョウモンの幼虫を見つけたとの情報がありました。今年初記録です。

我が家の庭では、シャガの花が開花しました。また、久し振りにオナガが飛来しましたが、繁殖期に入ったのか1羽のみでした。

ツマグロヒョウモンの幼虫(Ha氏撮影) ツバメの営巣(S氏撮影)

 3月27日 鳩ヶ谷市ではまだ確認できていませんが、川口市に住む友人S氏から「前川町の地蔵橋付近でツバメの営巣を2ヶ所確認」との情報を得ました。3月下旬の営巣は早すぎる気がしますが、今年は温度が高いのかも知れません。鳩ヶ谷市内でも、例年よりも早く観察できるかも知れません。

 3月30日 家の庭と隣家の境にクサイチゴの白い花が開花し始めました。ラクダ坂へ行く途中、本町2丁目の林の斜面でもクサイチゴが咲き始めました。林の中のヒマラヤスギではハシブトガラスが営巣中の様子。針金のハンガーが下に落ちており、家の柿の枝や隣家のクリの枝などを巣材用に折っていきます。2月から 3月中に市内で確認したカラスの巣は14ヶ所24巣で、そのうち古巣と思われるものが10巣ありました。これからの季節巣に近づくとカラスに襲われることがあるので注意が必要です。

鳩ヶ谷から絶滅した生物・絶滅しつつある生物 9

アマガエル

体長4cmほどのカエルで、5〜6月頃に池などの水草に産卵しますが、産卵期以外は草や木の上などで生活します。写真のように周囲の色に合わせて、数分の内に体の色を変化させます。鳴き声はグエッ、グエッと言うような大きな声を出します。

鳩ヶ谷市内でも普通に生息していましたが、近年は見る機会が少なくなりました。梅雨時のアジサイの葉にアマガエル、あるいはカタツムリなどと言った風物詩も、絵や歌の中だけで見るようになりつつあります。


地球温暖化を考える(1)

 以前にも少し触れましたが、地球温暖化防止を進めるために「埼玉県地球温暖化防止活動推進委員」制度というのが、平成17年4月に発足しました。発足当時は、鳩ヶ谷市内では私一人でしたが、次年度から3名になり、今年の4月からは8名になるそうです。市内でも関心を持って活動をする人が増加することは大変良いことだと思っています。地球温暖化に関しては、近年テレビや新聞などで報道が盛んに行われています。しかし自分の目で、あるいは何らかの形で経験して見てみないと実感できないものと思います。例えば、ヒマラヤの氷河や北極の氷が溶けていると言われても本当かな?と思うのが現実でしょう。私も、現実はどうなのかと思い、2006年7月にアラスカへ氷河を見に出かけました。実際に目で見る氷河は、2枚の写真のように山岳氷河が後退、崩壊した山の土砂が下流の河口域に広く堆積し、そこへ足を踏み入れると抜け出ることが出来なくなるそうです。

 氷河が溶けて流れ出た海水面には、ラッコ・アザラシ・海鳥の群が集まっていました。

ハーバート氷河(山の地肌が見えている) 氷河が奥の方まで後退しています