No.75 2010年9月  

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (88)

ヒクイナ(クイナ科) Porzana fusca

漢字で書くと緋水鶏、体の上面は褐色で下面は喉の白色以外は赤褐色なので、一見すると赤っぽい鳥という感じがします。しかし、この配色は日陰や草むらに入ると黒っぽく見えカムフラージュになります。嘴は黒く、脚は赤、下尾筒には白い横縞があります。鳴き声は、キョッ、キョッ、キョッ、キョッと鳴きます。この声が万葉集に歌われている“クイナのとをたたく音”の所以です。

この仲間ではバン、オオバン、クイナ等が現在でも鳩ヶ谷市内で少なからず生息が確認されていますが、ヒクイナの生息は確認されていません。しかし、30年ほど前までは市内でも繁殖が確認されており、旧NHK敷地内(鳩ヶ谷高校)の湿地での観察例がありました。

 

自然の記録:

 9月 1日 庭のボタンクサギにいたクロメンガタスズメの幼虫は、何処かへ移動したようで姿が見えませんでした。成虫になった姿が見られるか楽しみです。

 9月 2日 湧水公園でホソコバネナガカメムシ、ホソハリカメムシ、マガリケムシヒキ等が観察されました。

 9月 4日 我が家の庭でアカボシゴマダラを観察しました。いずれは来るであろうと思っていましたが、2年前に旧芝川で確認されて以来の記録です。鳩ヶ谷市内で2例目の記録となりました。

 9月 7日 江川と見沼代用水の合流点付近で、クロスジギンヤンマの雄1頭が飛んでおり、カルガモ16羽が休息していました。

 9 月8日 朝から降雨、台風9号の影響とのことであるが12時頃には、かなり強い雨となり下半身ずぶぬれとなりました。しかし、植物にとっては恵みの雨となったことでしょう。

アカボシゴマダラ  セスジスズメの幼虫

 9月 9日 庭の柿の木にコゲラ2羽、シジュウカラ3羽が飛来して、頻りに幹を突いて採餌していました。また、久し振りにコミスジも飛来しました。

 9月10日 秋型のキチョウが飛来し、ヤブガラシの葉にセスジスズメの幼虫がいました。黒い体に赤と黄色の斑点がある綺麗なイモムシです。

 9月13日 夜になり、風呂場に生まれて間もないヤモリが入って来ました。あまりにも小さいので潰さないように外へ出そうとしましたが、結構手間取りました。

 9月14日 鳩ヶ谷小学校の校門近くで、子供達が20人ほど集まっていたので声をかけ、見るとバケツの中にヒキガエルが入っていました。背中を触る子、気持ち悪いという子、等様々でしたが、皆興味津々のようでした。後で、先生が何処かへ放しに行くと言っていたというので、その場を離れました。

夜になり、今夜は10cm前後の大きさのヤモリが風呂場に現れました。少し涼しくなってきたので暖かいところへと来たのかなと、勝手な解釈をしています。

 9月15日 鳩ヶ谷小学校の中庭でモンクロシャチホコの幼虫が大発生し、中廊下などの地上を這いまわっていました。

 9月16日 朝からかなり強い雨が降っていましたが、昼過ぎには小止みとなり青木信用金庫裏通りでエンマコオロギの声が聞こえました。恐らくマンション敷地内の庭で鳴いているものと思われましたが。今年、初鳴きでした。

 9月17日 夜になって風呂場の網戸にハラビロカマキリのお腹の大きな雌が留まっていました。翌朝になっても同じ場所から動かず、ここで産卵かと思いましたが、昼前に移動したようです。植木鉢の側面ではホシヒメホウジャクの雌雄が交接していました。

 9月18日 ここの所、常連はナミアゲハとヤマトシジミ、キタテハ、ナガサキアゲハ、時々秋型のキチョウが飛来する程度で昆虫類の姿がめっきり減少しました。その代わりに夜鳴く虫の声がよく聞こえるようになりハラオカメコオロギ、ツヅレサセコオロギ、アオマツムシの声が目立ちます。時々カネタタキの姿も見かけるようになりました。

ブロック塀には擬態したようなキノカワガが留まっていました。翅のところどころが盛り上がったようになっていて、まるで樹皮の一部のように見える蛾です。止まった場所によって変色するのか灰褐色、暗褐色、緑色を帯びたものなど、様々な色のものがいます。樹木の幹にじっととまっていることが多く、成虫で越冬します。幼虫の食草はカキ、マメガキの葉です。

キノカワガ ホシヒメホウジャク

 9月23日 台所の壁に黒褐色で、翅の中央やや下よりの部分に一対の白色紋を持つ細長いオオモンシロナガカメムシがいました。普段は林の縁や落ち葉の上などで見かけることが多い昆虫ですが隣家の庭が広いので、いろいろな樹種の樹木があることから我が庭にも飛来してくるようです。

 9月24日 洗面所の天井付近に足の長いクモがいました。イエユウレイグモというクモで、とても足の長いクモでゆらゆらと揺れている感じでした。少し触れると体中をゆするようにして、まるでダンスを踊っているかのようです。

オオモンシロナガカメムシ イエユウレイグモ

 9月26日 センチコガネ4匹が家の周りの側溝に落ちていました。殆どの花が枯れてしまいましたが、ハゼラン(三時草)、ゲンノショウコ、ツユクサの3種類が細々と花を付けています。

9月27日 一日中、冷たい雨に見舞われて冷え込みました。10日前までの暑さが信じられないくらいです。

 9月28日 地蔵院脇の道路上にハクビシンの糞が落ちていました。糞の中には柿の種子がいくつか入っていました。市内でもハクビシンの目撃例が増加しています。まだ、アライグマの情報はありませんが、安行領家あたりまでは進出しているので近い将来確認される可能性があります。

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 39

ミツカドコオロギ(コオロギ科)

 

体長15〜19mmでハラオカメコオロギとよく似ています。畑や草原でふつうに見られるコオロギでしたが、そのような環境が減少したことからミツカドコオロギも見る機会が少なくなりました。成虫は8月から現れ、ジジジジと鳴きます。他のコオロギの仲間と異なり、顔面の形に特徴があります。三角と言われる名の如く特徴のある顔の形をしています。

 

地球温暖化を考える(31)

朝霞調節池

朝霞調節池は、新河岸川流域の洪水対策のために作られた調節池ですが、荒川と新河岸川にはさまれ、荒川の東側には彩湖があります。平成19年に不発弾の処理が行われたことにより知られるようになりました。池の中央より北側には島がありこんもりとした林になっています。夏の暑い時期に林の中に入るとかなり涼しさを感じます。池の周辺は各種の湿地性植物が繁茂しており、トンボ、その他の昆虫類の生息に適した環境になっています。

池の南側から東側にかけて道路工事が進んでいますが、橋梁工事の際に多くの植生が減少し、そこに生息していた生物は一時的にいなくなりましたが、少しずつ戻ってきているようです。

調節池の整備を進めている朝霞水門付近では、埼玉県内で絶滅していたと考えられていたトダスゲという植物が確認され、また、全国的に減少しているフジバカマなどの希少な植物の生育も確認されています。

幸いにして河川沿いに緑と湿地などが多いために、これらをつないでいくと生物の移動も可能となり多様な生物の生息が可能となります。

湿性植物移植調査地 調節池北側
外来種のオオカワジシャ コフキトンボ
ササゴイ 飛ぶカワセミ