No.95 2012年5月

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New!! 『郷土はとがや』投稿 2012/06/10

  鳩ヶ谷の生物 十五 都市鳥になったハクセキレイ

  蝶から見た温暖化3

鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (108)

ビンズイ(セキレイ科) Anthus hodgsoni

夏は高原や山岳地帯で繁殖し、ヒバリのさえずりのようなチチロツイツイツイビーンビーンというような声で囀るところから木雲雀(キヒバリ)の別名があります。囀りの途中で必ずビーン・ビ−ンと言う感じの声が入るのも特徴です。冬は平地の公園や明るい松林などに飛来し数羽〜10数羽の群れで行動しています。セキレイの仲間ですので尾を振る行動が識別の特長にもなります。

鳩ヶ谷地域でも春と秋の移動の時期にはツィーツィーと鳴きながら家の上空を通過することがありましたが、ここ数年は声を聞くことがなくなりました。京都御所や浜離宮などの庭園では冬の間よく見かけますが、ここでも殆どが明るい松林にいることが多いようです。

この仲間は良く似ており、タヒバリ、ヨーロッパビンズイなどとの識別に注意が必要です。

 

自然の記録:

 5月 1日 辻のH氏よりクロアゲハの初認情報を得ました。地蔵院の門前の植え込みでチャバネアオカメムシを観察。

安行慈林周辺を散策し、朽木の中からコクワガタの雌を見つけました。孵化したばかりのセスジツユムシの幼生が数匹草むらにいました。

 5月 2日 午前7時30分、家の上空をカルガモ3羽が通過しました。

 5月 3日 今日は、よく雨が降りました。午後6時40分に庭に出ると叢に動物の気配がしました。野良猫がいたので集まってきたのかと思っていると、おもむろに立ち上がりこちらを伺っています。アライグマのお出ましです。このアライグマは逃走するかと思いきや、ゆっくりと筆者に向かってきました。筆者の足元をまたぐようにして庭を徘徊し、門を飛び越えて、慈林町会の物置の下へ入って行きました。物置の下には三光稲荷からの流れが江川までつながっています。4月30日に始めて姿を確認したのですが、庭の数か所でアライグマの糞を見つけました。どうやら4月以降時々我が家の周りを徘徊していたようです。

近寄ってくるアライグマ 柿の木を上るアライグマ

 5月 4日 3日間雨が降り続いたので湧水公園のカルガモの様子を見に出かけたところ、雌が叢の巣の脇にいて6個の卵が確認できました。池面と巣の高さが同じであるのでかなりぬれていました。通常、親鳥のダウンが敷き詰められるのですが、この巣では全くダウンがありませんでした。巣を覆っていた草(セキショウ)を広げて日が当たるように配慮していました。親鳥も全く逃げたりおびえたりすることもないので、この状態ならば何とか孵化までいけそうな感じでした。

午後5時10分にアライグマが出現し10分ほどで消失、そして5時50分〜6時30分までの間再訪しました。この個体がいつもの個体と同じかどうかわかりませんが、隣家の屋根をよじ登り柿の木を伝わってブロック塀伝いに外へ逃走しようとしましたが、人が歩いてきたら首を引っ込めて通過するのを待って、駐車場へと消失しました。この個体は柿の木に上っていたため下から写真を写すことができました。その結果、乳房が大きかったので子育て中の個体と考えられます。頻繁に現れる理由がわかりました。

アライグマが消失した後に家の周りをアブラコウモリが1頭飛び回っていました。

 5月 5日 今日は多少風があったものの良い天気に恵まれて、アゲハ、キアゲハ、クロアゲハ、アオスジアゲハ等のアゲハチョウの仲間が市内各所で観察できました。里小学校の見沼代用水沿いでは交雑したタンポポ200株とカントウタンポポが数株咲いていました。

ヤマトクロアリが水道のメーターボックスの中に巣を作ったために泥の山となり、ものすごい数のアリがいました。悪いなと思いましたがアリを含めて巣ごと撤去しました。

 5月 6日 午後から激しい雷雨となりましたが雨が上がり始めた4時30分過ぎにアライグマが現れました。いつもは家の門を越えて出ていきますが、今日は門外で工事を行なっていたためか、家の裏を一回りして、空き家となっている隣家の庭へ消失しました。

 5月 7日 ユズの木にアゲハチョウが産卵に来ていました。今年になって家の周りでアゲハチョウを見たのは2度目です。

 5月 8日 今朝はクロアゲハが飛来しました。庭の草むらからはクビキリギスが飛び出しました。

 5月12日 隣家の側溝でトキワツユクサ、家の周りではオッタチカタバミ、ムラサキツユクサ、ウラジロチチコグサ、ユウゲショウ、テイカカズラ等が開花しました。クモ類の動きも活発になり庭の草陰ではササグモがあちらこちらに見かけますが、カナヘビが狙っています。

 5月13日 庭のあちらこちらでコメツキムシの仲間を見かけるようになりました。ゲッケイジュの葉にはアシブトクチバという黒褐色の地に太い白帯がある奇麗な蛾の仲間がいました。我が家の庭では初記録です。

アシブトクチバ  駐車場のライトに営巣中のツバメ

 5月14日 アカボシゴマダラの春型が見られました。旧鳩ヶ谷市内でツバメの巣の調査を行いました。12か所で巣がありました。5か所は古巣のみ、雛を育てている巣は1巣もありませんでした。毎年繁殖していた三ツ和の民家は空き家になりましたが、近所の人の話では巣を作り2羽の雛がいたが巣ごと無くなったとのことでした。観察中、2羽のツバメが巣材を銜えてきたので、営巣の可能性がありました。三ツ和公園の近くの民家の駐車場ではライトの上に営巣中で、家人に聞いたところ今年初めてで楽しみにしているとのことでした。

湧水公園のネズミモチの生け垣の地上に、インドネシアのスラウエシ島などに分布するアトラスオオカブトムシの雌雄の遺骸が捨てられていました。ネットなどで販売されているので比較的簡単に入手できるようです。3本の角を持った10cm位の大きさのカブトムシでした。雌は日本のカブトムシの雌と同大の大きさでした。生きている物を放棄したのではないので良いのですが、生きている昆虫を放棄すると生態系の攪乱を起こす可能性がありますので、購入したら最後まで飼育して欲しいものです。

アトラスカブトムシの遺骸 アカボシゴマダラ(春型)

 5月17日 湧水公園のカルガモは抱卵中、ギンヤンマとアジアイトトンボが見られました。菖蒲田では2羽のツバメが巣材用の土運びをしていました。水田がなくなった鳩ヶ谷では菖蒲田の土は巣作りには欠かせない良質な材料です。クロアゲハやアゲハチョウなども吸水に来ていました。池の中では大きなコイと共にニゴイが2尾泳いでいました。誰かが放流したのでしょう。

 5月21日 日本中が金環日食で湧いた一日でしたが、筆者は18日より日本海の孤島にいたため、金環を見ることが出来ず、三日月様のような形でしたが、それなりに感激して楽しむことが出来ました。

 5月23日 楽しみにしていた湧水公園のカルガモの孵化は失敗に終わったようです。菖蒲園で作業をしている人から3日前からカルガモの姿を見るが巣にはいる様子がないので放棄をしたのではないかとのことで、卵を確認したところかなりの大きさまで育っていたようですが途中で発育が停止したようです。雨が多く池の水位が上がっており巣の内部まで水がきており、卵の下は冷えている状態でした。

毎日午後になると子供達が遊びに来るため、巣に戻れないことも影響したかも知れません。

 5月25日 庭のあちらこちらでホソヘリカメムシ、ホウズキカメムシが活動していました。ユキノシタの花がようやく開花し、クサイチゴの赤い実が沢山出来ていますが甘いのかアリが群がっていました。

 5月26日 はとがやに里山をつくる会主催の環境講習会が湧水公園で行われました。主に観察されたものはスズメ、ツバメ、コイ、ニゴイ、モツゴ、カダヤシ、メダカ、ヌカエビ、ウシガエル、シオカラトンボ、モンシロチョウ、アカボシゴマダラ、キマワリ、キキョウソウ、アカバナユウゲショウ 等でした。湧水公園からの帰途、ラクダ坂付近の林縁でスイカズラの黄色と白色の花が咲いていました。

12時頃に南の空に弧を描いた虹のようなものが見えました。

モンクロシャチホコ 2〜3齢 モンクロシャチホコ 終齢幼虫

同じ種類の幼虫とは思えないほど、色が異なります。別名はサクラケムシ

 5月27日 安行の興禅院にある川口野鳥の森周辺を散策してきました。隣には植物振興センターがあるので周辺が緑に囲まれています。そのため、蝶の種類もアゲハチョウ、アオスジアゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハ、アカボシゴマダラ(多い)、キマダラヒカゲ、スジグロシロチョウ、モンシロチョウ、ダイミョウセセリ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、アカシジミ等12種類、マエアカスカシノメイガ、分布を拡大中のヨコヅナサシガメ等が観察できました。これらのうち、アカシジミは久し振りに記録です。

庭ではコンボウヤセバチやサキグロムシヒキ(アブ)等が飛び回り、ヤマトクロアリの巣をオオヤマアリ10匹が襲って50匹以上のヤマトクロアリを殺傷していました。小さな庭でも弱肉強食の世界が繰り広げられています。蜘蛛の巣にはゴミムシの仲間5匹がかかって乾燥したミイラのようになっていました。

 5月29日 裏の門柱にヤモリの子どもがいました。5cmに満たないほどの大きさでしたが元気に走っていきました。ピラカンサの葉上にはウメエダシャク3匹が蛹化していました。葉の中央に乗り、体の回りに糸を巻いていました。その他、カラフルなモンシロドクガやドクガの幼虫などが見られました。裏庭のビワの葉にはウラナミジャノメが飛来しました。

 


鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 59

トガリバアカネトラカミキリ(カミキリムシ科)

関東では普通種といわれるトラカミキリの仲間ですが、鳩ヶ谷地域で見る機会はそんなに多い種類ではありません。この仲間はハチに似ているのが特徴ですが、トガリバアカネカミキリも一目見た時は黒っぽいハチの仲間かなと思いましたが、レンズを通してみると肩の辺りに赤みがあり、姿はカミキリムシでした。この仲間にはよく似ている種類が数種類あるので見間違いしやすいのですが、カミキリムシの仲間が減少しているので出会うこと自体が稀になりつつあります。

 

地球温暖化を考える(50)

仮称・はとがやの湧き水の里に関連して(12)

●  カルガモの繁殖

湧水公園で2度目の繁殖となります。5年前に繁殖した時には孵化した雛は全てカラスの被害にあって成長しませんでした。今回は何とか育って欲しいと思いましたが残念な結果になりました。

5月 4日 雨が止んだので巣の様子を見に行ったところ、巣の脇に雌がいて卵が日陽にあたっていました。

5月 5日 巣の中に6卵を観察、親鳥は2羽とも留守で、川口高等学校近くの諏訪下橋付近で泳いでいました。

5月14日 子供達が巣の真上から池の中に網を入れてメダカなどを採っていましたが、カルガモはじっと抱卵していました。子供達はカルガモがいると思ってもいないでしょう。カルガモの抱卵期間は25日〜28日と言われているので、20日頃には雛が孵るのではないかと思っていましたが、25日になっても孵化しませんでした。卵を陽に透かしてみると羽毛が生えており孵化寸前まで行っていたようですが残念ながら親鳥は途中で放棄したようです。池の周りに生育しているセキショウを巣材として使用していましたが、水位が上昇し卵が水に浸っていた可能性があり、親の転卵、抱卵の甲斐もなく全て死亡したようです。

しかし、どういう訳か26日に5卵、30日に3卵、31日に2卵と減少していました。

放棄されたカルガモの卵 咲き始めた菖蒲園の花々

● 池の工事関係

学校が終わると子供達はザリガニ釣りや魚採り等をしに湧水公園に集まってきます。子供達が跳んで壊れた橋に飛び移ったり、時には落ちる子もいるようですので、コウホネの池の壊れた橋の周囲全体をフェンスで囲いました。以前よりフェンスの囲いを行っていたのですが、池の中にコンクリを投げ込んだりして飛び石を作り、壊れた橋へ飛び移る子どもが後を絶たず危険性があったので再度、市の公園課にお願いしました。

このフェンスは、当初は7月に入ってから壊れた橋を撤去後取り外す予定でしたが、梅雨に入る前に撤去作業が行われることになり、31日に撤去されました。

撤去された橋の廃材はかなりの量になり、小型トラック数台分ありました。

正面から見たフェンスの囲い 菖蒲田から見た囲い
古い橋の撤去作業 撤去された橋の一部