No.150 2016年12月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (163) 

ウソ(アトリ科) Pyrrhula pyrrhula

ウソ(雄)

ウソはスズメよりも一回り大きい小鳥です。雄は灰色と黒色、雌は茶色と黒色の配色ですが、雄の頬から喉には目立つ赤色があります。亜種には、喉の赤い部分がお腹の方までうっすらと赤いアカウソ、喉からおしりの方まで鮮やかな紅色をしたベニバラウソなどがいます。日本では本州と北海道の山地の針葉樹林で繁殖し、冬には南下し平地の林でも見られます。ウソは、一般的には漂鳥ですが、冬に外国から渡来してくることも確認されています。古くは人間が吹く口笛のことをオソと呼び、この鳥の鳴き声が口笛のようなのでウソとなったとか。

しかしウソは群れをつくってサクラ並木や果樹園などにやって来て、ふくらみかけた花のツボミを食べるので害鳥として嫌われています。ウソは漢字で書くと鷽と書き、琴引鳥とか鷽姫などとも呼ばれています。鮮やかな色をした雄を照鷽、晴鷽、地味な褐色の雌を雨鷽や黒鷽と呼ぶ地方もあります。福岡県の太宰府天満宮などで、参詣者が木製の鷽を替え合う「鷽替」という神事があるが、俳句では「鷽替」は新年の季語とされている。

川口市内でのウソの記録は少ないが過去に数例の記録がある。

 

                   早起きの鷽が琴弾く父の山 黒田 杏子

 

自然の記録:

12月 1日 柿の木に多くの鳥が集まり、残りのカキの実が少なくなってきましたが、今日は特に種類個体数が多く賑やかでした。メジロ、スズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、オナガ、ハシブトガラスに加え、アカハラが飛来しました。

カキの実を食べるアカハラ シジュウカラ ヒヨドリ
アトリ ハラビロカマキリを銜えたモズ 魚を捕らえたカワセミ

12月 5日 鳩ヶ谷本町4丁目の東縁見沼代用水沿いにある斜面林のエノキにアトリの群れがいました。シジュウカラ、メジロと混群でしたが行動は別のようでした。旧鳩ヶ谷市内では24年ぶりの記録となりました。過去2例の記録はすべて桜町6丁目での記録でした。庭では相変わらず、メジロ、スズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、キジバト等の群れが飛来しています。

12月 6日 鳩ヶ谷本町4丁目の斜面林のエノキに飛来したアトリの群れは今日もしきりに餌を食べていました。

久しぶりに旧芝川を往復4km歩いてきました。今年は例年になくカモ類の数が少なく、種類はカルガモ、コガモ、オナガガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロの6種類73羽でした。他の水鳥類はバン、オオバン、アオサギ、ゴイサギ、コサギ、ユリカモメ、カイツブリ、カワウ、小鳥類はアオキ水門近くの土手でベニマシコの声が聞こえましたが姿を確認することはできませんでした。ベニマシコは2007年1月13日以来9年ぶりの記録です。その他、カワセミ、ツグミ、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメ、モズ、シジュウカラ、キジバト、オナガ、ジョウビタキ等でした。暖かかったのでミシシッピアカミミガメも10頭ほどが甲羅干しをしていました。

12月 8日 モズが枯れ木で何かを捕っていました。銜えてきたものを見るとハラビロカマキリでした。12月でもカマキリがいるのかと思いましたが、それだけ暖かいということなのでしょう。モズは百舌鳥や鵙等と書きますが、カエルやトカゲあるいは昆虫類を捕らえて、生け垣や鉄条網などに突き刺す習性があり、「鳥仲間の処刑人」と呼ぶ人もいます。 

12月 9日 午後3時過ぎに我が家の玄関前に1頭のタヌキが現れました。2014年5月2日以来ですが、その時と同じように疥癬症に罹患していました。玄関前に座り込み人が近づいても逃げる気配もなく、様子を見ていると少しずつ動き始め、木から落ちたカキを食べ始めました。背中から胸にかけて脱毛し皮膚は赤むけになっていました。近年見かけるタヌキのほとんどが疥癬症に罹患していることが多く痛々しい気がします。しかし、不用意にタヌキに触ったりすると疥癬が移る可能性があります。疥癬の原因はヒゼンダニと呼ばれるダニの仲間の感染により発症します。ヒゼンダニの種類もいろいろあり、普通ヒゼンダニと言われるものはヒトヒゼンダニで、イヌに感染するものはイヌセンコウヒゼンダニ、イヌの耳に感染するものはイヌミミヒゼンダニ、ネコに感染するものはネコショウセンコウヒゼンダニと呼ばれている。タヌキはイヌやキツネと同じ仲間なのでイヌのヒゼンダニが感染する可能性が高いようです。

疥癬症に罹患したタヌキ 久しぶりの霜柱
街灯に止まるユリカモメ カイツブリ(旧芝川) 電線に止まるオナガ

12月10日 北風が吹いて寒い朝でしたが、日だまりとなっていた玄関脇に昨日来たタヌキが来ていました。ドアの前にいたため10cmと離れていませんでしたが、タヌキは顔を上げただけで動こうともしませんでした。しかし、野良猫が近くに来た途端どこかへ立ち去りました。

残り少なくなったカキにオナガ10羽、ムクドリ、ヒヨドリ、スズメの群れが集まり賑やかです。

12月13日 6日に聞いたベニマシコの声が気になって、姿を見るべく出かけたが見ることができなかった。しかし、イソヒヨドリの雌1羽を見ることができた。ここ数年は冬になるとイソヒヨドリの雄や雌が時々観察されるようになった。カモ類の個体数はほとんど変わらずであったが、アオジ2羽を見ることができた。今日観察された野鳥は29種類でしたがカワセミがよく出現し、カメラマンたちも右往左往していました。

12月16日 よく晴れた一日でしたが、朝はかなり冷え込んで久しぶりに霜柱を見ることができました。10数年前までは庭一面に霜柱が立ち日中は溶けてぬかるみのような状態になりましたが、近年は霜柱を見ることが珍しくなりました。

12月17日 近所のカキの実がほとんど無くなりましたが、オナガの群れが残っているヘタをつついていました。メジロは乾燥して残っている小さなイチジクの実を啄んでいました。

12月21日 今日は冬至でしたが、暖かい一日となりました。庭のユズをいくつか取って柚子湯としました。体を温めて、風邪知らずということですが、この習慣は冬至と湯治の語呂合わせからともいわれているようです。冬至は、一年の始まりともいわれていました。12月中旬過ぎても元気な蝶が飛んでいます。

竹垣に止まるムラサキツバメ キタテハ

12月26日 ピラカンサやカキの実が無くなり、鳥の声が静かになるかと思っていたが意外と賑やかです。今朝はキジバト、ツグミ、シロハラ、ヒヨドリ、スズメ等が訪れてくれました。さすがに昆虫類等の餌生物もいないので滞在時間は短時間です。

 

地球温暖化を考える(103)

赤山歴史自然公園予定地(川口市)

 赤山歴史自然公園予定地の工事が進んでいます。大池から火葬場予定地の環境は大きく変化しており、大池もさらに拡大してきました。北の湿地部分の埋め立て工事が進行しているために、大池への水路が断たれて池の水位が減少、干潟状になっていることからカモ類の姿は見られませんでした。

 北側の湿地は大きく変化して、湿地の植生が危ぶまれますが中心部は何とか残っているので、ヘラオモダカ等の稀少植物が残っていることを期待しています。来年の春までに現在の工事が終わってくれればよいのですが。

大池から火葬場工事中方面 大池から北側の公園予定地
公園予定地最北部付近の湿地

● 最近のニュースでは、グリーンランドの年平均気温は、ここ10数年で地球全体の平均値の2倍に相当する1℃以上上昇している。大気の汚染が氷に付着し、太陽光が氷に吸収されやすくなったためといわれている。しかも、島の氷河の流速も10年前の2倍の速さで一日に37b流動しており、地球温暖化は確実に進んでいるという。デンマークの気象庁によると、例年は5月末から6月初旬に融解を始めるはずのグリーンランドの氷床が、1ヶ月半以上早い4月11日にとけ始めたそうです。
 北極圏の氷全般を観測しているデンマークの気象庁運営の「Polar Portal」では、融氷シーズン開始の定義を「グリーンランドの氷床面積の10%以上の表層部分が1ミリメートル以上融解したとき」としていますが、2016年4月11日にグリーンランド南西部で約12%の氷床が融解したため、融氷シーズンが始まったと判断しました。

 

2016年度に観察された生物

 

野鳥:カワウ、カイツブリ、カンムリカイツブリ、カルガモ、コガモ、オナガガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ゴイサギ、アオサギ、コサギ、バン、オオバン、ツミ、チョウゲンボウ、イソシギ、ユリカモメ、セグロカモメ、キジバト、コゲラ、カワセミ、ヒヨドリ、モズ、ハクセキレイ、キセキレイ、ツバメ、イワツバメ、ジョウビタキ、イソヒヨドリ、ツグミ、アカハラ、シロハラ、ウグイス、メジロ、シジュウカラ、ホオジロ、アオジ、オオジュリン、アトリ、カワラヒワ、シメ、スズメ、ムクドリ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス(48種類)

 

動物:タヌキ、シマヘビ、ジムグリ、ヒバカリ、タカチホヘビ、アズマヒキガエル、ウシガエル、ミシシッピアカミミガメ、イシガメ、カナヘビ、ヤモリ、コイ、カダヤシ、アカテガニ、クロベンケイガニ、ギンメッキゴミグモ、ササグモ、ジョロウグモ、ジグモ、コイ、カダヤシ、オオミスジコウガイビル、クロコウガイビル(24種類)

 

昆虫類:アゲハチョウ、アオスジアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ、ジャコウアゲハ、モンシロチョウ、モンキチョウ、キタキチョウ、ツマキチョウ、ベニシジミ、ルリシジミ、ヤマトシジミ、アカタテハ、キタテハ、ヒメアカタテハ、ルリタテハ、ツマグロヒョウモン、コミスジチョウ、アカボシゴマダラ、サトキマダラヒカゲ、ヒメジャノメ、ヒメウラナミジャノメ、イチモンジセセリ、アケビコノハ、アトジロエダシャク、ウメエダシャク、エゾギクトリバ、オオタバコヤガ、オオスカシバ、オオミノガ、カレハガ、キイロスズメ、キノカワガ、クロハナコヤガ、シモフリスズメ、シロオビノメイガ、スジモンヒトリ、セスジスズメ、チャドクガ、ブドウスカシクロバ、ホシヒメホウジャク、ホソミヨトウ、ヨトウガ、リンゴツマグロアツバ、シロスジアツバ、ヒメセスジメイガ、フトジマナミエダシャク、マメノメイガ、ヨツボシノメイガ、ヨトウガ、ウルマルモンノメイガ、クロゴキブリ、コバネイナゴ、ショウジョウバエ、ノコギリクワガタ、コクワガタ、キマワリ、サビキコリ、アオドウガネ、ドウガネブイブイ、コガネムシ、コメツキムシsp、トラフコメツキ、ウスアカクロゴモクムシ、マルガタゴミムシ、キボシカミキリ、アトモンサビカミキリ、ゴマダラカミキリ、タケトラカミキリ、ナガゴマフカミキリ、ノコギリカミキリ、チャマダラゾウムシ、スグリゾウムシ、トウキョウヒメハンミョウ、オオスズメバチ、コガタスズメバチ、クマバチ、セグロアシナガバチ、ドロバチ、ビロードツリアブ、ヒラタアブ、ヒメヒラタアブ、キオビツチバチ、キンハラナガツチバチ、ハラナガツチバチ、ショウジョウバエ、キイロテントウ、ナナホシテントウ、ニジュウヤホシテントウ、ニイニイゼケ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、アオクサカメムシ、アカシマサシガメ、クサギカメムシ、ホシハラビロカメムシ、ナガメ、ツチカメムシ、ブチカメムシ、ウリハムシ、クロウリハムシ、ヨツボシハムシ、セボシジョウカイ、アキアカネ、アジアイトトンボ、オオシオカラトンボ、オニヤンマ、クロスジギンヤンマ、ハグロトンボ、オオツマグロヨコバイ、マダラカマドウマ、イボバッタ、クビキリギス、ハラオカメコオロギ、ハラビロカマキリ、ベッコウガガンボ、ユスリカsp、(115種類)

 

植物:アオキ、アキノエノコログサ、アキノノゲシ、アミガサユリ、アメリカオニアザミ、アメリカセンダングサ、イヌガラシ、イヌタデ、ウマノスズクサ、ウラシマソウ、ウラジロチチコグサ、エノコログサ、オオイヌノフグリ、オオカワジシャ、オオデマリ、オッタチカタバミ、オニタビラコ、オニノゲシ、オニタビラコ、カキ、カキドオシ、カタバミ、カラシナ、カラスノエンドウ、キケマン、キヌガサタケ、キュウリグサ、ギンヨウアカシア、キンミズヒキ、クサイチゴ、クス、ゲンペイコギク、コウホネ、コオニタビラコ、コデマリ、コナスビ、コヒルガオ、コモチマンネングサ、コブシ、紅梅、サクラソウ、サザンカ、スイセン、スベリヒユ、シュロ、ショウブ、ショカッサイ、ジンチョウゲ、スギナ(ツクシ)、セイタカアワダチソウ、セイヨウタンポポ、センダングサ、ソメイヨシノ、タカサブロウ、タガラシ、タチアオイ、タネツケバナ、タブノキ、ツメクサ、ツクシ、ツゲ、ツメクサ、ツワブキ、テイカカズラ、ナガミノヒナゲシ、ナズナ、ニリンソウ、ネコヤナギ、ノイバラ、ノゲシ、ノシラン、ノボロギク、白梅、ハコベ、ハゼラン、ハナショウブ、ハナニラ、ハルジオン、ハルノノゲシ、パンジー、ヒカンザクラ、ヒガンザクラ、ヒメオドリコソウ、ヒメフウロ、ヒルザキツキミソウ、フキ、ボタンクサギ、ホトケノザ、ミズナ、ミズヒキソウ、ミゾソバ、ムサシアブミ、ムラサキケマン、ヤツデ、ユウゲショウ、ヨウシュヤマゴボウ、ロウバイ(97種類)