No.87 2011年9月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (100)

ソリハシシギ(シギ科) Xenus cinereus

ムクドリ程度の大きさの渡り鳥で、春と秋に日本の海岸や河口の干潟などを休憩地として移動していきます。内陸部の水田や休耕田などでも渡来しますが、鳩ヶ谷市内では過去に1例だけ新芝川での観察記録があります。足と嘴がオレンジ色をしており、嘴の先は黒褐色をしています。上に反り返った嘴が特徴で、これが名前の由来となっています。上に反り返っていると何となく餌を捕らえにくいのではないかと思いますが、土や砂の中に嘴を突き刺して中にいる小動物などを捕らえるのには便利なようです。嘴の先は感覚器のような役目をして鋭敏かつ素早く餌を捕らえます。

 

自然の記録:

 9月 1日 アケビコノハというガの幼虫が、ムベの蔓をかじっているところを見つけました。カメラを近づけると、下の写真のような警戒のポーズ。大きな目玉模様が何となく恐ろしげに見えますが、これが野鳥などから身を守るための擬態になっています。上に上がっている方が後ろで目玉模様のあるほうが頭になります。この場所では2cmほどの大きさのものから6cmほどの大きさのものまで色々な大きさの個体が15匹、これだけ纏まって観察したのは初めてです。

我が家の庭ではナガサキアゲハの雄とクロアゲハが何度も行き来していました。

 9月 2日 台風12号の影響で時々降雨がありましたが、概ね晴れ間が出ていました。今期初めての秋型のキチョウが庭に飛来、キジバト2羽がサンショウの実を食べに来ています。結構好みのようで日中は殆ど食べにきていました。トウネズミモチに5cmほどに成長したシモフリスズメの幼虫がいました。ヘクソカズラの葉にはタケノホソクロバの幼虫がいました。

 9月 3日 今日はキアゲハの雄が飛来しました。数年前までは庭隅にアシタバがあったので幼虫が数匹育っていましたが、今はアシタバが枯死したため飛来するのは珍しいことです。

今年我が家の庭に飛来した蝶は23種類となりました。 

ハラナガツチバチに混じり、キンケハラナガツチバチも時々飛来しています。

三ツ和の友人宅隣の工場敷地に生育しているカラムシにアカタテハの幼虫が3頭、葉巻のように巻かれた葉の中にいました。

 9月 5日 鳩ヶ谷中央病院入り口付近でウドの花が咲いており、葉が殆どなくなっていたので近寄ってみるとキアゲハの幼虫がいました。

見た目に愛嬌のあるアケビコノハの幼虫 ウスキミスジアツバ

 9月 6日 いつの間にかアブラゼミやミンミンゼミの声が少なくなり、ホウシゼミが目立ってきました。ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、アカボシゴマダラの3種が庭に飛来しました。いずれも温暖化に伴って北上中の蝶ですが庭の住人になるとは思いませんでした。

市の環境対策課から連絡があり、辻1054でタヌキの礫死体を拾得し、環境センターに搬送したとの情報がありました。今年は2例目です。

 9月 7日 今日、市内で見かけた蝶はナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、アカボシゴマダラ等南方系の蝶が多く、アオスジアゲハ、アゲハ、クロアゲハ、キチョウ、ヤマトシジミなどであった。南方系の蝶は大きさと派手さで目立ちます。

ウスグモスズは小さく白っぽいコオロギの近縁種でクサヒバリとよく似ていますが、本種には後脚に黒い斑紋がないことで区別できます。関東地方で発見され、帰化種と考えられています。以前は、クサヒバリやマダラスズ・シバスズ等といった小さなコオロギの仲間を普通に見ることが出来ましたが、近年は見たことがありません。

先日観察したアケビコノハの状況を見に出かけましたが、15匹いた幼虫が1匹もいませんでした。まだ蛹になるには早すぎるし、すべてが鳥などの天敵にやられたという可能性もなきにしもあらずですが、最近はマニアが採集して成虫になるのを待ってから標本にすることも多いようです?

 9月 9日 湧水公園に環境対策課が入手したハンノキの苗3本を植樹しました。また、野鳥が持ってきた各種の苗木18本も植樹。植樹の間に観察した生物はオニヤンマ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ショウジョウトンボ、里小学校の児童3クラス約100名がザリガニ釣りに来ましたが、殆ど釣れず網で数匹を捕ることが出来た程度でした。

ヌマエビは100匹以上、モツゴ数匹などでした。

帰宅後、家周りのイヌ走りの上をキイロスズメの幼虫が歩いていました。そろそろ蛹の準備のようです。

 9月12日 家の傍にあるカラムシで今年もアカタテハの幼虫が数匹見つかりました。10枚以上の葉が葉巻状に巻かれていましたが、すでに幼虫の姿が無い葉巻もありました。

アカタテハの幼虫 クロシオハマキ チャハマキ

 9月14日 毛長川沿いに八幡木中学校付近まで路傍の開花植物を観察したところオヒシバ、メヒシバ、アブラススキ、シロザ、スズメノヒエ、アキノエノコログサ、ブタクサ、ニワホコリ、ヒメムカシヨモギ、カタバミ、ヒルガオ、ジュズダマ、チカラシバ等がありました。

庭ではノシランの白い花が満開で、冬になると青い実がなります。実は鳥に良く好まれるようですが、我が家のノシランもいつ頃から庭にあったのか定かではありませんが、現在は大きな塊となって生育しています。

 9月15日 相変わらず家の中でも33℃を越える日が続いています。庭ではコミスジ、アカボシゴマダラ、ヤマトシジミ、アゲハチョウの4種類が常連です。

 9月17日 本町4丁目の路上でカブトムシの雄が轢死していました。恐らく赤井の丘陵地帯から飛来してきたものと思われます。

自宅廊下のカーテンにクロシオハマキという小型のハマキガの仲間が止まっていました。

 9月18日 午後1時間ほど湧水公園に出かけ昆虫の観察を行いました。アメリカセンダングサにウラナミシジミとヤマトシジミが飛来、斜面林の際ではセンチコガネが歩いていました。池の周りではアキアカネ、ショウジョウトンボ、ウスバキトンボ、シオカラトンボ、オニヤンマ、ナガコガネグモなどがいました。

アマゾントチカガミが池面を完全に覆い、更に行き場所が無くなり上に盛り上がり始めています。ゴミ袋3袋分を回収しましたが開水面の面積は殆ど変わりませんでした。

庭のエノキグサにチャハマキが止まっていました。小さな蛾の仲間は葉の裏に止まることが多く写真を撮りにくいのですが、ハマキガの仲間は葉の表面に止まってくれるので良い被写体となります。

 9月19日 鳩ヶ谷中央病院入り口付近のウドにキアゲハの幼虫が7匹いました。纏まってみたのは久し振りのことです。

本町4丁目の幼稚園前のアオキにビロードハマキがいました。鳩ヶ谷市内では2例目の記録です。

 9月21日 大型台風15号の影響で近所のカキやコブシなどの大枝が折れてぶら下がりました。昨日の夕方から月下美人に止まっていたアゲハチョウが午前中も止まっていました。

キアゲハの若齢幼虫    終齢幼虫  ウラナミシジミ

 9月26日 ボタンクサギの葉裏にシモフリスズメの幼虫がいました。大きな糞が周りに落ちていたので気がつきました。昨年はクロメンガタスズメの幼虫を10匹以上確認しましたが今年はまだ確認できません。イチジクの葉裏にはツマグロヒョウモンの雌が雨宿りしていました。

また、イチジクの幹にはカミキリの幼虫が入り込んだようです。イチジクは食べたいがカミキリの居場所も提供したい。難しい選択ですね。

 9月27日 今まで庭にはなかったミズヒキが開花しました。イノコヅチの陰に隠れていたので今まで気がつきませんでしたが、鳥が運んできたのか?また、無くなったと思っていたキンミズヒキも丈は小さいながらも開花しました。

本町2丁目の樹林脇ではオニドコロが3つの翼のようなものをつけていました。トコロ(鬼野老)とは古くから知られており、この根は山芋に似ており太く曲がり髭根が多いところから“野の老人“と見立てて野老とつけられたようです。市内では少なくなった植物の一つです。

 9月28日 里の真光寺境内ではヒガンバナが開花し、見頃でした。球根は数百個が集まり山のように盛り上がって地上に露出した状態でした。同じ境内にあるイチョウには銀杏が鈴なりになっていました。桜町6丁目のラクダ坂下の空き地でも僅かですがヒガンバナが開花していました。

 9月29日 鳩ヶ谷中央病院付近の路上をツマグロヒョウモンの幼虫が歩いていました。人に踏まれるのではないかと思いましたが、以外と動きの早いのに驚きました。

庭のサクラの木の枝にアキアカネの群れが飛来し、各枝先に止まっています。秋空の青い空にアカトンボは絵になります。

 9月30日 昭和橋交差点でルリタテハが飛んでおり車にぶつかりそうになりながらも上手く避けていきました。

コンフォール東鳩ヶ谷の植え込みでハギの花が開花していました。その花を求めて秋型のキチョウが数頭飛来しました。また、周辺ではアゲハやクロアゲハなどが飛んでいました。

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 51

ウバユリ(ユリ科)

鳩ヶ谷で最後のウバユリ(鳩ヶ谷中央病院:2007年4月17日)

ウバユリは薮や林の中に生える多年草です。花盛りのころには根元の葉が枯れてなくなることから,「歯のない姥」という名前がつけられたようですが、葉が残っている場合の方が多いようです。茎の先端につく花は,緑白色で,つぼみの頃は上に向いていますが咲くと水平方向を向きます。ウバユリの鱗茎は食用にもなります。また、デンプンを取って「乳」の代わりに利用したとの話しもあります。ウバユリのウバは「姥」と「乳母」の語源が言われています。

鳩ヶ谷市内では、法勝寺山、権現山、大龍寺山、三光稲荷の林などにありましたが、現在はなくなりました。写真は数年前に権現山の名残の鳩ヶ谷中央病院の斜面林にあったものですが、残念ながら開花前に雑草として処理されてしまいました。

 

地球温暖化を考える(42)

 

仮称・はとがやの湧き水の里に関連して(4)

 

 湧水公園に植樹をしました(9/9)

9月9日 鳩ヶ谷市環境対策課とはとがやに里山をつくる会のメンバー5名で、環境対策課が入手したハンノキの苗木3本、我が家の庭に野鳥がおいていったトウネズミモチ(2),サンショウ(5)、マユミ(1),マサキ(1),マンリョウ(5)、センダン(1)計18本を植樹しました。いずれも蝶や野鳥を呼ぶためのものです。

植樹作業中に里小学校の児童約100名がザリガニ釣り&魚採りに来ましたが、小さな池と水路は子供達で超満員の状況でした。100人もいたら倍以上の広さがないと小さな子供達でも動きがとれず、押しくらまんじゅうの状態でした。

時々このように湧水公園を学校の環境学習に利用していますが、行政間の問題で公園化の進展が遅れているのは残念です。川口市に編入合併しても川口市の計画は24年度まで決まっており、25年度以降の予算に計上されない限り公園化の目処が立ちません。折角計上された土地買い上げ?借り上げ?予算は使用されずに終わりそうです。

はとがやに里山をつくる会では、今ある場所を有効活用して出来るだけ多くの生物が生息できるように活動を進めています。

植樹したマンリョウ センダンの若木
ザリガニ釣りの課外授業をする里小学校の児童

 

第4回週末講習会を行いました(9/10)

 参加者29名、講師および事務局6名

プラザサクラで1時間ほど江口氏によるビオトープ作りのためのノウハウについてレクチャー後、法性寺の境内で、イチョウとクスの大木を囲んで聴診器を使って水の流れる音を聞きました。

個人によって音が聞こえた人と聞こえなかった人がいたようですが、それなりに楽しんでいたようです。

観察会風景 ホテイアオイとアマゾン・トチカガミ

アマゾントチカガミは増殖が早く、8月初めに池の端に少しあるなと思っていたところ、台風による大雨の影響で奥の池にあったものが流れ出し、今では開水面全体を覆って上に盛り上がるような感じです。定期的に除去していかないと枯死した後にヘドロになりかねません。増殖したおかげで池の水は透明になり奇麗になってきたのと、メダカの産卵場所が出来たためにメダカがかなり増えてきたのは良いことです。9月24日には、はとがやに里山をつくる会のメンバー2名でアマゾントチカガミを殆ど除去しました。しかし、26日に降った雨の影響で奥の方にあったものが流れ出て27日には池の半分を占めるほどになりました。放置しておくと今月末には再度除去が必要になりそうです。