No.59 2009年5月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (72)

オナガガモ(カモ科) 

オナガガモは雄の尾羽が針のように細長く伸びているところから名が付いています。英名もPintailです。9月頃になると日本に渡ってきますが、その頃は雌雄同じような色調をしており、尾も短いので雌雄の識別が難しい。しかし、よく見ると雄の嘴の両脇が青灰色をしていますので識別が容易です。11月頃になると羽色が変化し、尾羽も長くなってきますので識別は一目瞭然で誤認することはないでしょう。オナガガモもマガモやカルガモ同様に水面採餌鴨と呼ばれており、この仲間は尾の先が水面につかずに上に上がっているのが特徴です。潜水は行わずに体半分を水の中に入れて尾羽を上に向けて餌を採っている姿を見ることができます。

鳩ヶ谷市内では、旧芝川や八幡木中学校近くの毛長川あるいは東縁見沼代用水と江川の合流点付近でよく見かけます。

 

自然の記録:

 5月 2日 廃棄用ビン・カン容器の中にアオオサムシ6匹が落ちて歩き回っていました。容器の下の土の表面に羽化したばかりのクリイロコガネやマルガタゴミムシ、コウガイビルなどがいました。ピラカンサにいたツマグロヒョウモンの幼虫は奇麗な蛹になり、触るとお尻をふっていました。桜町6丁目でムサシアブミを見つけました。ウラシマソウやマムシグサに似たサトイモの仲間の植物ですが、葉が大きいのが特徴です。漢字で書くと「武蔵鐙」鐙とは乗馬に使用する「アブミ」から来ているそうですが、確かにそのようなイメージです。昨年は小さな葉のみであったが今年初めて咲いたようですが、いつ頃からこの地にあったものか全く解りません。

川口市のK氏より、「アカボシゴマダラが2008年の9月30日と10月3日に、鳩ヶ谷市緑町2丁目のオートレース場の横を流れる旧芝川の土手のエノキで成虫を2頭目撃したという情報がありました。9月30日の個体は羽化不全で、そこで発生したとしか考えられません。」との情報がありました。あまり、増えてほしくない蝶ですが、今年は頑張って確認してみようと思っています。温暖化の指標とされているアカボシゴマダラがツマグロヒョウモン、ナガサキアゲハ、ムラサキツバメに続いて確認されましたが、鳩ヶ谷市も以前に比べ気温上昇が進んでいる目安になりそうです。

5月3日 君子蘭の葉の上をウシカメムシが歩いていました。家の中にサビキコリも出てきました。これから昆虫が面白くなりそうです。

 5月 4日 網戸の外側にナカシロオビエダシャク(蛾の仲間)が張り付いていました。1時間ほど止まっていましたが、飛んだと同時に見えなくなりました。センチコガネとオオシデムシが堆肥置き場で餌を探していましたが、センチコガネは赤紫色に光っていました。

 5月 5日 6時30分頃、庭の片隅でオオスカシバが羽化しました。羽化したては羽が全体に白っぽく見えましたが、9時頃には透明になり縁取りが黒くなってきました。生憎10時頃より雨が降ってきましたが、雑草の間に止まって羽を乾かしていました。恐らく、落ち葉の下で蛹で越冬していたのでしょう。

孵化したオオスカシバ 人面のようなウシカメムシ ブドウスカシクロバ

 5月 8日 雨が止むと同時に、ヤマトシジミやクロアゲハが飛来し、ゴミ容器の下でクワガタの幼虫、クロイロコウガイビル、オオミスジコウガイビル、オオヒラタゴミムシ、オオゴミムシ、等がいました。また、クズの葉にコクゾウムシが発生し、幾組もの個体が交接中でした。

 5月12日 庭のエノキの周りをゴマダラチョウが2頭とクロアゲハが1頭飛び回っていました。おそらく、ゴマダラチョウは庭で羽化したものと思われます。

 5月13日 市内のツバメの営巣状況を調べたところ、10か所,16巣の巣が見つかったが抱卵中の巣は1か所のみでした。八幡木中学の上空をカワウが飛び、幼稚園の林にはオナガ4羽とキジバト2羽がいましたが、巣は見つかりませんでした。

市内を廻っている途中にツマグロヒョウモンを各所で見かけました。

 5月14日 ツマグロヒョウモンの雌が庭に飛来しました。今年5か月間で庭に飛来した蝶はナミアゲハ、クロアゲハ、アオスジアゲハ、ツマキチョウ、モンシロチョウ、キチョウ、スジグロシロチョウ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、キタテハ、ルリタテハ、コミスジ、ゴマダラチョウ、ツマグロヒョウモン、ヒメジャノメ、の16種類が記録されました。

黒色でとても細長く、腹部に朱色の縞があるコンボウヤセバチが柑橘類の枯れ枝に飛来しました。見た目には黒いイトトンボという感じのハチの仲間です。同じ柑橘類に淡黄色で、上翅の4つの黒紋が目立つヨルボシハムシが飛来しましたが、風に飛ばされてしまいました。ルリクビボソハムシがツユクサの葉に止まっていました。

 5月15日 本町1丁目のマンション建設予定地でヒルザキツキミソウが満開、近くの空き地ではシロツメクサが満開となっていました。近所の庭でテイカカズラが満開となりました。我が家の庭ではヒルガオが開花しました。

 5月18日 全身真っ黒なブドウスカシクロバ数頭が庭に飛来し、各種の植物に止まっていました。物干し竿にシオカラトンボの雌が飛来しました。また、スジモンヒトリという全身白色で翅に斑点状の黒帯があるヒトリガの仲間がいました。この蛾は背中に赤い模様があったりして個体変異が多い蛾です。

 5月19日 中央が白色で、周囲が黒色の帯で縁どられた翅を持つ美しいツゲノメイガ(蛾)がモクレンの葉に止まっていましたが、写真を写していたらカキの木の高い位置へ移動。前翅の前縁に白小紋があり、翅の白色部は半透明になっています。幼虫がツゲ属のみの葉を食害し、長年にわたって発生が続くと枯死させることがあるようです。年に2回あるいは3回発生。中齢の幼虫で越冬し4月に食害を始め、幼虫は葉に糸を張りその中で葉を食害する。

オオヒラタシデムシがアオオサムシの遺骸を食べており、殆ど羽だけが残っていました。

 5月20日 旧芝川は低水護岸工事と底土の浚渫工事が6月30日まで続いており、川の水が殆どなくなっていました。干潟状になった川底ではコチドリやハクセキレイが採餌していました。市内でコチドリを見るのも久し振りのことです。岸辺にはアカバナユウゲショウが繁茂していました。自宅庭ではヒメジャノメが飛来し、ミカドガガンボ、ホソヘリカメムシやコメツキムシ等が目立ちます。夜になって台所の壁にウスキミスジアツバという三角形をした小さな蛾が止まっていました。

狭い庭に一斉にドクダミの十字花が咲き始め、夕方には特に目立っています。

スジモンヒトリ アオオサムシを食べる ツゲノメイガ

 5月24日 雨が上がった後、柿の木の下でヨコズナサシガメの成虫とコメツキムシが横たわり、アリが沢山集まって運搬していました。エノキにはクロウリハムシが発生、多くの葉が食べられていました。また、ミョウガの葉にはウリハムシが止まっていましたが食べてはいなかったようです。ブロック塀にはサキグロムシヒキ(アブの仲間)がいました。

 5月25日 一年ぶりにツミを確認、16時頃庭に出たところ獲物を追っている時の声が聞こえたので周りを見渡すと、家の上空を北に向かって飛んでいくところでした。今年もこの辺りで繁殖している可能性があるのかも、と内心期待をしています。

空き缶入れに、アオオサムシとアカオサムシの中間型がいました。緑と赤色が混じり多少紫光沢がありました。午後からルリシジミが勢いよく庭を飛び回っていました。

 5月26日 7時10分に我が家の上空をゴイサギが通過しました。西から飛んできた時には下面が白く真っ直ぐに飛んでくるのでオオタカのような雰囲気に見えましたが、それでも市内では珍しくなったゴイサギです。ジャガイモの葉にはニジュウヤホシテントウが沢山集まり、まるで寄生虫のようです。その間を羽化したばかりのハラビロカマキリが歩いていました。

 5月27日 近所で巣立ったシジュウカラ6羽の群れが庭に飛来しました。親の飛び方に比べスピードがありませんが一生懸命後を追っている感じでした。今日もルリシジミ、ヒメジャノメ、スジグロシロチョウが飛来、キマダラセセリも飛来して一日中庭の植物の葉で休んでいました。

ウスキミスジアツバ ヒメジャノメ キマダラセセリ

 5月30日 ここの所、雨が続いていますがヒメジャノメやキイロガガンボなどが雨の合間を縫って庭を飛び回っています。隣家のツゲの木にオオスズメバチが飛来し、しばらく様子を窺っていました。

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 23

ムサシアブミ(サトイモ科)

三葉の大きな2枚の葉をつけた葉柄はまっすぐ伸び、大きな花も垂直に立って、曲がった所がない植物で、ムサシアブミ(武蔵の国のあぶみ型をした花)と名が付いています。この仲間にはウラシマソウやマムシグサがありますが、とても仲間とは思えません。(アブミ:鐙と書き、馬具の一つ) ムサシアブミは園芸家に人気の植物で商売にしている業者が、産地にやってきて抜いて持っていくこともあるそうです。

鳩ヶ谷市内にあるとは思っていませんでしたが、3年前には見られず昨年は葉のみでしたが、今年は写真の如く花が咲きました。誰が何時運んできたのか、海岸の林に多いといわれる植物なので自生でないのは確かですが。(写真のハート形の葉はドクダミ)

 

地球温暖化を考える(15)

海洋投棄とテグスの投棄

拾い集められた海岸のゴミ ポリ容器にはハングル文字の表示

5月9日から11日まで、日本海の離島である舳倉島へ行って来ました。島では連休前に海岸線に打ち上げられた沢山のゴミ拾いを行ったそうです。回収されたゴミは多種多様で日本のゴミはもちろんハングル文字が表示されているゴミも多く、中国語表示のゴミも回収されていました。日本に近いという地理的な要因が大きいと思いますが、あまりにも多い海洋投棄には唖然としました。しかし、内容を見ると全てが海洋投棄のゴミではなく、恐らく日本国内の内陸部の川を経由して投棄されたゴミもかなり多いのではないかと思います。ここで回収されているゴミは島に流れ着いたゴミの一部に過ぎません。これらのゴミの細かいものは魚類や海鳥の胃の中に入ることもあり、それによって死に至ることもあります。

鳩ヶ谷市内でも芝川を初めとして、旧芝川、見沼代用水、江川、毛長川などの河川があり、それらの河川にも自転車・オートバイ・布団・鳥籠・冷蔵庫・ダンボール・新聞の束、等様々なゴミが投棄され、これから6月にかけては川縁に生えている雑草を抜いて投棄するものが多くなります。

因果応報と言う言葉があるように、捨てる人は気にしていないかも知れませんが、これらのゴミで汚染された水がいつのに日か我々の喉を通過する水になるかも知れません。

釣り人が投棄したテグスにより、足や嘴を負傷している各種の野鳥も散見されるようになりました。これらの野鳥を見ると、痛々しい感じがします。

嘴の周りが腫脹し、片足も負傷したセグロカモメ 嘴にテグスが絡んだウミネコ