No.121 2014年7月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (134)

ツルシギ(シギ科)Tringa erythropus

ドジョウを捕らえたツルシギ

ユーラシア大陸の高緯度地方で繁殖し、東南アジアやアフリカなどに移動する足の長いシギの仲間。足が長いところからツルシギ?夏羽は全身が黒くなり目の周りの白いリングが目立ちます。長く細い嘴で魚などを採りますが、大きなドジョウやカエルなどを獲ることもあります。冬羽は地味な灰色になります。

鳩ヶ谷周辺では、安行の道の駅「樹里安」がある周辺は30年前までは緑広がる水田と休耕田で、その間に水張り田や池、レンコン畑などが。ありました。そのような、湿地上の場所には毎年のように、春と秋に多くのシギやチドリの仲間が渡ってきました、その中で特に目立ったのがツルシギ。今では想像もつきませんが、かつては、川口市にもこのような生態系があったのです

 

自然の記録

 7月 1日 旧権現山や大龍寺山の一部に残っている斜面で、タケニグサ、ヨウシュヤマゴボウ、オオマツヨイグサ、ソクズ、クサギ等の植物がみられるようになってきました。昔にあった植物が各種の工事などの影響で発芽してきたようです。

 7月 2日 庭隅でトカゲを見つけました。我が家でトカゲを見るのは10数年ぶりのことです。今後増えてくれることを期待しています。

 7月 4日 桜町1丁目の東縁見沼代用水沿いを歩いていたところ、ハンゲショウの小群落がありました。ハンゲショウは夏至から11日目を半夏至(半夏生)と呼び、その頃に花が咲き、葉は白く化粧をするところから名がつけられています。漢字では半夏生あるいは半化粧と書き、別名カタシログサの名があります。通常は水辺の湿地などに生育しています。花はよく見るとドクダミの花に感じが似ており、ドクダミ科であることがわかります。また、通常、半夏と書く植物は庭や墓地などで見かけることが多いカラスビシャクのことを指します。夏至の頃に「半夏生ず」という言葉が使われますが、この頃には田植えを終わらせる、農事の節目とされています。

近くにはジギタリスも植栽されていました。こちらは薬用植物であるとともに、間違って食べると大変なことになります。裏庭のプロパンガスを置いてあるコンクリートの上に、コスズメバチがいました。触っても逃げようともせずじっとしていました。

コスズメバチ ボタンクサギ

 7月 8日 大型台風8号が近づいてくるという予想があり、今まで出来なかった庭の畑でジャガイモの収穫を行いました。土を掘るとアカビロードコガネ、クロコガネの成虫が出てきました。まだ動きが不活発であったことから羽化したばかりなのでしょう。一緒に1cm程度の甲虫類の幼虫数匹と15pほどのミミズなども出てきました。庭の各所に蔓延ったボタンクサギも10pほどのピンク色の花を咲かせています。花はきれいですが茎や葉の匂いは強烈です。特に湿度が高いいまどきは手に臭いがつくと中々取れません。それでも人によってはピーナツのような匂いがすると感じる人もいるようで、人の感覚も様々です。

今年はどうしたことか網を張るジョロウグモやオニグモの仲間が全く見つかりません。多い年は一日に10〜15張りほどの網があったのですが、ないと寂しい気がするとともに、自然界で何かが起きているのかと余計なことを考えてしまいます。

 7月11日 大型台風8号が過ぎ去り、急に高温高湿度となり大汗ですが、3年前に小学校の庭から株分けしていただいたウマノスズクサが小さな花を20個ほどつけてくれました。昔は見沼代用水の川べりには当たり前のように生えていた雑草の類でしたが現在は市内では鳩ヶ谷小学校の校庭のみになりました。茶色のラッパのような形をしている花ですが、自家受粉はできませんので、小さなハエの仲間によって受粉されますが結実する確率は少ないようです。ウマノスズクサはジャコウアゲハの食草として知られていますので、何時か飛来することを期待しています。

キボシアシナガバチの巣 ウマノスズクサの花

 7月12日 ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、アカボシゴマダラなどの蝶が時々庭を訪れていましたが、今日は同時に3種類が飛来しました。ツマグロヒョウモンは2006年に初めて市内で確認してから爆発的に増えましたが、ここ数年は落ち着いてきたようです。

 7月13日 庭の竹にキボシアシナガバチが巣をつくっていました。黒と茶色の地味で小さなアシナガバチですが、巣のサナギ部屋の蓋が鮮やかな黄色なのでこの名がある。以前からあったようですが、ここの所雨が多く葉が覆い被さっていたためか気が付きませんでした。普通のアシナガバチと異なり、あまり活発でないようなので見落としていましたが、巣に近づいてみていても、全く無視されたような感じでした。ダリアの茎にはスグリゾウムシ、トマトの幹には沢山のホオズキカメムシが寄生していました。ブロック塀の下にジグモの巣が幾本も見つかりました。普段は自転車を置いているので、自転車の陰になって見えなかったようですが太さが1pほどになっていました。

 7月14日 朝6時30分頃、家の裏でミンミンゼミの声が聞こえました。6月28日に初認を聞いてから、2週間以上の間が空きましたが、少しずつ増えていくことでしょう。庭のカキの木ではニイニイゼミが1日中鳴いてくれました(初認)。門の前でカブトムシの雄がお腹を見せて蠢いていました。野良猫にでもやられたのか大分弱っていました(初認)。

カブトムシ カブトムシの顔 カブトムシ(♀)

 7月16日 朝玄関を開けるとドアの前に小さなシマヘビ(約30p)がいましたが、すぐに草むらに隠れました。ブロック塀には孵化したばかりの小さなカナヘビが張り付いていました。

エノキの枝を剪定していたところ、産卵のために飛来したアカボシゴマダラが飛び出しました。今季初認のキチョウとヒメジャノメが庭を飛び回っていました。

 7月19日 湧水公園のショウブの畑でタヌキの足跡がありました。池の脇の水路では昨年に植栽したヒメガマが穂をつけました。

 7月20日 郵便受けに3mm〜4mmほどの大きさのトビイロケアリ数百匹が入っていました。そのうちの多くのアリは白い卵を持って歩いていました。箒で掃き出しましたが、続々と入っていきました。

 7月21日 今日はかなり減少していましたが、トビイロケアリが侵入しており朝刊の上を歩いていました。アジサイなどを剪定していたところ、ナガメ、マガリケムシヒキ、シオヤアブ、アメリカミズアブ、イチモンジセセリ等が飛んできました。アメリカミズアブは庭のコンポストで大量発生しており、幼虫が蠢いています。また、先日、除去したキボシアシナガバチが再び巣をつくっていましたが、気が付かずにまたもや巣を落としてしまいました。

夕方になり涼しい風が吹き始めたら、18時55分にカキの木でアブラゼミが鳴きだしました(初認)。

 7月22日 夕方涼しくなってきたので、豊田の森と湧水公園へ昆虫の観察に出かけました。豊田の森の中はヤブミョウガ、クサギ、カラムシ、クズ、エノコログサ、イチョウの発芽等が群生していました。ヤブガラシの花にキイロスズメバチ、シオヤアブ等、湧水公園ではシオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ショウジョウトンボ、コシアキトンボ、オニヤンマ、ハグロトンボ(今期初認)やゴマダラチョウ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、アゲハチョウ、イチモンジセセリ、ヤマトシジミ等の蝶が飛んでいました。池では子供たちがアメリカザリガニをとっていました。夏休みなので毎日10数名の子供たちが来ていますが、小さな池の割に個体数が多いようです。帰途、ラクダ坂付近の林縁でアオバヤガを見つけました。通常は標高の高いところに生息しているようですが、台風の影響か?

 7月24日 梅雨明け後、急に暑さが増してきて全国58地点で35℃を超えている。鳩ヶ谷支所から

昭和橋までの間でアブラゼミの遺骸が2匹落ちていました。途中であったA氏より夜祭りの時にタケトラカミキリ2匹が灯火に飛来したと話していました。タケトラカミキリChlorophorus annularisの幼虫はマダケ、モウソウチクなどに穿孔する害虫として知られていますが、近年では市内で見る機会がありませんでした。身近な昆虫であるアオオサムシもずいぶん減少しました。3年前までは家の庭でも毎年10匹以上確認できたのですが。

 7月25日 庭の雑草が伸び放題、3週間ほど前に一度草刈りをしましたが、ヒナタイノコヅチ、サンジソウ、キンミズヒキ、ミズヒキソウ、エノキグサ、センダングサ、ヨウシュヤマゴボウ、エノコログサ、ツユクサ、ヘクソカズラ、イシミカワ、ヤブガラシ、ボタンクサギ、ドクダミ等が蔓延っています。

江川の水質改善のためにホースを使って放流しながら、底の清掃や浚渫作業を行っていましたが、カワウが大きなドブガイを銜えていました。

 7月26日 はとがやに里山をつくる会が、湧水公園および豊田の森で川口市の青少年ボランティアスクールの受け入れ研修を行いました。中学・高校生10名でしたが、ノコギリの使い方から始まり、終了する頃には、竹細工用に自宅へ持ち帰る生徒も多く、大汗をかきながら楽しんでいたようです。ちなみに、湧水公園の炎天下の気温は35℃を超え、藤棚の下で32℃、竹林内では30℃で、温度差は5℃以上で、竹林の中は、かなり涼しい感じがしました。ヤブカの襲撃には閉口しましたが、草刈りも行いました。当日観察された昆虫類は、ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、アゲハチョウ、アオスジアゲハ、アシブトクチバ、オニヤンマ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、コシアキトンボ、アジアイトトンボ等でした。

作業中に竹林内でハエドクソウを数株見つけました。ハエドクソウは根を煎じたり、葉を絞ったりしてハエ取り紙に使われていましたが、近年はハエをとることもなくなりましたので、ハエドクソウも忘れ去られる植物の一つとなりましたが、まだ、旧鳩ヶ谷市内に残っていたのは感激でした。

 7月27日 ブロック塀にアシブトクチバが止まっていました。こげ茶色と白の幾何学的な模様をした綺麗な蛾の仲間です。昨日、湧水公園でも見かけましたが今の時期に発生しているようです。市内の民家のアケビの葉に大きなアオイラガの幼虫が止まっていました。葉の色と紛らわしいので気を付けないと刺される危険があります。

 7月28日 ここの所、昆虫類が少ないので久しぶりに秋ヶ瀬公園に出かけました。 流石に林の中はヤブカの襲撃がものすごかった。しかし、林や草原が多いので昆虫類も豊富でした。

チョウ類はアゲハチョウ、キアゲハ、アオスジアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ、モンシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、コムラサキ、ゴマダラチョウ、アカボシゴマダラ、コミスジ、イチモンジチョウ、ツマグロヒョウモン、キタテハ、ヒメアカタテハ、ヒカゲチョウ、ヒメウラナミジャノメ、イチモンジセセリ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、トンボの仲間はオニヤンマ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ウスバキトンボ、ナツアカネ、ハグロトンボ、甲虫類はカブトムシ、カナブン、シラホシハナムグリ、マメコガネ、ウスバカミキリ、ハチやアブの仲間はオオスズメバチ、コスズメバチ、セグロアシナガバチ、シオヤアブ、ヒラタアブ、アシナガバエ、等70種類以上を観察することができました。野鳥の種類は少なく、ホオジロ、ウグイスが囀り、コジュケイ、ムクドリ、スズメ、ヒヨドリ、ハシボソガラス、ドバト等でした。庭の雨水をためている容器にナガゴマフカミキリが落ちてもがいていました。近くの葉の上に置くとじっとしていました。

ナガゴマフカミキリ キボシカミキリ ウスバカミキリ

 7月29日 庭のイチジクの木がカミキリムシによってかなり影響を受けていましたが、ようやくキボシカミキリを見つけました。オオカマキリやハラビロカマキリも成長が著しく、オンブバッタもかなりの個体数が飛び回っています。ツクツクボウシも早々と鳴き始めました。

 

地球温暖化を考える(74)

 川口市赤山歴史自然公園(2)

赤山調節池の埋め立て工事が進んでいます。今までは、赤山調節池の北側の湿地部分に大量の土砂を運んで整備していましたが、7月10日には赤山調節池のアシ原に土砂を運び始めました。

埋め立てが終わった北側の低地部分には大量の水が流入して大きな池が形成され始めました。池の中にはノカンゾウの小群落が開花しており、希少植物のヘラオオバコの小群落もありました。池の隅ではアオサギが採餌しており、チョウトンボ、ショウジョウトンボ、ウスバキトンボなどが飛んでいました。おそらくこの湿地環境は、いずれは計画上の大池になるものと思われますが、一時的にでも生物の生息場所として利用されることができる場所ができたので、赤山調節池の代わりにはなるものと思われます。暑い日でしたが、林に囲まれているために涼しい風が渡ってくるので、このまま放置してくれた方が自然公園としても良好な環境となるのではないかと思いますが。

北側の部分では今まで畑地や植木畑であった場所が半年以上放置されていたので広い草地が現れています。いずれにしろ地表面が緑で覆われることは良いことです。工事中ですので立ち入り禁止の立札がたっているかと思いましたが全くありませんでした。

埋め立て工事中の赤山調節池
今後、大池となる湿地が形成されつつある
池および湿地帯の予定地 ノカンゾウの群落 ヘラオモダカの小群落