No.99 2012年9月

Loading

鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (112)

マヒワ(アトリ科) Carduelis spinus

 
マヒワの雄

マヒワは平安時代頃から「ひわ:鶸」の名で知られています。語源はいくつかあるようですがはっきりしていません。雌雄異色で、体全体が黄色く、雄は体の黄色さが目立ちます。以前、春の渡りの季節に日本海の孤島である見島(天然記念物の見島牛で知られる)で見た雄は黄色と言うよりもオレンジ色味の強い奇麗な個体で感激したことがあります。雌は黄色みが殆どありませんが、胸や脇腹などに縦線があります。

         大たわみ大たわみして鶸わたる 上村 古魚

 

この句は、マヒワの大群がまるで雲が動くようにして、飛んでいる様を謳ったものです。

マヒワは主に冬鳥として渡来しますが、その数は年によりかなり変動があります。多い年には鳩ヶ谷地域内でも見ることがありますが、ハンノキ、コナラ、ニレといった樹種が少ないため個体数は多くありません。繁殖地であるシベリアなどでの餌の状況により、渡来数の多い年と少ない年があるようです。

 

自然の記録:

 9月 1日 久し振りに僅かながらでも降雨がありました。一時的には涼しさも感じることが出来ましたがダム湖は渇水に近い状況のようです。自転車のカバーの上をクロフヒゲナガゾウムシが歩いていました。茶褐色で大きさは7mm程度、背中には不規則な形の黒色紋を持つヒゲナガゾウムシの仲間で黒色紋は白く縁どられているのでわかりやすいゾウムシです。

ビンカン入れの容器をどかしてみると、カラスヘビの幼生、ヤモリ、ムカデ、マルガタゴミムシ、セアカヒラタゴミムシ、ヒラタゴミムシ等がいました。

 9月 2日 熟してきたイチジクをカラスに取られないように袋をかぶせておきましたが、今朝、取ろうと思っていたところやられました。ここの所、カラスの方がイチジクを優先的に食しており、我々の口になかなか入りません。夕方になり、ハラオカメコオロギが鳴き出しました。

 9月 3日 鳩ヶ谷地域の昆虫類が少ないので安行植物振興センターと興禅院川口野鳥の森を歩いてきましたが、かなり少なかったもののサトクダマキモドキ、マイコアカネ等を見ることが出来ました。その他ナガサキアゲハ、クロアゲハ、ナミアゲハ、ツマグロヒョウモン、サトキマダラヒカゲ、キチョウ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、イチモンジセセリ、コチャバネセセリ等の蝶が観察できました。

 9月 5日 農協前の交差点でカブトムシ雌の遺骸がありました。街灯にでも飛んできたものか?カブトムシを見る機会が増えてきました。

庭のクロガネモチの葉が巻かれているので覗いてみるとビロードハマキの幼虫が出てきました。何時の間につくったのか?枝を数本剪定したので見つかったという感じです。近くの葉にはカネタタキがいました。また、ボタンクサギの花にはキアゲハの雄が飛来しました。隣家のサンショウの木に赤く熟し始めた果実がたくさん実っていますが、キジバトのペアが毎日のように食べに来ています、“サンショウは小粒でもピリリと辛い“と言いますが、キジバトは好んで食べているようです。

 9月 7日 昨日は15時より久し振りに纏まった雨が降り、涼しくなりました。庭ではヒメウラナミジャノメ、イチモンジセセリが飛び回り、ボタンクサギにナガメが飛来しました。セミの声は大分少なくなりアブラゼミとホウシゼミが時々鳴く程度です。

19時過ぎよりエンマコオロギが鳴き出しました。この声を聞くともう秋なのだという感じがしますが、暑さはまだ続きそうです。

ビロードハマキの幼虫 昆虫の宝石 タマムシ

 9月 9日 アブラゼミやミンミンゼミの声が間延びしたような感じになってきました。明らかに季節の移ろいを感じるようになってきました。これからはサシバやハチクマなどのワシタカ類が秋空をバックに南下していきますが、この季節になると空を見上げる癖がついています。

 9月13日 南鳩ヶ谷1丁目の知人宅の窓から外を見ていたところオオスズメバチがたくさん飛んでいました。隣家の枯死したスダジイの木の根元に営巣し、出入りしていました。9月から10月には、オオスズメバチはピークを迎え、巣の大きさは最大となります。そして、この時期が一番危険な時期となります。雄蜂は9月から10月頃羽化して、10月から11月には新女王蜂が生まれます(地域によっても多少時期は違いますが)  オオスズメバチは土の中に巣を作ることが多く、草むしりなどの作業をしていて巣の発見が遅れてしまい刺される危険が多いスズメバチです。  庭では、アオスジアゲハ、ナミアゲハ、サトキマダラヒカゲ、ノシメトンボ等が見られました。庭のイチジクの実をハシブトガラスが取りに来るので、毎日バトルを繰り返していますが、カラスに軍配が上がりました。

オオスズメバチの巣と巣穴 マハゼとフナなど(釣り人のバケツ)

 9月14日 20時ころに西川口駅前のバス停で鳩ヶ谷行きのバスを待っていたところ、街路樹からアオマツムシの涼しげな鳴き声が聞こえてきました。今年初めてですが、蒸し暑い中での鳴き声に涼しさを感じました。

 9月15日 ブロック塀にルリタテハがとまり、ウラナミジャノメが庭隅で飛び交っていました。庭から道路側へ伸びていたキョウチクトウを夏期が終わったので伐採したところ、急に明るくなった感じがしました。本当は切らずに伸ばしておきたいのですが、道路側へ枝葉が伸びていると暗い、毛虫が垂れる、葉が落ちる、等と道行く人たちの言葉が時々聞こえてきます。花の時期だけは奇麗だねといっている声も聞こえるのですが。

 9月16日 夕方、17時過ぎにアブラゼミの声が聞こえてきました。まだ、僅かながら残っているようです。久々にナガサキアゲハの雄が庭を通過し、ホシホウジャクも飛来しました、ここの所夕方になるとシジュカラが飛来しカキの木で蛾の幼虫類を捕食していきます。

辻の水田では稲穂が黄色く垂れ下がっていました。もうじき収穫が始まることでしょう。稲に混じって、オモダカ、コナギ、タイヌビエ、タカサブロウ、チョウジタデ等がはびこっていました。

 9月17日 昨年、安行の植木直売所の片隅で枯れているようなムベの苗木を買い求め、庭隅に植えておきました。今年は2本のツルが伸び始めましたが途中でツルの先端が黒くなりました。恐らく、暑さ負けによるものと思います。ムベを購入したのはアケビコノハという蛾を庭に誘致したいがためでした。今朝、ムベの葉裏に小さな黒いものがあるので近づいてみるとアケビコノハの1cmほどの若齢幼虫でした。10隻もいて驚きましたね。まさか、植栽して翌年に思いが叶うとは思っても見ませんでした。幼虫は独特の形をしていて興味を持ちやすいですが、何とか成虫を見たいと思っています。

地蔵院の境内ではミンミンゼミとホウシゼミが良く鳴いていました。

 9月18日 ボタンクサギに3cm〜5cmほどに成長したシモフリスズメの幼虫が6匹、ヤブガラシにはセスジスズメの幼虫が一生懸命葉を食べていました。夕方になりホウシゼミとエンマコオロギが鳴き出しました。

 9月20日 かわぐち環境大学2012の第2回が旧芝川の自然観察会とのことで、下見を行ってきました。カモ類はまだ渡来していないので野鳥の種類は少なかったが、秋の植物は多く見ることが出来ました。

野鳥:カワウ、アオサギ、カルガモ、クイナ(声のみ)、ハクセキレイ、キジバト、ヒヨドリ、メジロ、シジュウカラ、スズメ。オナガ、ハシボソガラス

その他の動物:タヌキの臭い、ミシシッピーアカミミガメ、ウシガエル、クロベンケイガニ、コイ、マブナ、マハゼ、カダヤシ

昆虫類:エンマコオロギ、イナゴ、キチキチバッタ、ツチバッタ、ギンヤンマ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ウスバキトンボ、アキアカネ、ハグロトンボ、ヤマトシジミ、ウラナミシジミ、モンシロチョウ、ナミアゲハ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、イチモンジセセリ、シロオビノメイガ、ナナホシテントウ

植物(開花&結実):サナエタデ、イヌタデ、オオケタデ、イタドリ、ツユクサ、オナモミ、アメリカセンダングサ、イヌキクイモ、アレチウリ、ゴキヅル、ヤブガラシ、シロザ、ヒナタイノコヅチ、ツルマメ、ハギ、アキノエノコログサ、メヒシバ、オヒシバ、オオアレチノギク、ヒメムカシヨモギ、ホウキギク、アレチマツヨイグサ、ノゲシ、ガマ、フトイ、サンカクイ、カタバミ、タカサブロウ、ジュズダマ、センニンソウ、ヒルガオ、ホシアサガオ、マメアサガオ、アブラススキ、セイヨウタンポポ、ヨモギ、ホソアオゲイトウ、アオガヤツリ、ヨシ、アベリア(園芸種)等

15時過ぎ、庭の上空をハシブトガラス11羽が上昇気流に乗って移動していました。ワシタカの仲間でも追っているのかと思いましたが、ワシタカの姿は見えませんでした。その代わりにイワツバメ3羽とツバメ1羽が飛んできました。庭でイワツバメを見るのは初めてでした。

 9月23日 一日中雨が降っており家の中でも24℃と肌寒さを感じるほどです。庭のムベのツルには2〜3cm程度の成長したアケビコノハの幼虫が見え隠れしています。11匹いたのですが現在見えるのは6匹になりました。

2匹のアケビコノハの幼虫 寄生蜂の繭を背負ったシモフリスズメ

 9月24日 ボタンクサギに寄生したシモフリスズメの幼虫が8匹になり、そのうち6匹が背中に繭を背負っていました。昨日見た時は1匹だけでしたが。この繭はスズメコマユヤドリバチという寄生バチで、は宿主の体表に卵が産み付けられ、幼虫はその体表で生活します。宿主には殆ど影響ないとのことですが?しばらく観察してみたいと思います。

 9月25日 一日中どんよりとした日でしたが、ホタルガという黒地に1本の太い白帯があり、頭部は赤く、黒い触角を持った蛾が飛来しました。柿の周辺の薄暗いところをヒラヒラとゆっくり飛んでいましたが、羽の白帯がよく目立ちました。幼虫はサカキやヒサカキを食べるようです。18時過ぎ鳩ヶ谷本町2丁目上空をササゴイがキュウキュウキュウと鳴きながら移動していきました。家の中の洗面所でカネタタキが歩いていました。声を聞くチャンスは少ないが姿を見ることが多くなってきました。 

 9月26日 柿の実がボタボタと落ちる季節になりましたが、ホウシゼミ(終認)が良く鳴いています。また、後翅がすり切れたウラナミジャノメが庭の暗がりで休んでいました。

 9月28日 ダイコンの新芽にスジモンヒトリが飛来しました。風が強かったので避難していたのかも知れません。アケビコノハの幼虫は5cmほどの大きさに育っていますが、何とか蛹になって羽化するところを見たいと思っています。

 9月29日 夕方になり、ホタルガが再度飛来しウラナミジャノメ2匹と共に庭を飛び交っていました。芝川では久し振りにカイツブリ2羽を観察しました。また、大分遅れていますがヒガンバナが芝川土手の各所で開花し始めました。

 9月30日 鳩ヶ谷駅前でハクセキレイがドバトを追っていました。双方共にもの凄い勢いで飛び回っており、近くにいたドバトも慌てて飛び去りました。                 庭隅にあるセンダングサの花が開花しました。開花前は普通のセンダングサと思っていましたが、花が開いてみると黄色い花の外側にいくつか白い花弁が着いています。アイノコセンダングサというコセンダングサとシロバナセンダングサの交雑種のようです。普通の植物図鑑では掲載されていませんがインターネットには、しっかりと掲載されていました。最近は植物の間でも交雑するものが多くなっているので識別も難しくなっています。また、ダイコンの芽生えの間からカラスビシャクが2本伸びてきて花を付けました。

近くの民家ではユウガオの花が開花しています。

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 63

 クワカミキリ(カミキリムシ科)  Apriona japonica THOMSON 

以前は市内の何処でも普通に見ることが出来たカミキリムシですが近年は見る機会が無くなりました。名前の通りクワの木を初めイチジクなどの穿口性害虫として知られています。しかし、桑の木は東縁見沼代用水沿いにはかなり生育していますが、近年はクワカミキリを見た記憶がありません。身近な昆虫のはずがいつの間にか身近でなくなっていたのです。広葉樹林における造林や植木生産の重要な害虫です。幼虫は樹幹部を食害し,枯死の原因ともなります。1世代に2年から3年を要すると言われていますが、成虫は6月〜9月頃まで活動しています。この写真は桑の幼木ですが2匹のクワカミキリがいました。回りには大きな桑の木がありましたが若い者好みであったようです。

 

地球温暖化を考える(54)

仮称・はとがやの湧き水の里に関連して(16)

湧水公園から見たライオンズ・マンション 開花したタコノアシ

住宅に囲まれた小さな公園ですが、植物が繁茂してくるといろいろな生物が出現してきます。

発芽したタコノアシは無事花を咲かせてくれました。この花が枯れて晩秋になる頃には、茹で蛸の足のような感じになってきます。埼玉県ではENに指定されています。

 昨年に比べればかなり自然植生が目立ってきた感じですが、いろいろな生物を誘致するには、せめて倍くらいの面積の公園になればと思っています。

池の改修工事について

 鳩ヶ谷市の時から懸案となっていた池の改修工事と橋のリニュアール化が計画されています。順調に進めば来年の3月までには工事も終了して、花菖蒲が咲く頃には回遊橋から楽しむことが出来るのではないかと思います。今のところ橋の形や材質などは特定されていませんが、川口市の予算の範囲と言うところでしょう。安全面を優先した改修工事ですが、生物を呼ぶための配慮はされるようです。

●  かわぐち環境大学2012 芝川の環境調査(9/29)

川口市では、市民に環境に関する知識を深めてもらう目的で、複合的な環境学習の場として環境大学を開催しており、今回は2回目として、芝川の自然環境調査の観察会を行いました。ここ数日間の涼しさとは打って変わって蒸し暑い1日となりましたが、参加者は熱心に観察・記録していました。

参加者42名(4班に分かれて各班10名程度)、講師 4名、環境総務課担当者 4名

上青木公民館から旧芝川新青木橋折り返しで約2時間の自然観察会を行いました。

観察された主な生物は以下の通りでした。

野鳥:ダイサギ(1)、アオサギ(1)、カルガモ(13)、コガモ(10)、イソシギ(3)、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キジバト(2)、ヒヨドリ(10)、スズメ(200<)、オナガ、ハシボソガラス、ハシボソガラス、ドバト(50<)、解散後カイツブリ(2) 以上14種類

その他の動物:ミシシッピーアカミミガメ、カナヘビ、ウシガエル、クロベンケイガニ、コイ、マハゼ、カダヤシ、タイリクバラタナゴ等 以上8種類

昆虫類:エンマコオロギ、イナゴ、ショウリョウバッタ、ツチバッタ、セスジツユムシ、ギンヤンマ、ウスバキトンボ、ノシメトンボ、アキアカネ、ナツアカネ、ハグロトンボ、アオモンイトトンボ、アジアイトトンボ、ヤマトシジミ、ウラギンシジミ、モンシロチョウ、キチョウ、モンキチョウ、ナミアゲハ、クロアゲハ、アオスジアゲハ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、アカボシゴマダラ、イチモンジセセリ、ナナホシテントウ、ウズラカメムシ、カツオゾウムシ、ミツバチ、ヨーロッパミツバチ、ハラナガツチバチ、クマバチ等 以上32種類

植物(開花&結実):サナエタデ、イヌタデ、オオイヌタデ、オオケタデ、イタドリ、ツユクサ、オナモミ、アメリカセンダングサ、アイノコセンダングサ、イヌキクイモ、アレチウリ、ゴキヅル、ヤブガラシ、シロザ、アカザ、ヒナタイノコヅチ、ツルマメ、アキノエノコログサ、メヒシバ、オヒシバ、オオアレチノギク、ヒメムカシヨモギ、ホウキギク、アレチマツヨイグサ、ノゲシ、ガマ、フトイ、サンカクイ、ジュズダマ、センニンソウ、ヒルガオ、ホシアサガオ、マメアサガオ、アブラススキ、セイヨウタンポ、交雑タンポポ、カタバミ、クコ、タウコギ、ヨモギ、ホソアオゲイトウ、アオガヤツリ、ヨシ、セイバンモロコシ、タコノアシ、スベリヒユ、ヒガンバナ 、オモダカ、オオカナダモ、

(園芸種) アベリア、オシロイバナ、ムラサキカタバミ、マルバアサガオ、ミニトマト、等 以上 55種類