No.103 2013年1月

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早いもので鳩ヶ谷博物誌は今年で10年目を迎えます。昨年までの9年間に掲載した生物の種類は、野鳥75種類、動物、その他 71種類、昆虫類 456種類、植物 346種類で、合計 948種類となりました。都市化が進み、人口6万人程度の小さな町ですが身近な自然はしっかりと息づいていることが解ります。

鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (116)

トモエガモ(カモ科) Anus formosa 

コガモより大きく、雄の顔には黄白色と緑黒色の巴形の模様があることからこの名前が付いています。雌は大変地味な色をしているので、コガモの群の中にいたりすると見逃すことがあります。万葉集では「阿知」と呼ばれていたようです。

東シベリアで繁殖し、朝鮮半島から中国、日本などへ渡って冬を過ごします。渡り途中の韓国では数万羽〜10万羽を越える大群が通過するとも言われています。日本では石川県の大聖寺にある鴨池では多くのトモエガモが越冬することが知られていましたが、最近は全国的に減少しています。20年以上も前になりますが、奈良県の平城京にある古墳池で数千羽の群れを見たことがあります。この年のみで次の年は1羽も見ることが出来ませんでした。鳩ヶ谷・川口周辺では時々、芝川第一調節池で観察されていましたが、ここ数年は旧芝川や青木水門の周辺などで毎年観察されています。

 

自然の記録:

 1月 1日 我が家の柿の実は殆ど諸鳥に食べ尽くされました。柿の木の下には食い散らかされた柿や糞が大量に落ちています。実のある間に来訪した野鳥はハシブトガラス、オナガ、キジバト、ヒヨドリ、ムクドリ、ツグミ、スズメ、メジロ、ウグイス、シジュウカラ、コゲラの11種類でした。その中でシジュウカラ、キジバトは柿の実を食べることはありませんが。

木の下や周辺にはカキの種のみならず、センダン、ピラカンサ、サンショウ、ヘクソカズラ、ノシラン等の種子がヒヨドリの糞に混じって落ちていました。

 1月 2日 とある場所で変わった形をした蛹を見つけました。薄い肌色に地にオレンジ色が鮮やかな蛹です。アゲハの仲間のジャコウアゲハの蛹でした。我が家の台所のドアの上にも同じものがあるのですが、陰にあるためか色がはっきりしませんので、陽に輝くと奇麗に見えるのかと改めて見直しました。

家の裏の堆肥置き場の落ち葉の上にシロモンヨトウという枯れ葉色した蛾の仲間がいました。少し日溜まりになっていたので下の方から出てきたようです。

ジャコウアゲハの蛹 シロモンヨトウ

 1月 4日 毛長川沿いに足立区まで散策しましたが、野鳥は少なくカルガモ(8)、オナガガモ(雄4、雌2)、キンクロハジロ(雌1)、コサギ、ハクセキレイ、スズメ等でした。川の中には相変わらず自転車の投棄が多く、中には新品同様の自転車もありました。最近は盗難車が多いようで、乗ってきた後に川の中に放置しているようです。ハクセキレイは自転車のサドルなどにも留まっていることがあります。

庭の片隅にマダラカマドウマの遺骸がありました。

 1月 5日 買い物の途中で新芝川の水門付近で10分ほど観察していたところ、ヒドリガモ(雄30、雌16)、コガモ(18)、カルガモ(2)、ユリカモメ、オオバン(2)、キジバト、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメ、ドバトなどを見ることが出来ました。

 1月 8日 今日は比較的に暖かい一日でした。隣家の柿の実が50個ほど残っていましたが、夕方には殆どなくなっていました。ヒヨドリが73羽、ムクドリ30羽、スズメ10羽以上が集まって食べ尽くしました。メジロ10数羽も来ていましたが他の野鳥の群に圧倒されたのか我が家の庭木で様子を窺っているようでした。市内で73羽も一度にヒヨドリを見たのは初めてです。

 1月12日 隣近所3軒の庭にあった柿の木7本が全て食べ尽くされましたが、ヘタについている果肉を求めてヒヨドリ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロなどが集まってきます。

 1月14日 朝から雨と思っていたところ10時過ぎには雪が降りだし、15時過ぎには10cmの積雪となりました。そのため、隣家のゲッケイジュとキョウチクトウが雪の重さで地上より50cm程のところまで下がってしまいました。通行するのに危険なため3軒6名で伐採、降雪の中での作業は大変でしたが、電気鋸を使用して1時間30分ほどで終了しました。終わったと思っていたら、隣家の空き家のキンモクセイが下がってきました。こちらの方は枝を数本切断しただけで5mほど跳ね上がりました。気象庁の発表によると今回の降雪は「南岸低気圧」と言うもので、3月頃に大雪をもたらすことが多いという。

 1月15日 昨日の積雪で道路は凍結状態でした。家人と買い物に出かけましたが、靴底にアイゼンを装着して歩きました。市内でアイゼンを装着することなど今まで無かったのですが、大変歩きやすく快適でした。降雪で餌が見つからないのかヒヨドリやメジロがキカラスウリの実を食べていました。

降り出して1時間  溶け出して簾状態(16日)

 1月18日 市内のあちらこちらに残雪が多く残っており、辻の田んぼは真っ白でした。天神橋をバスで通過する時にオオバンとコガモの姿が見えました。芝川土手も雪化粧です。コンフォール東鳩ヶ谷の植え込みの中でメジロ、シジュウカラ、ヤマガラ、ジョウビタキの混群が採餌していました。市内でヤマガラを見る機会はあまりありませんので、こういう出会いは嬉しいものがあります。

 1月20日 庭にはまだ残雪があり、メジロやウグイス等が雪の上で頻りに何かを啄んでいます。ウグイスとヒヨドリはマンリョウの赤い果実を食べているのか、果肉が散乱しています。

 1月23日 庭の残雪の割れ目よりスノードロップの白い花が咲き出しました。シャガの群落に押さえられて今年は咲かないかと思っていましたが、以外と強いものです。メジロに果実の中味を食べられたキカラスウリが風に揺れています。普通のカラスウリと比べると大きさが違います。(下の写真:オレンジ色の小型のもの)

メジロに食べられたキカラスウリ 旧芝川の家庭雑排水の浄化設備

 1月24日 玄関を開けると同時に柿の木から野鳥が一斉に飛びたちました。オナガ15羽、ムクドリ10羽、ヒヨドリ5羽、メジロ5羽。ツグミは地上で餌を探していました。扉が開いたと同時に飛びたちましたが、ネコが飛びかかったところでしたので運良く助かったようです。扉が開く音がしなかったらネコの餌食になっていたことでしょう。野良猫が10頭ほど徘徊していますので野鳥にとっては危険な庭になっています。野良猫は落ち着いたもので少々のことでは逃げません。野鳥愛護か動物愛護か難しい選択ですが、自然のままに任せています。

 1月25日 今日は比較的暖かい一日でしたので、ビワやロウバイの花が市内各地で開花していました。

 1月28日 朝7時から8時頃まで降雪がありましたが、たいして積もらずに止みましたので、旧芝川を2時間ほど散策してきました。カワウ、ゴイサギ、アオサギ、ダイサギ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ユリカモメ、バン、オオバン、イソシギ、キジバト、ヒヨドリ、モズ、ハクセキレイ、シジュウカラ、ジョウビタキ、アカハラ、ツグミ、ウグイス、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト等、30種類が観察できました。カモ類は7種類199羽が確認できました。

旧芝川では河川改修後、色々な浄化設備を設置していますが工場の排水や家庭から排出される雑排水の流入のため水は泡立ち、ヘドロなどの汚れが蓄積されています。このような悪条件の中でも野鳥たちが元気で生きているのが不思議です。

 

地球温暖化を考える(58)

 

はとがやの湧き水の里に関連して(19)

川口市に要望していた「はとがやの湧き水の里」構想は、吸収合併と共に危うくなりました。駐車場の土地の取得は川口市では財政難を理由に土地を確保する可能性が少なくなりました。

しかし、池周りや橋の老朽化と子供達の安全性を訴えた要望書が通ったことから、既存の公園の改修工事が行われることになりました。

1月18日より工事が開始されて、22日には池周囲の古い棒杭が撤去されました。その後には新しく棒杭が打ち込まれています。民家の脇に植栽されていたネズミモチも根元近くから全て伐採されました。予定では今月中に下の池の改修工事が終了し、2月の5〜8日には上の池の水を下の池へ移動した後、2月9〜11日の間に乾燥して、新しい橋の工事を行う予定です。恐らく、3月にはリニュアールされた湧水公園を見ることが出来る事と思います。工事終了後は、市民の手による植生の回復が必要になります。

始まった改修工事
池の護岸工事 積雪の湧水公園
池の深さを調節する工事 中央の橋の工事