No.167 2018年5月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (180)

アジサシ(カモメ科) Sterna hirundo

アジサシ(鯵刺)は、非繁殖期にはアフリカ大陸からインド、東南アジア、オーストラリア、南アメリカ大陸の沿岸部、南半球等に生息します。繁殖期には、北極圏を除くユラシア大陸、北アメリカ中部に移動、日本へは春と秋の移動の時期に立ち寄るが、過去に東京都、群馬県、富山県での繁殖例が報告されています。北半球と南半球を移動する長距離移動型の海洋性の鳥です。空中を飛翔しながら、水面の魚を狙い、羽をすぼめて頭から海面に飛び込んで魚を獲ります。アジサシ(鯵刺)の名の由来は、エサをとる時の行動からつけられたようです。全体的に白色で、飛んでいる姿を下から見ると真っ白に見えます。嘴、頭の上、足、翼の先が黒色、嘴は赤っぽい色で先が黒色、足は短く、水かきがついています。アジサシは非常に飛ぶ事に長けた鳥で起きている時間の殆どを水上で過ごします。コロニーを形成して、地面の窪みなどに巣を作って生活しており、通常は海岸などで多く見られる為、海上を飛んでいる事が多いのですが、移動の時期などには稀に内陸でも見る事があります。

自然の記録:

 5月 1日 青木水門付近を散策していたところ、昨年までは生えていなかった外来種で寄生植物のヤセウツボが10数本生えていました。ムラサキツメクサに寄生していたようです。外来生物法では、要注意外来生物に指定されています。

 5月 2日 毎年ツバメが営巣している近所の民家で今年もツバメが帰巣し繁殖を始めました。巣の傍の壁にはコスズメというスズメガの仲間が止まっていました。 

家の壁や竹垣などにハエトリグモの仲間がいました。ハエトリグモの仲間は日本国内で100種類以上が記録されています。今日見られたのは、大型のネコハエトリ、シラヒゲハエトリ、ミスジハエトリ、小さなナカヒラハエトリ等でした。

ネコハエトリ シラヒゲハエトリ ミスジハエトリ
ナカヒラハエトリ ヤセウツボ マエモンシデムシ

 5月 9日 雨の中、毎年オオムラサキの幼虫を育てている民家があるので見に出かけた。家の前のエノキにネットをいくつもかけてあり、その中で5p〜7pほどに成長した幼虫数頭が元気にエノキの葉を食べていました。葉の色と同じような色彩なので見落としそうですが、雨のお蔭で低い位置にいたので見ることが出来ました。

 5月11日 ここ数日、雨の日が続いていたが晴れて暖かくなったので昆虫類が動き出しました。アカボシゴマダラ、ナガサキアゲハ、クロアゲハ等の蝶、柑橘類の葉上ではナミアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハの幼虫がいましたが、大きく育っていたものは野鳥にでも食べられたのか姿が見えませんでした。ブロック塀にはヒゲブトハナムグリの雌が止まっていました。

ヒゲブトハナムグリは、関東地方では4月下旬になるとでてくる体長8〜10mmくらいの小さなコガネムシの仲間。雄は金属光沢があるが地味な色で短めの体毛が多く、トナカイのツノのような触角がある。

赤井方面に出かけたついでに近くの雑木林の端に枯れた材木が積んであるので見てみるとマエモンシデムシ、クヌギカメムシ、セアカヒラタゴミムシ等の昆虫類が活動していました。

夕方になり家の近くの駐車場上空をハイタカが飛んでいました。鳩ヶ谷市内で見るのは3度目です。

 5月16日 庭隅でルリシジミが飛んでいました、今年初認です。庭を歩くとクモの巣にかかることが多く、ほとんどがギンメッキゴミグモです。

クヌギカメムシ ヒゲブトハナムグリ雌 ルリカミキリ

 5月18日 安行の花と緑の振興センターに出かけました。入園と同時に尾の長いウマノオバチというハチの仲間が飛んでいました。数年前にも同所で観察しましたが、いずれも写真をとれずじまい。環境省のレッドデータブックで準絶滅危惧種に指定されています。

近くのベニカナメモチの植え込みではルリカミキリ3頭がいました。

 5月23日 隣家のクリが開花し始めたので、午前中曇っていましたが雨が降るまでの2時間ほど安行の花と緑の振興センターへ出かけました。目的はクリの花に集まる昆虫類。クリの花の開花は今一つでしたが匂いはかなり強かったのでアオハナムグリ、ヒメコガネ、アオドウガネ、クロカミキリ(2)、キイロトラカミキリ(4)、トナカイの角のような触角をもったヒゲコメツキ、カミキリムシに似たアオカミキリモドキ等が集まっていました。アオカミキリモドキは体表から分泌する体液に触れると水膨れができひりひりと痛むので触ると危険。一見するとカミキリムシだが、体が柔らかく胸のオレンジ色と羽のメタリックグリーンが目立ちます。

ムラサキハシドイ(ライラック)の白い花にヒカゲチョウが止まって吸蜜していました。

 5月24日 庭のゲッケイジュにキマダラヒカゲ、アカボシゴマダラが止まっていました。隣家のクリの木から飛来したと思われるキイロトラカミキリが飛んでいましたが、止まらずに消去しました。ウメの木にシジュウカラの家族群10羽が飛来し雄が頻りに同じ場所で採餌しているので、近づいてみるとキアシナガバチの巣から幼虫を取り出していました。ほんの数分で巣内は空になったようです。

キイロトラカミキリ クロトラカミキリ ヒゲコメツキ
モモチョッキリゾウムシ ヒカゲチョウ クビアカトラカミキリ

 5月25日 川口市差間地区にある川口自然の家周辺で昆虫の観察を行っていたところ、クビアカトラカミキリ、キスジトラカミキリ、エグリトラカミキリ、キバネカミキリモドキ、アオカミキリモドキや1pにも満たない大きさのケヤキナガタマムシ等を見ることが出来ました。

自然の家の庭ではルリシジミ、キタテハ、ナミアゲハ、コミスジチョウ、キマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ等が飛んでいました。

 5月28日 カキの木の下にアカスジキンカメムシの胴体が落ちていました。何者かに捕食されたようです。タケの葉にはワタノメイガが止まっていました。買い物の途中に立ち寄った赤井の氷川神社の社寺林の朽木でオオユミアシゴミムシダマシ、ナガゴマフカミキリ等がいました。

 5月30日 赤山城址公園のクリの花にエグリトラカミキリ、アカシジミ、チャバネゴキブリ、ハナムグリ、アオハナムグリ、シロスジベッコウハナアブ等が飛来していました。花と緑の振興センターのクリの花にもミドリカミキリ、アオカミキリモドキ、チャバネゴキブリ、ハナムグリ、アオハナムグリ、キタテハ、イチモンジチョウ等が飛来していました。

家の庭ではサクラの枯れ木でナガゴマフカミキリが交接していました。28日から時々姿を見せ始めましたが、近くへ寄ると樹下に落ちてしまい写真を撮ることが出来ませんでした。

イチジクの木ではキボシカミキリの幼虫が沢山の木くずを落としていましたが、あけた穴にコクワガタが飛来していました。キンミズヒキの葉にはウスオエダシャクというシャクガの仲間の蛾が止まっていました。

 5月31日 庭のカキの木の周りをウメエダシャクが飛んでいました。ネズミモチの葉上で蛹になっていたものが羽化したようです。サクラの枯れ木ではナガゴマフカミキリがいました。

オオユミアシ
ゴミムシダマシ
オジロアシナガゾウムシ アカシジミ

地球温暖化を考える(120)

緑のトラスト保全13号地(無線山・KDDIの森)

見沼田んぼにつながる広い水田地帯を通る、東北新幹線と並行して走るニューシャトルの志久駅周辺に広がる広大な緑地があります。

平成25年6月、伊奈町にあるKDDI株式会社の前身の国際電話株式会社の小室受信所が設置されていた「無線山」の愛称で親しまれている小室地区の樹林地が、「無線山・KDDIの森」として、県内13番目の緑のトラスト保全地に指定されました。面積は約4.8ヘクタールで、企業との連携による保全地の取得および保全活動は、県内の保全地でははじめてである。コナラ、クヌギなどを主体とした落葉広葉樹の雑木林である。混交林内の林床には、かつての武蔵野の雑木林に存在していた貴重な植物が豊富に生育しています。隣接する日本薬科大学埼玉キャンパスの敷地内の緑地を合わせると、緑地面積はかなりの広さになります。