No.92 2012年2月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (105)

イカル(アトリ科) Eophona persata

イカルは漢字で書くと斑鳩であるが、奈良の斑鳩(いかるが)はジュズカケバトを指すと言われています。太い嘴で木の実を啄んで回して餌にするところから地方名ではマメマワシ、まめころがし等と呼ばれています。また、鳴き声がキョコキョコ、キーコキコー等と鳴くので「ツキヒホシ(月日星)」と聞きなされるところから三光鳥と呼ばれているところもあります。本来のサンコウチョウという鳥は全く別の鳥です。

大きさはスズメよりも一回り以上大きく、黒い頭に太く大きな黄色の嘴、黒い翼に白い斑紋があるのが特徴です。夏の間は山地の明るい林などで繁殖をしていますが、冬になると公園などの林に飛来します。どちらかというと関東よりも関西の方が見る機会が多いように感じます。

大阪在住中、近所の公園では毎年50羽〜100羽の群れを見ることがありましたが、関東地方では滅多に大きな群れを見ることはありません。

鳩ヶ谷市内での記録は少ないが、自宅庭に飛来したことがあります。

 

        いかる来て起きよ佳き日ぞと鳴きにける  水原秋桜子

 

自然の記録:

 2月 1日 今日は比較的暖かかったので旧芝川へ探鳥会の下見に出かけました。1月中旬に比べカモ類は若干増加してきたようです。ヒドリガモ(雄10、雌10)、コガモ(雄31、雌24)、カルガモ(20)、オナガガモ(雄33、雌21)、キンクロハジロ(雌2)、ハシビロガモ(雄1)合計161羽でした。その他はダイサギ、コサギ、カワセミ、カワウ、オオバン、ハクセキレイ、アカハラ、ウグイス、メジロ、シジュウカラ、アオジ、スズメ、ヒヨドリ、ハシボソガラス、モズ、ムクドリ等が観察できました。

 2月 3日 我が家の庭で久し振りにジョウビタキの姿を確認しました。その他ツグミ、ムクドリ、ヒヨドリ、シジュウカラが家の回りを飛び回っています。

市内では民家の庭でロウバイを植えているお宅もあり花の香りが漂ってきます。ロウバイは中国原産で江戸時代に日本へ来たようです。大分以前になりますが「蝋梅」の漢字は「老梅」と書くものと思っていましたが、蝋で作った花のようであるという由来を聞いて納得しました。しかし、陰暦の12月を蝋月(ろうげつ)と呼ぶところから、その時期に咲く梅に似た花であるという説もあるとのこと、これも納得せざるを得ない。いずれにせよ、花の少ない時期に良い香りを漂わせてくれる花であることには間違いない。ロウバイは別名「唐梅」「南京梅」などとも呼ばれ、花の色が濃い黄色のマンゲツロウバイと薄い黄色の花が咲くソシンロウバイなどの種類があります。

府中の森博物館では両種が見事に咲きそろうロウバイの小道があり、毎年2月頃に満開となります。

 2月 4日 今日は川口市の環境総務課主催で旧芝川周辺の探鳥会が行われました。暖かかったので、比較的小鳥類が良く出てくれました。見聞きした野鳥の種類は、カイツブリ、カワウ、コガモ、カルガモ、オナガガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、クイナ、バン、オオバン、キジバト、ヒヨドリ、モズ、ハクセキレイ、ジョウビタキ、メジロ、シジュウカラ、カワラヒワ、オオジュリン、アオジ、スズメ、ムクドリ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト等27種類でした。

流石に人の目が多いのと3班に分けて、少しずつ時間をずらして観察を行ったことがよかったようです。 

 2月 7日 オナガ25羽が家の周りを飛び交っていましたが、1か月前に比べて群れの個体数が半減しました。

 2月 9日 ジョウビタキの雄が毎日のように隣家と我が家の周辺を飛び回っています。シジュウカラやメジロの姿も頻繁に見られるようになってきました。

 2月13日 毛長川調節池付近でキンクロハジロの雌が1羽泳いでいましたが、他のカモ類は全く観察できませんでした。例年はオナガガモやキンクロハジロの数十羽の群れがいるのですが。

鳩ヶ谷市内ではありませんが、安行領家でオオコノハズクの遺骸が拾得されました。農業用のネットにかかって落鳥したようです。市内では生きた姿を見るのが難しい野鳥ですが、越冬しているのが確認されただけでも収穫です。都市化が進む鳩ヶ谷ですが、安行周辺を含む川口鳥獣保護区の緑地がオオコノハズクのような猛禽類の生活場所を提供しているようです。東京近郊緑地としての緑を何とか残して欲しいものです。

背面から見たオオコノハズク 腹面から見たオオコノハズク

 2月16日 江川の上流でカルガモ2羽とオナガガモ雄1羽が泳いでいました。また、その前後をキセキレイが行き来していましたが、キセキレイは今冬初記録です。

庭の片隅にヒヨドリの羽毛が散乱していました。恐らく十数匹いる野良猫のどれかの餌食になったものと思われます。

ここの所、3羽のメジロが常連となり定期的に飛来してくれます。桜町6丁目のラクダ坂付近にあるセンダンの木には30羽以上のヒヨドリが集まっていますが、実の殆どが食べ尽くされていました。

近所の紅梅や白梅が漸く3分咲きくらいになってきましたが、例年に比べて1か月ほど遅れているような気がします。

 2月18日 昨日と今日の朝方に雪や雹が降ったようで、庭がうっすらと白くなっていました。オナガ25羽、ヒヨドリ、ムクドリ、ジョウビタキ等がピラカンサの赤い実を食べに来ていますが、食べるよりも落とす方が多いようで土の上に沢山の実が落ちています。

 2月19日 川口高校付近の空き地の日溜まりでオオイヌノフグリが開花していました。また、周辺のウメの開花は蕾から一分咲き程度で、例年に比べて1か月近くおくれているようです。

鳩ヶ谷中央病院の敷地内でアオジとツグミが採餌していました。

辻の農家のH氏より、オオタカと思われる猛禽類が庭の樹木に飛来したとの情報がありました。この時期、オオタカが繁殖に入りますので良く飛び回っています。12月にも送電線の鉄塔に止まっていたとのことです。

 2月26日 ここ数日、日中は暖かい日が続いていますが、朝晩はかなり冷え込んでいます。市内でも、ようやくフクジュソウの花が開花し始め、ネコヤナギの蕾も膨らみ始めました。例年であれば半月以上も早く開花しているところですが、今年は遅い開花です。我が家のフクジュソウは芽も出ていませんので開花は難しいかもしれません。そのかわりに、数か所でキケマン数株がはびこっています。

開花し始めたフクジュソウ 膨らみ始めたネコヤナギの蕾

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 56

ミヤマセセリ(セセリチョウ科

ギフチョウと同じように春を告げる蝶の代表種として、4月中旬から飛び始め、セセリチョウ科としては最も発生が早い蝶です。ミヤマセセリは早春にのみ成虫が現れ、特に♀は後翅に黄色の紋が目立つ蝶です。幼虫で越冬し、春早く蛹になって羽化します。模様は地味で落ち葉の上などに止まっていると目立ちませんが市内では珍しい蝶の一つです。

セセリチョウ科全般に言えることですが、普通の蝶に比べ胴が太めであるところから蛾と認識している人も多いかも知れません。落ち葉の上などに水平に翅を広げて貼り付くように止まっていると見逃しやすい蝶です。

鳩ヶ谷市内では1960年代に埼玉植物園で観察された記録があるが、それ以降の記録はないと思われます。

 

地球温暖化を考える(47)

 

仮称・はとがやの湧き水の里に関連して(9)

 

湧水公園は冬枯れで閑散としていますが、時々キジバト・ヒヨドリ・ハシボソガラス・スズメ・シジュウカラ・メジロ、ハクセキレイ等の野鳥が飛来しています。しかし、カモ類の姿はまだ一度も見たことがありません。いずれはカルガモが繁殖するような環境になって欲しいと願っています。

市の公園課より連絡があり、壊れた橋の部分切断および周辺にフェンスを設置したとのことで確認に行って来ました。3か所にフェンスが張られ、壊れた橋の一部が切断されていました。

昨年の夏に子供達が池の中に落ちたことがあるので早急に対策を取ってもらいたかったのですが、合併などの問題があり半年以上経過して漸く動き出しました。今後は池周囲の改修工事なども計画に入っていますので、整備如何で多くの生物を呼ぶことが可能となるのではないかと期待しています。鳩ヶ谷市域に残されている唯一池のある公園です。

川口市内には多くの都市型公園がありますが、子供達が自然に親しむための公園は1か所もありません。厳冬期の現在は何もいないように見えますが、メダカだけは元気に泳いでいます。

湧水公園では、現在までに14種類のトンボの仲間が記録されていますが、将来的には20種類くらいは生息できるようなトンボ公園にしたいと考えています。

2月の湧水公園 切断された老朽化した橋とフェンス