No.49 2008年  7月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (62)

キジバト(ハト科) Streptopelia orientalis 

鳩ヶ谷市の“市の鳥”、マンホールにもシンボルマークとして使用され、市民に広く知られている野鳥です。数十年ほど前から都市に進出し、朝早くから「デデッポポッポ、デデッポポッポ」というような声で鳴いています。キジバトと言うよりは、山鳩と言った方が解りやすい人もいるでしょう。

昔は低山帯の雑木林などに棲んでいましたが、今ではスズメやカラスと共に都市型鳥類の仲間入りをしています。鳩ヶ谷市内では普通に見られた鳥ですが、最近はかなり個体数が減少しています。

キジバトも他の鳥類と同じように愛情細やかで、木の茂みの枝上に小枝などを組み合わせて皿形の巣を作ります。下から見える粗雑な造りです。卵は通常2個産んで直ちに抱卵に入り、約2週間ほどで雛が孵化します。雛には他のハト類と同様にピジョンミルクといわれる乳状にしたものを与えます。

自然の記録:

 7月 1日 久し振りによく晴れて多くの昆虫が来てくれました。ナミアゲハ、クロアゲハ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミ、ヨツスジヒメシンクイ(ハマキガの仲間)、カナブン、マメコガネ、アオオサムシ、マルガタゴミムシ、コフキゾウムシ、クサギカメムシ、オオメカメムシ、チュウレンジバチ、ルリイロナガハナアブ、アシナガバエ、ヨダンハエトリ、等

ヨツスジヒメシンクイ ノイバラに産卵する
チュウレンジバチ
カノコガ

 7月 3日 昨日の夕方、アオスジアゲハの蛹に羽根の模様が見え始めてきたので、今日あたり羽化するのではと思っていたら、午前6時半頃には完全に羽化して蛹の上でじっと止まっていました。また、柿の葉裏にウスサカハチエダシャクという白色の小型の蛾がいました。

見沼代用水と江川の合流点付近の江川側で、約1.5mのシマヘビが泳いでいました。また、見沼代用水側ではボタンクサギの花が開花間近でした。市内では湧き水公園、等に生育していますが、何故か自宅庭でも昨年から生育し始め、今年は花芽をつけ始めています。この様な外来植物がいつの間にか身近なところで見られるようになるのが良いような悪いような。アメリカオニアザミも庭で生育していましたが幼株時に見つけると抜いていたら3年でなくなりました。

 7月 4日 昨日羽化したアオスジアゲハか、確証はないが庭を一巡して行きました。ツマグロヒョウモンの雄も飛来、ナミアゲハ、ヤマトシジミは常連で毎日元気に飛び回っています。庭のツユクサが1輪開花しました。桜町6丁目のHa氏より中央病院の林からニイニイゼミの初鳴きが聞こえたとの情報を得ました。ニイニイゼミの最近の記録では、2003年7月29日、2004年7月8日、2005年7月15日、2006年7月13日、2007年7月15日でしたので10日前後早い記録でした。

ウリハムシモドキ ツマグロヒョウモン ニジュウヤホシテントウ
の交接

 7月 5日 庭隅にゲンノショウコが蔓延って一輪のみ白い花が開花しました。この植物も何時、何処から来たのか全く不明で、昨年あたりから見られるようになりました。ジャガイモの畑ではニジュウヤホシテントウの交接があちらこちらで行われています。

 7月 6日 18時頃、ラクダ坂付近でツミの雌、桜町6丁目付近で雄と思われるツミの飛翔を観察しました。ツミの観察記録は市内では2例目です。庭ではウリハムシモドキ、チャバネアオカメムシ、コミスジチョウなどを観察しました。

 7月 8日 本町2丁目のラクダ坂付近でナミアゲハ、アオスジアゲハ、クロアゲハ、キアゲハ、ツマグロヒョウモン、モンシロチョウなどがヤブガラシの花に集まっていました。林縁部ではゴマダラチョウ、コミスジチョウ(3)、ヒカゲチョウ、チョウトンボ、オニヤンマ等を観察しました。放置された畑では、ヨシ、タケニグサなどが蔓延っており、その上をヤブガラシやアレチウリなどのツル性植物が覆っていました。蛾の仲間のニセオレクギエダシャクが中央病院の病棟壁に止まっていました。

  7月 9日 19時頃にラクダ坂付近でイエコウモリが飛んでいました。以前に比べて個体数が減少しているような印象があります。

 7月10日 19時過ぎにノコギリカミキリが隣家の壁に止まっていました。市内では数年振りの観察です。

 7月11日 本町2丁目のラクダ坂付近でコフキコガネが轢死していました。

 7月12日 本町2丁目の荒れ地横の道路で15cmほどのアオダイショウが轢死していましたが、10分後に通った時には消えていました。近くの電線にハシブトガラスがいたので、恐らく死体処理をしてくれたのでしょう。

辻のKiさんより、天神橋近くのクリニックの1階にツバメが営巣しているとの情報を得ました。この場所は初めての場所で2番子のための巣作りと思われます。今年は、現在までに1番子9ヶ所、2番子5ヶ所の14ヶ所で営巣してくれました、このうち、新しく見つかったのが3ヶ所です。いずれの巣も鳩ヶ谷市内の中心部ではなく、周囲を川口市に囲まれている地域で、芝川、毛長川などの河川、安行地区の自然が多い地域に接しているところで営巣しています。

 7月14日 一昨日から毎日オナガの小群(多分家族群)が庭の柿の木や門の上などに飛来します。隣家のクリの木と我が家を行ったり来たり、巣立ちした若鳥が多いようで時々親から餌をもらっています。市内でも少なくなったオナガですが毎年少なからず繁殖しているようです。

大きく伸ばすと大ボケの写真ですが、とりあえず、こんな感じで親子の愛情が伝わってきます。玄関前で大きなミミズが死んでいましたが、沢山のアリやシデムシ達が集まって1時間後には跡形もなく処理されていました。自然の掃除やさんとはよく言ったものです。

親(左)と巣立ち雛(右)  ナガゴマフカミキリ ミミズを処理する虫たち

 7月15日 午後3時頃に本町2丁目でツミを目撃しました。夕食後、網戸にナガゴマフカミキリ
が止まっていました。背中に白と黒の波形模様があり、触角が体よりも長いカミキリムシの仲間です。我が家の庭では2004年に続いて2例目の記録です。

 7月16日 クチナシの花にオオスカシバが飛来し、黒い体に赤と黄色の丸い斑紋をもち、尻尾をプリプリ動かして移動しているセスジスズメ(蛾の幼虫)がいました。本町2丁目の貸し農園付近でコガネムシの仲間のアオドウガネが逆さになって喘いでいました。小学生が不思議な顔をして見ていました。夕食時、ジージージージーというシバスズという小さなコオロギの仲間が鳴いていました。涼しい風と共にこの様な虫の声を聞くと何となく秋の気配を感じますが、これから盛夏です。

 7月18日 午後からの激しい雷雨が終わった後に、庭のキンミズヒキとハゼランの花が瑞々しく、美しく見えました。一つ一つは小さな花ですが大変綺麗な花です。

 7月20日 危険物入れ容器の中にアオオサムシやオオヒラタゴミムシの成虫や幼虫が落ちて、脱出しようとしていましたが出られず、缶から出してやると急いで逃げて行きました。

桜町のHa氏より、中央病院付近で久し振りにウグイスの声を聞いたとの情報を得ました。今年も市内数カ所で越夏しているようです。

 7月21日 玄関前のアリの巣穴にアブラゼミの羽根が入っていました。まだ声は聞いていませんが、今年初記録です。午後、庭のエノキにゴマダラチョウ、クチナシの花にオオスカシバが飛来しました。Ha氏より、中央病院の林でアブラゼミの初鳴き、ニオイスミレにツマグロヒョウモンの終令幼虫およびキアゲハの幼虫がいたとの情報を頂きました。アブラゼミの初鳴きは2004年7月18日、2005年7月27日、2006年7月24日、2007年7月19日でしたの、早くも遅くもない初鳴きでした。

辻のKiさんからミンミンゼミの初鳴き情報を頂きました。ミンミンゼミの初鳴きは、     2004年7月23日、2005年8月1日、2006年8月3日、2007年7月22日でした。

ハゼランの花               キンミズヒキの花 アオドウガネ
ニセオレクギエダシャク        ペリットを吐くツミの♀ 羽化後のアオスジアゲハ
 

 7月23日 庭のゴミ容器を動かしたところ、オカダンゴムシ、ヒル、巻き貝の1種、オオヒラタシデムシの若齢幼虫、等がいました。草むしりをしていたら鋏の先にハラビロカマキリが止まりました。クズの葉が茂ってきたので刈り取っていると、マルカメムシが数百匹落ちてきて体中にカメムシの匂いがつきました。アオバハゴロモやスカシバハゴロモ、等も沢山いました。Ha氏より、昨夕に中央病院の林でミンミンゼミの鳴き声を聞いたとの情報がありました。

 7月24日 今年初めて我が家の庭でキオビベッコウ(ハチの仲間)を観察しました。頭部・脚・触角は黄褐色で、胸部・腹部は黒色のハチで、翅は全体に茶褐色で、縁が黒い。このハチは地上付近を徘徊してクモ類を狩って産卵し、幼虫のエサにします。今日は、自分よりも体の大きなオニグモを5mほど引っ張っていきました。

ライオンズマンション鳩ヶ谷でツバメが今年2回目の子育て中で5匹の雛がいました。

中山歯科医院では毎年営巣しますが、何時もカラスに襲われ失敗、孵化後1週間くらいの2番子が2匹土間に落ちて干からびていました。坂下町の山田輪業では先週くらいから巣作り、巣の周りにカラスに襲われないように籠のようなものを設置し、土間には新聞紙を敷いたダンボ−ル箱がおいてありました。今年は17巣を確認しましたので、例年に比べ7〜8巣多く営巣したことになります。

雛に餌を運んできた親ツバメ カラス対策バッチリ
ハラビロカマキリ ヨダンハエトリ 餌を運ぶベッコウバチ

 7月26日 中央病院の敷地内でホウチャクソウの小群落がありました。ミンミンゼミ、アブラゼミ、ニイニイゼミ、ノシメトンボ、クロアゲハ、ナミアゲハ、ツマグロヒョウモン雌雄、等を観察しました。地蔵院付近ではチャバネセセリ、クロアゲハ、ナミアゲハ、コミスジなど、三光稲荷ふるさとの森では、子供達がカブト虫やクワガタ虫がいると言っていました。また、植木畑ではチョウトンボが飛んでいました。本町2丁目の荒れ地でナガコガネグモを2匹観察。この地域は鳩ヶ谷市内でも多少なりともまとまった緑が残っている場所です。散策時に目についた植物は、ヨウシュヤマブドウ、スベリヒユ、エノキグサ、エノコログサ、メヒジワ、オヒジワ、カヤツリグサ、ジュズダマ、タマサンゴ、ハゼランなど、我が家の庭でアブラゼミの声を今年初めて聞きました。

 7月27日 庭でクロアゲハが産卵していたので見ていたら、ナガサキアゲハの雌が飛来しましたが、一度も止まらずに飛去しました。チジミザサにルリクビボソハムシが飛来しました。

 7月30日 庭の柿の木でツクツクボウシの鳴き声を初認、スズメガの1種のホウジャクがハゼランやウメの木に飛来しました。いつの間にか桑の葉に似たクワクサ数株が庭に侵入しました。

クロアゲハの卵 産卵中のクロアゲハ

 7月31日 本町2丁目の林の脇で、コフキコガネの雌が落ちていました。空き瓶入れの中にはアオオサムシが4匹、グラジオラスの葉にアオドウガネ、クチナシに大きく育ったハラビロカマキリ、ブロック塀に生まれたばかりのカナヘビが張り付いていました。

鳩ヶ谷から消えた生物、消えつつある生物 13

撮影地 見沼自然公園 撮影地 深大寺植物園

アオダイショウ

昨年、埼玉県レッドデータブックの準絶滅危惧種第二類に記載されており、埼玉県でも減少著しい生物の一つです。鳩ヶ谷市内では、まだ時々見ることが出来ますが、たまに見つかると消防車の出動となることがあります。昨年夏には、八幡木で消防車の出動騒ぎがあつたそうですが、都市化されると、全く予期せぬ出来事が起きるものです。ヘビは嫌われ者ですが、ネズミその他の害虫類なども食べてくれますので、自然界にとっては貴重な生物の一つです。


地球温暖化を考える(5)

前回のイグアナに続いて、今回はダーウインフインチを紹介します。

僅かな水を求めて(ガラパゴスフインチ) ゴミも貴重な餌となる

ガラパゴス諸島には、ダーウィンによって詳しく研究されたスズメほどの大きさの鳥“ダーウイ
ンフインチ“の仲間が13種類生息しています。この仲間には、キツツキフインチ、サボテンフインチ、マングローブフインチ等、食性によって嘴の形などに特徴があり、完全な植物食から完全な
昆虫食へと、生活形態に応じたバリエーションがあり、それによって生活空間と食物が競合しないように、うまく棲みわけています。近年は、ガラパゴス島内の人口の増加にともない、人工物の増加やゴミが増加しています。また、諸島内の島々は、それぞれに環境が異なり緑が多い島や火山島であることから砂漠に近い島があり、水の確保が難しい島もあります。そのような場所では、ほんの少しの水を求めてフィンチ類が集まってきます。また、人が排出する豊富な生ゴミも彼らの餌となっています。この様な生ゴミからフィンチ類が感染症などに感染する可能性も考えられます。島はとても暑く、気候変動による諸島への影響が少しずつ目に見えてきているような気がします。


ちょっとおでかけしました

町田市のダリア園のダリア鑑賞(6月20日〜11月3日)  開園 9:30〜16:30 7/22撮影

町田市のまちだ福祉作業所が栽培管理しているダリア園で、500種類、4000株が植栽されている丘陵地帯にあるので、見晴らしも良い所です。菊の羮のような大きな花から、色々な形のダリアが咲いています。その一部を紹介します。

ラミーカミキリムシ(江戸時代以降の外来種) パイナップル・リリー