No.116 2014年2月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (129)

コイカル(アトリ科)Eophona migratoria

コイカルは中国表記では「黒尾蝋嘴雀」と書きます。姿形がよく似ているイカルは「黒頭蝋嘴雀」と書きます。同じ仲間のイカルと姿形がよく似ていますが、体の大きさや頭部の黒色部の幅の広さなどが異なります。コイカルの頭部の黒色部は頬にまでおよびますが、イカルでは頬にはかかりません。

雌は黒色部を欠き全身が茶色っぽく見えます。両者ともに嘴が太く、英名ではGrosbeakと呼び、コイカルの英名はChinese Grosbeak、イカルはJapanese Grosbeakという国名がつけられています。稀な冬鳥として渡来するが、関東地方よりも関西四方で越冬する個体の方が多い傾向にあります。

餌は主にムクノキ、エノキ、ニレ等の木の実を食べます。同じ仲間のイカルやシメあるいはカワラヒワなどと共に群れていることもあります。

 

自然の記録

 2月 3日 朝はどんよりとした天気でしたが10時頃から晴れて暑くなってきました。旧芝川を散策していると3頭のタヌキが現れました。1頭は色白で全体にクリーム色をしており、数年前に見た雌雄と子供と思われました。1月に見たイソヒヨドリの雌が同じ場所で観察できましたのでしばらく滞在を決めたようです。小さなアシ原ではシジュウカラやメジロ等がアシの茎をつついて中にいる虫を食べていました。その他の常連さんの野鳥は29種類観察できました。

また、甲羅の大きさが30pほどのミシシッピアカミミガメが岸辺で日向ぼっこをしていました。

カワセミも頻繁に飛び回り、川面の上を行き来していたので、散歩途中の人たちも今日は良く飛んでいるねと言っていました。

3頭のタヌキが日向ぼっこを 久しぶりのカワセミです

 2月 4日 朝から小雨が降っており、いきなり真冬の寒さに逆戻りして、14時過ぎには霙混じりの雨となり、15時過ぎには雪となり、窓から眺めると庭一面の雪化粧でした。

 2月 7日 今年は冬鳥の渡来数が少ないなと感じていますが、市内では特にツグミを見る機会が少なく、我が家の庭で1羽が常駐、旧芝川で3〜4羽程度しか確認できていませんでしたが、昭和橋バス停脇の空き地で1羽が採餌していました。こんな場所でも餌があるのかなと思ってみていました。

 2月 8日 今年の2度目の降雪で、玄関の門前や家の裏などに野良猫たちの足跡と共に、アライグマの足跡がありました。最近姿を見ていないなと思っていましたが、雪が降ったために存在がわかりました。

降り始めの雪の上のアライグマの足跡 積雪の庭

 2月 9日 昨日より降り積もった雪は庭でも20pを超えました。咲き始めたばかりのサザンカが雪の重みに耐えかねて落ちていました。一輪の真っ赤なサザンカの花きれいでした。しかし、ヒヨドリもツグミも餌が取れず近くの枝先に止まっていました。

 2月11日 今日はかなり冷え込みましたが、本町2丁目の道路上をアライグマが歩いていました。家の間から現れて鉢合わせした途端にブロック塀に飛び乗ってゆっくりと消えてゆきました。旧鳩ヶ谷市内でも目撃する機会が多いので、生息数も増えているようです。

 2月16日 14日の夜から降り出した降雪が前回の降雪よりも積雪し庭のピラカンサとビワの枝が被害を受けました。特にピラカンサは幹の途中から折れたため5m近くを伐採しました。

 2月19日 湧水公園の斜面林の雪の影響を見るために竹林を覗いたところ、周囲には残っていましたが竹林内には全く雪がありませんでした。そのおかげで、シロハラ、ジョウビタキ、アオジ、キジバト等が地上で採餌していました。湧水公園ではコサギ、ハシボソガラス、ムクドリ等が雪解け後の湿地で採餌をしていました。見沼用水沿いの緑道ではシジュウカラやスズメが春も真近かといった感じで囀っていました。

 2月20日 庭の残雪の間からチューリップ、植木鉢ではクリスマスローズが発芽し、枝垂れウメがようやく2輪開花しました。

 2月25日 庭の枝垂れウメは奥手なのか、開花から5日経っても、10輪ほど花が開いただけです。

家のわきにあった残雪がようやくなくなりました。街中では各所に残っているようです。 

 2月26日 裏庭でウグイスの笹鳴きがよく聞こえました。そろそろ、ホーホケキョーと鳴いてくれてもよいと思うのですが。今日は暖かかったお蔭で日当たりのよいところではオオイヌノフグリが満開となりました。一見するとどこかのネモフィラの丘のようなイメージがわいてくるほど、10m以上の範囲にわたって咲いていました。

越冬中のイソヒヨドリ アシ原で餌をとるシジュウカラ

地球温暖化を考える(69)

 久喜市の甘棠院(かんとういん)

甘棠院はJR久喜駅から徒歩で20分くらいのところにあるお寺です。周辺を閑静な住宅地に囲まれています。

甘棠院は足利政氏の館跡と伝えられる、寺院としては珍しく中門前から空堀がめぐらされており、館跡と伝えられることが頷ける。「埼玉県久喜市本町にある第2代古河公方、足利政氏が1519年(永正16年)に開いた寺院である。山号は永安山(えいあんざん)。臨済宗円覚寺1519年(永正16年)、久喜に隠退した足利政氏は自らの館を寺として永安山甘棠院とし、子の貞巖(ていがん)を開山とした。その後政氏に従ってきた家臣たちにより守られ、近世に入ってからも、徳川歴代将軍から朱印地100石を賜る格式を誇っていた。記録によると、政氏が館を寺に改めたのち、建物は、天文17年(1548年)に火災により消失、翌年より再建に着手し、天文21年に落成した。その後、天明2年(1782年)より4年がかりでさらに建て直しが行われている。さらに何回か手が加えられ、現在の本堂や庫裡は、昭和44年(1969年)からなされた大改修によって完成したものである。」 と記されている。

 甘棠院の竹林は夏季にはゴイサギやシラサギ類の集団繁殖地と知られ、冬季にはミヤマガラスなどのカラス類の集団塒としても知られており、夏冬を通じて近隣の住民から糞公害や鳴き声などの苦情が出ているようです。周辺にも似たような感じの屋敷林がありますが、野鳥にとってここが住みやすいのでしょう。

 一方、埼玉県環境国際センターのヒートアイランドに関する調査によれば、近隣小学校の百葉箱の気温と甘棠院の竹林内の気温では夏季に7℃近くも差があり、このような環境があることによりクールスポットが形成されていることがデータ的に明らかにされています。近年、神社仏閣の社寺林の際まで宅地化が進んでおり、社寺林の大木の枝が折れたり、枯葉が落ちることによって苦情などがでて貴重な樹木を伐採しなければならないという話をよく耳にします。町の中にこのような緑地環境があることは喜ぶべきものと思いますが、人それぞれの考え方があるので難しいのが現実です。

甘棠院門前 甘棠院参道 本堂前の掲示板
カラスの塒やサギ類の繁殖地となる本堂裏の社寺林