No.94 2012年4月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (107)

セッカ (ヒタキ科ウグイス亜科)  Cisticola juncidis

スズメ目ヒタキ科の留鳥 熱帯、温帯に広く分布しています。和名のセッカについては、由来は不明。漢字では雪加と書きます。日本の野鳥の中でも小型の部類に入り、空高く上がっていく時にはヒッヒッヒヒ降りてくるときにはチャッチャッチャッと啼いて急降下してきます。これが彼らの縄張り宣言で、降りてきた周辺の叢で巣を構えます。

セッカの巣は皿巣ですがくもの糸をうまく使って草を編むようにしてしっかりしたものを創ります。巣作りのうまさは野鳥の中でも優れもので、裁縫鳥の別名も持っています。巣の中にはチガヤ(ツバナ)の白い穂をたくさん敷き詰めているものもあります。大きさは12cmほどの大きさで体の上面は黄色味があり沢山の黒い縦斑があります。

鳩ヶ谷地域ではセッカが生息できるような草原が消失しましたが、チガヤだけは細々とですが各所に残っているようです。

 

自然の記録:

 

 4月 1日 昨日の強い雨と風で我が家の垂れ梅は殆ど散ってしまいましたが、その代わり乙女ツバキが満開となり、ムシカリの青い花も開きだしました。

市内各所ではユキヤナギ、ヒュウガミズキ、ハクモクレンが開花し、見沼代用水縁のソメイヨシノも一分咲きとなりました。次の週末には満開となることでしょう。

 4月 2日 今日も暖かい一日となり、ようやくモンシロチョウやキタテハの姿を見かけるようになりました。しかし、今年は昆虫類の出現が遅いのかどこを歩いても昆虫類の姿が目に付きにくいのが気になります。

 4月 3日 朝から強い低気圧の影響で風が強い一日でした。隣家のムラサキハナナ(オオアラセイトウ)が開花し、お花畑となっています。

 4月 4日 本町3丁目付近の江川上空をツバメ1羽が通過しました。市内での観察は今年初認です。

コガモの雄3羽、雌4羽、カルガモ3羽、コサギ等も江川で採餌していました。川の縁には菜の花、セイヨウカラシナ等が開花し黄色く縁取っていました。

桜町6丁目の自宅庭ではモンシロチョウを初認しました。シャガも蕾をつけてきました。

東縁見沼代用水沿いのソメイヨシノは3〜5分咲きとなりました。昨日の嵐の影響もなく今週末には見頃となるでしょう。

 4月 5日 庭ではキュウリグサ、ホトケノザ、ナズナ、シャガ、ハコベ、交雑タンポポ、ヒメオドリコソウ、キケマンなどが開花し春らしくなってきました。ヤマトクロアリの活動も活発になり、敷石の周辺はアリの巣で穴だらけになっています。

 4月 7日 庭隅でクサイチゴの白い花が開花しました。クサイチゴはキイチゴの仲間ですが、茎が草のように這うことから名がつけられています。毎年抜いてはいますが現在100株以上に増えています。

見沼代用水沿いの民家では黄色のミモザの花が満開でした。

 4月 9日 湧水公園でコサギとアオジが採餌していました。また、ウラギンシジミを初認しました。

サクラはどこでも満開になりました。小学校の入学式にサクラが咲いていたのは久しぶりです。

見沼代用水(富士見橋付近)のサクラ クサイチゴの群落

 4月10日 昨日今日と2日間は暖かい日が続いたので、市内各所のサクラが満開となりました。湧水公園ではコサギ、アオジ、ツグミ、ヒヨドリ、シジュウカラ、スズメ、ハシブトガラスなどが観察できました。鳩ヶ谷小学校西側の見沼緑道ではカントウタンポポ80株が開花していました。

 4月12日 今週に入ってから暖かい日が続いているためか市内各所でモンシロチョウが目立ってきました。庭ではシャガ、クサイチゴ、キュウリグサ、ヒメオドリコソウ、ハコベが満開となりました。どこかで越冬していたクビキリギスが物置の壁面に止まっていました。廊下の窓には、頭部〜胸部は黒色で、腹部と脚は黄褐色の小さなニホンチュウレンジバチ、落ち葉の下からミツボシツチカメムシが出てきました。ヤマトシジミも初認しました。

庭隅にはギンメッキゴミグモの姿もありました。

クビキリギス  満開のミモザ

 4月13日 モンシロチョウ、キチョウ、ルリタテハ等が飛来、クコの葉上ではトホシクビボソハムシ数組が交接をしていました。枯れ木の上にはクロフヒゲナガゾウムシが1頭歩いていました。また、本町4丁目の路上にはカントウタンポポ60株が開花していました。

 4月15日 庭隅でヘビイチゴとカキドオシのつるが延びだし、ヘビイチゴの黄色い花が一輪開花しました。昨日の雨で土が流されたのか、コクワガタの幼虫が2匹見つかりましたが遺骸となっていました。

桜町6丁目の元屋敷園で移動と中と思われるルリビタキが観察されたとの情報が得られました。同時に、4月初旬にはフクロウが観察され地蔵院方面に飛去したとのことですが、今年の冬に数回観察したよといっていました。しばらくこの付近での情報がなかったので安心しました。

 4月16日 ツマキチョウの雄が庭を横切っていきました。今年初認です。

湧水公園では斜面林の縁にアオジがいました。そろそろ渡去の時期ですが元気に飛び回っていました。家の周りのタンポポ10株は全て交雑タンポポでした。

 4月18日 予報に反して今日は天気が良かったので市内周辺の斜面林などを見て回りました。先週まで殆ど目に付かなかったものが沢山ありました。植物ではムラサキケマン、ジロボウエンゴサク、キケマン、タチツボスミレ、コスミレ、スミレ、ウラシマソウ、ムサシアブミ、イカリソウ、ニリンソウ、イチリンソウ、ジュウニヒトエ、シュンラン、ホウチャクソウ、ヒトリシズカ等が開花していました。昆虫類は少なかったがモンシロチョウ、モンキチョウ、ツマキチョウ、ルリシジミ、ムラサキシジミ、ナミアゲハ等が飛んでいました。

 4月24日 コンフォール東鳩ヶ谷で毎年巣作りしているツバメが今年も巣作り中です。最初の都市は管理会社の人に壊されてしまいましたが、ここ数年は巣の下に受け皿を置いて住民に注意を喚起して保護しているので何とか巣立つようになりました。昨年は一度カラスの被害にあいましたが2度目は無事巣立ちました。近くの民家では軒下にツバメの巣台を用意していますが、なかなか来てくれません。

コンフォールの敷地内ではナガミノヒナゲシ、カラスノエンドウ、スズメノエンドウが花盛りとなり、春型のアゲハチョウも飛んでいました。

我が家の庭にもナガミノヒナゲシが一株発芽してきました。外来種の進入です。今開花しているのはシャガ100本以上、キケマンの大株4株、ヒメオドリコソウの3種が庭の大半を占めており、クサイチゴ、キュウリグサ、アカカタバミ、カタバミ、ハコベ、オランダミミナグサ、オニタビラコ等です。家のそばの溝ではハルノノゲシとカラスノエンドウが咲いていますが、その周りにギンナンが10個落ちていました。よく見ると各所に穴が開いており糞がまとわりついていましたのでアライグマの落し物とわかりました。昨年もタヌキの落し物があり、その時はカキの種が主でした。季節によりアライグマの植生が変化することが落し物からわかります。ここのところ姿を見てはいませんが落とし主は元気で活躍しているようです。

 4月25日 庭隅で今年初めてのカナヘビを観察しました。市内の民家ではピンク色のきれいな花が咲いているところが目立ちます。早春に咲くマンサクの花に似たアカバナトキワマンサクという長たらしい名前の花ですが、近年植栽する民家が目立ってきました。外来植物や園芸種が以前に比べて多くなってきたので、名前を聞いてもわからないものが多くなっています。40年以上も前に購入したモノクロの牧野富太郎図鑑では対応できないものが多くなっています。 

辻の水田ではレンゲが満開となり、生まれたばかりの子ヤギがいました。スズメノテッポウも所狭しと生えています。レンゲの花にはいろいろな昆虫類が来るのでヒヨドリが何度もフライキャッチングしていました。ツマキチョウやモンシロチョウも飛び回っていました。

このような光景が何時まで見られるのか?都市の農地は年々減少しています。

農地法では、農地を農業以外に使うことを禁じていますが、宅地や商業施設などに使うために転用して姿を消しています。都市の農地は学校農園などの形で教育目的や福祉などにも活用できる利点があります。しかし、不足しているのは“相続が発生しても簡単に農地が失われないような仕組みづくり”ではないかと思います。

アカバナトキワマンサク 自宅庭のアライグマ

      4月26日 洗面所と台所にイエユウレイグモという足の長いクモの仲間がいました。風呂場ではアリグモが歩いていました。昆虫類の出現はまだまだ遅い感じがしますが少しずつは目に付くようになりました。

 庭のシャガの葉にオオクロハバチという1cm程の黒いハチの仲間が留まっていました。脚の一部に白い部分があるので近くで見ると識別しやすいハチです。アジサイの葉にはクロウリハムシがいました。

 4月28日 湧水公園ではツバメ2羽が飛び回っていました。2日間の降雨の後の晴天で温度も上がったため、餌となる昆虫が大分飛んでいるようでした。池の中では増殖したメダカがあちらこちらで集団で泳いでいました。

庭ではハルジオン、ゲンペイコギクが開花し、ツマキチョウが2匹飛び回っていました。

辻のH氏よりジムグリのようなヘビを見たとの情報を得ました。

 4月29日 庭のクサイチゴの葉にスジモンヒトリという蛾の仲間がとまっていました。16時過ぎにはルリシジミとモンシロチョウが飛来しました。

湧水公園で環境整備作業をしているときにカルガモの抱卵の状態を確認したところ雌はじっとしたまま動かず私を見ていましたが、我感ぜずという感じでした。

辻のH氏よりコミスジチョウのペアとツマグロヒョウモンの雄を初認したの情報が得られました。

 4月30日 湧水公園では10人ほどの人たちが遊んでいました。そのうちの一人が網ですくったものを見ているとモツゴ、ヌカエビの2種類が取れていました。池の周囲ではオオジシバリやシャガ等が咲いていました。近くの駐車場ではコバンソウやツボスミレも開花していました。

桜町の中央病院付近ではコミスジチョウがペアで飛んでいました。

家の庭ではベッコウバエ、オニグモ、アゲハチョウ、スジモンヒトリ等が目立っています。

夕方5時30分に庭へ出てみると隣家の庭にアライグマがいました。野良猫用に出した餌を食べており、周りでは野良猫4匹が眺めていました。私の姿を見て逃げ出そうとしましたが、逃げずに写真の被写体になってくれました。防護手袋をして網で捕らえようかと思いましたが、捕獲してもアライグマを入れる容器がないので見送りました。

(昨日は休日でしたので、5月1日に川口市役所の環境総務課へ連絡したところ4月中旬頃より近隣地区での目撃情報があり捕獲用籠を仕掛けたところ4月23日に1頭捕獲されたとのことでした。)

アライグマは外来生物であり、凶暴かつ危険なため目撃した場合は手を出さずに、川口市環境総務課庶務係埼玉県中央環境管理事務所あるいは県の自然環境課野生生物係 等に連絡すると対応してくれます。


鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 58

イカリソウ(メギ科)

イカリソウは漢字で書くと碇草・錨草、古くは三枝九葉草(さんしくようそう)とも呼ばれていました。漢方薬としても使われ生薬名は淫羊霍(いんようかく)と呼ばれ、強壮・強精薬として使用されています。名前の由来は花の形から来ています。花は8枚のがく片と4枚の花弁からなっています。がく片は二重になっていて、内側の4枚が大きくなって花弁と同じ紅紫色になります。花弁の4枚は細長い管状になっていて、形が錨にそっくりです。葉は、花の終わるころにのびてきます。鳩ヶ谷地域では現在絶滅していますが、以前は法性寺山、諏訪山、権現山などに群生していました。

 

地球温暖化を考える(49)

仮称・はとがやの湧き水の里に関連して(11)

12月末に枯れたコウホネが発芽し、コウホネの池を埋める勢いです。湧水公園で2007年から2011年までに観察された野鳥は24種類を含むその他の動物は44種類、トンボ13種類含む昆虫類は111種類となりました。植物は斜面林も含め131種類でした。

 湧水公園の池で見ることができる昆虫のうち、特に目立つのが赤とんぼの仲間です。特に、ショウジョウトンボのオスは体全体が赤いので一番目立つ存在です。将来的には池のイメージとして下図のような環境をイメージしています。

ノシメトンボ 池の周囲のイメージ
ショウジョウトンボ(♂)   ショウジョウトンボ(♀)
アキアカネ ナツアカネ

●   湧水公園でカルガモが営巣しました。草の影にうまく隠れて巣を作りましたが、あまりにも狭い池なのでうまくヒナが孵ってくれるか心配です。雄も近くで見守っています。

草の陰に隠れるようにして営巣  カルガモの雌

●   4月24日に、昨年植樹したハンノキ3本が斜めに倒されていました。木の下の柔らかい土の上にはハンノキを押したおそうとした時にできた後が残っていました。

 4月28日にハンノキを元に戻し、添え木を立てて名札をつけました。