No.128 2015年2月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ(141)

 ノスリ(タカ科)Buteo buteo

ノスリの名の由来は、野原をするように(野擦り)飛ぶところからつけられたとの説があるが、本当のところはわからない。冬枯れの水田や草原を低空飛行で飛ぶこともあるが上空でゆっくりと旋回したり、ホバリングするのを見る機会が多い。全国の低山や山麓地帯で繁殖し、冬期は耕作地や荒れ地などで見る機会が多い。小鳥やヘビ等を食べるタカの仲間で、昔は「まぐそ鷹」とも呼ばれていた。東北地方ではチョウゲンボウ、ノスリ、サシバなど小型のタカをマグソダカと呼んでいる。マグソとは「まがい」の意味で、鷹狩りの役に立たないという意味とも言われているが、真意は不明。

冬期に水田地帯や大きな川の土手沿いなどを歩いていると、木の枝や電柱の上に止まっている姿を見る機会が多い。車で近づいている場合は、意外と警戒はしないが人が歩いているとかなり離れていても飛び立ってします。流石に猛禽類である、眼は鷹の眼である。

 

自然の記録

 2月 2日 先日降った雪が所々の日かげに残っていましたが旧芝川の散策をしました。北風が寒くて芝川土手を自転車で走るのは大変でしたが、旧芝川の堤外へ入ると意外と暖かく多少汗ばむ感じでした。野鳥は少なめでしたが、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、ホシハジロ合わせて145羽でした。青木水門付近の新芝川は干潮で葦原の手前にわずかながら干潟が出ており、クイナ、バン、コガモなどが採餌していました。その他の野鳥はユリカモメ、オオバン、コサギ、ハクセキレイ、キジバト、ヒヨドリ、カワラヒワ、ムクドリ、ツグミ、ジョウビタキ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ドバト等でしたが、オートレース場裏の草地でウグイスの仲間のムジセッカを観察しました。

ムジセッカは旧鳩ヶ谷市(118種目)、川口市(228種目)を含め初記録です。埼玉県でも恐らく初記録と思われますが、残念ながら証拠写真が取れませんでした。叢から5回ほど姿を現しましたが、風が強いためか枯草の中にもぐりこんでしまいました。

ムジセッカはウグイスに似ているが体上面がウグイスに比べ灰色味があり、尾が短いのが特徴です。ウグイスでも亜種のカラフトウグイスは全体に灰色味がありますが大きさや尾の長さなどで識別可能です。観察時は一声のみ低いチュッと言った声を発しました。ちなみにウグイスの地鳴きはチャッ、チャッとはっきりした声で鳴きます。

 2月 3日 今日は節分、鳩ヶ谷総鎮守である氷川神社の節分祭があり、神楽殿では草加神楽会の方々による演目「法童丸母子対面」が行われました。クマガイソウとアツモリソウの名の由来となった、熊谷直実と平敦盛の須磨浦での話は有名ですが、その後の史実は不明ですが、演目の物語は概ねこのようになっています。「敦盛と直実の因縁の後日談として創作されたもの?敦盛の遺児の法童丸とわけあって捨て子した母玉織が時を経て京都の辻で再開する一場面」で、「法然上人と蓮性坊(熊谷直実)が赤子を拾って育て、時は流れて、法童丸と名付けられた敦盛の遺児は法然上人と蓮性坊と共に、法童丸の父母を探して辻説法をしているところに居合わせた玉織が名乗り出て、その場で法童丸の問いかけに、育ての親である蓮性坊こそが父親である敦盛の仇敵であると告げたことにより、仇討となったが法然上人がわけてはいり、蓮性坊にこれまでと同じように法童丸をいつくしむように諭し、この様子に感じ入った法童丸は自らの無礼を恥じ、蓮性坊に誤り、ともに亡き敦盛の墓所を目指す。」史実としては本当にあるのかどうかはわかりませんが、約30分の間でしたが20人近くの参拝者が観劇していました。

ギシギシを食べるヒヨドリ ジョウビタキ(♂) 岸辺の草を食べるヒドリガモ
尾を上げて半身潜水で採餌するオナガガモの(♂と♀) 水辺を歩くバン

 2月 4日 湧水公園の周辺を散策しましたが、ハクセキレイ1羽が盛んに餌をとっている姿を見たのみで、他の生物の動きは全くありませんでした。法性寺の斜面近くではユキヤナギが開花していました。帰途、埼玉りそな銀行近くの民家のキンカンの実にヒヨドリが集まっていました。

 2月 5日 天気予報では大雪の予想であったが、霙混じりの雨〜雨に変わり降雪はなかったが、都内ではところにより3p積雪とのことでした。一日中、庭には鳥影なし。

 2月 9日 近所の家の周りで久しぶりにジョウビタキの雌を見ました。北風が寒く、ジョウビタキも動きが緩慢で福良雀のように羽毛を膨らませていました。

 2月12日 江川と見沼代用水の合流点付近でオナガガモの雌雄が泳いでいました。例年は10羽以上が飛来していますが、今年は少ないようで見かけることも少ない。毛長川調節池付近ではキンクロハジロの雄が1羽でした。

 2月13日 庭のヒメオドリコソウが開花しました。スノウドロップも相変わらず交代で花を咲かせています。

 2月21日 湧水公園ではオオイヌノフグリが開花し、セリの若芽が大分伸びてきました。そろそろセリ摘みに来る人たちが来る頃かも。

 2月25日 近所の庭ではシナマンサク、サザンカ、ボケ、紅梅、白梅、等が満開となってきましたが、我が家の枝垂れウメはようやく数個の花が開花し始めたところです。街中の日当たりのよいところでは50〜60cmに伸びたギシギシが花芽をつけ始めました。

枯れアシで餌をとるシジュウカラ 芽吹き始めたクワの木にとまるムクドリ

 2月27日 今日は比較的暖かかったので市内を散策しました。ソシンロウバイ、アカバナマンサク、サンシュウ、フクジュソウ、菜の花、等が開花していました。菜の花にはハナアブが飛来して盛んに吸蜜していました。吹いている風はかなり冷たかったのですが、風がやむと背中が暑くなるほどの暖かさになりました。シジュウカラやヒヨドリの声もどことなく春めいてきたように感じます。

小さな池の淵ではヒキガエルが来ていました。そろそろ、産卵の時期ですね。近年は、カエル合戦ができるような場所が少なくなり、多くのヒキガエルが集まって産卵をするのを見る機会がなくなりました。ヒキガエルはガマガエルとも呼ばれ、背中のいぼいぼのためか嫌われる傾向にあります。ヒキガエルは耳の後ろにある大きな耳下腺や皮膚の毒腺から、外敵から身をまもるためのブフォトキシンという毒液を分泌します。このブフォトキシンには数種の成分があります。ブフォタミンという強心作用を持つ薬はこの毒液を利用したものです。

ブフォトキシンやブフォタミンのブフォはヒキガエルの学名Bufo bufo japonicusが由来です。

アカバナマンサク 菜の花とハナアブ フクジュソウ

 

地球温暖化を考える(81)

旧芝川のクリーンアップ

 旧芝川が清流ルネッサンス事業でクリーンアップされてから、毎年、草刈りなどの作業が行われていますが、川底の管理作業が初めて行われました。この付近の芝川は、浄化用と放水用に川筋が3本に分かれています。今回の作業場所では川底には金網が敷かれており、一部には炭素繊維を利用して、炭素繊維の周りについた微生物で浄化を進めるものが設置されています。円形の装置には、ピンク色をしたヘドロがしっかり付着しておりクリ−ンアップ作業は大変な作業であることがわかります。しかし、ヘドロを除去しても家庭などの雑排水や工場からの排水が相変わらず流入しているためにヘドロを供給しているようなもので、この作業は鼬ごっこです。緑地を増やすのも清流を取り戻すのも並大抵のことではありません。旧芝川を囲むように大型のマンション建設が進められています。折角、緑と清流で町の中に涼しい風を起こそうという計画もマンションに囲まれてはと思いますが。温暖化防止のためにはクール・アイランド化を進める必要があります。しかし、10年前の旧芝川に比べれば川の臭気はかなり減少し、生息する生物種数は確実に増加しています。ちなみに、野鳥は7年間の観察で58種類記録されました。

青木橋付近での作業風景