No.32 2007年2月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (45) 

クイナ(クイナ科) Rallus aquatics

 クイナ
クイナ (北本自然観察公園で撮影) 

日本には有名なヤンバルクイナをはじめとして10種類の仲間がいるが、その中でよく知られているのがクイナとヒクイナである。

和歌や俳句に詠われているのは水鶏と読まれているが殆どは夏鳥であるヒクイナの事で、クイナ は別名フユクイナとも呼ばれている。昭和40年に日本鳥類保護連盟から出版された野外観察用野鳥図鑑ではクイナという和名が着けられていたが、48年に再版された時にはフユクイナ(旧名クイナ)に改められ、現在は元に戻ってクイナとなっている。クイナは漢字で書くと水鶏と書き、水辺に関係している鳥であることが解かる。上面はオリーブ褐色、下面は青灰色で目立ちにくい色をしており、何時も忍者のようにこそこそと葦原の中を動き回ってなかなか姿を見せてくれない。

近年は葛西臨海公園の鳥類園や北本自然観察公園などでは毎冬、かなり高い確率で観察できるようになった。鳩ヶ谷市内での正式な記録はなかったがトンボ公園があった頃に、写真が撮られて記録となった(鎌奥哲男著:自然塾トンボクラブ)。

自然の記録:

 2月 3日   キセキレイは日課の如く上空を通過していく(桜町6丁目)、埼玉植物園(本町3丁目)付近の民家の庭先をシジュウカラ4羽が移動していた。

 2月 4日   コンポストを埋めた後をツグミが毎日掘り返し、ハエやアブ類の蛹を掘り出して食べている。今朝、見た時は数百匹はいるだろうと思われた蛆が午後には殆どなくなっていた。ずいぶん食欲旺盛なツグミである。残さずに食べてくれた方がこちらも助かる。暖かくなるとコンポストの中は蛆だらけになってしまい、ハエや大きなアブなどが飛び回り不快、かつ毎年数千匹〜数万匹の蛆が蠢いているので良い気持ではない。

ジョウビタキの雄も来ていたが、蛆を食べている様子はなかった、今日は暖かかったのでクロゴキブリまで出現し、庭をこそこそ歩いていた(桜町6丁目)

 2月 5日   ヒメオドリコソウ、ハコベが開花した、昨年の開花は3月20日(43日早い)である。

 2月 8日   コオニタビラコ、ホトケノザ、ハハコグサが開花、昨年のコオニタビラコの開花は4月14日(2ヶ月以上)、ホトケノザの開花は3月28日(51日早い)、ハハコグサは4月13日(2ヶ月以上)と、いずれも今年が暖冬であることを証明している。これが温暖化の影響なのか、今年だけが暖冬なのか、数年間の記録をとっていけば解るであろう。

新聞の報道によれば、1月の平均気温が各地で最高を示し、世界的にも変化が大きいようです。

アメリカ東部・ニュージャージー州では、平年の最高温度が0℃の1月上旬に22℃まで上昇、その一方でアメリカの西部から中部では異常低温となり、氷点下25℃を記録したそうです。人間による環境破壊の影響で地球の温暖化が進んでいます。今冬の暖冬との関係ははっきりわかりませんが温暖化について考える必要があります。

鳩ヶ谷市内でも緑地が毎年のように減少しています、何とか見沼辺の斜面林だけでも残していきたいものです。

コオニタビラコ ハハコグサ
コオニタビラコ ハハコグサ

 2月10日 毛長川でカルガモ6羽、コサギ2羽、ハクセキレイ1羽、メジロ3羽を観察した。

 2月12日 毛長川でコサギ2羽、キセキレイ、ハクセキレイを観察、毛長川調節池ではカモ類が全く見られなかった。

 2月14日 午後1時過ぎ頃桜町6丁目、大塚さんと豊田さんの間の私道、一番奥の行き止まりでタヌキが佇んで、こちらを見ていました。携帯のカメラを取りに戻って、再度表へ出たときにはまだ同じ姿勢でこちらを見ていました。 携帯を構えたところで、側溝のなかへ潜り込み消えました。昼間ですが雨模様で人気がなかったから現れたのでしょうか(橋元さんよりの情報)。

市内でのタヌキの情報は4件目になります。過去の目撃例は@江川を挟んだ桜町5丁目と慈林の畑周辺 A鳩ヶ谷高校周辺 B鳩ヶ谷中学校付近の民家。

いずれも、民家や病院の屋敷林や残土置き場など多少でも自然環境が残っているところを探して生息しているようです。

 2月17日 ジョウビタキの雄がスズメ2羽と地上で採餌していた(桜町6丁目)

 2月19日 安行慈林バス停付近の江川の浚渫を行っていたので、見沼用水までヘドロ状の水が流れていた。この浚渫工事によってどのくらい綺麗になるのかは疑問であるが?

40年前までは権現山(旧東公団の在る場所)や大龍寺山(現、桜町6丁目)の里山から流れ出た湧き水が幾重にも流入していた頃は、水田に引水するための川として機能していたことからメダカ・タナゴあるいはドジョウが泳ぐ「春の小川」として存在していたが、今は家庭の雑排水が流れるどぶ川と化している。川の中には自転車やオートバイを始め、ビニール袋に入ったゴミまで投棄されている現状である。それでもカルガモ・コサギやセキレイ類が餌をとっていることもある。

鳩ヶ谷から絶滅した生物、絶滅しつつある生物

鳩ヶ谷市内ではありませんが2月15日に川口市の差間の水田地帯でヒバリが囀っていました。昨年からNPO法人のバードリサーチが「季節ウオッチング」という野鳥の調査を行っていますが、昨年のヒバリの囀り初認記録を見ると図のようになります。

自然や農地が消失した鳩ヶ谷市内では、囀りを聞くことは出来なくなりましたが、見沼田圃ではまだ聞くことが出来ます。*ヒバリも移動をしますので時には市内でも囀りを聞くことが出来るかもしれません。可能性のある地域は芝川沿いかも?

ヒバリの囀りの初任記録 飛びながら囀るヒバリ(千葉県で撮影)
ヒバリの囀りの初認記録 飛びながら囀るヒバリ(千葉県で撮影)

 2月22日 鳩ヶ谷大橋上空をセグロカモメの成鳥が1羽飛翔していた。久し振りに市役所7階食堂で食事をしながら景色を眺めていたが、冬ということもあり川口市域までよく見えたが、同時に殆ど緑地がなくなったと実感した。

 2月23日 雨の中メジロが3羽庭を通過した(桜町6丁目)。

 2月28日 毎日コンポストに来ていたツグミの姿が1週間ほど見えないのでノラネコにやられたのかと思っていたが、今日は姿を見ることが出来安心した。ノゲシの花が大きく開いてまるでタンポポの花のように見える。隣家のミモザの開花もずいぶん早いような気がする。先週でかけた北本自然観察公園ではアカガエルの卵が沢山産み付けられていた。2月中旬は厳冬期のはずであるがカエルは春の目覚めどころか産卵までしてしまった。暖冬はエネルギー消費も少なくて良いのであるが、これで良いのか日本?温暖化対策にもっと力を入れるべきではないかと考えさせられる。