No.40 2007年10月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (53)

アカエリヒレアシシギ(ヒレアシシギ科)Phalaropus lobatus

撮影場所:茨城県波崎海岸(冬羽)

アカエリヒレアシシギは外洋性のシギの仲間で、春と秋に群れで海洋上を飛んでいます。特に、春の渡りの時には「ながれ藻」の上に乗って休息する光景をよく見かけましたが、近年は「ながれ藻」の漂流が少なくなりました。この鳥は、他の鳥と異なり、「野鳥シリーズ51号」で紹介したタマシギと同じように、雌の方が雄よりも綺麗な鳥です。低気圧や台風が通過した後などに内陸部の川や沼などに入ってくることがありますが、同じ場所でくるくる回りながら餌が浮いてくるところを採餌します。市内では1991年9月11日に芝川と旧芝川の合流点付近で16羽の群が観察された記録があります。夏羽は名前の通り襟の部分が赤くなり、体の色も全体に赤みがあります。

自然の記録:

10月 1日 今月の最初のニュースはゴミ問題。本町3丁目の斜面林付近の見沼代用水を大型のマットが流れていました。誰が捨てたのかはわかりませんが、川をゴミ捨て場としているようです。市内でも放置自転車や大型ゴミなどの不法投棄が各所で見られます。環境美化以前のマナーの問題でしょうね。数十年前まではこの様なことはあまり見かけなかったのですが物が豊富になった影響なのでしょうか。放棄されている物の中にはまだ使える物が沢山あるようです。

見沼代用水を流れる大型のマット 見沼代用水のゴイサギ

10月 2日 Ha氏よりカワセミ情報。7時頃見沼のいつもの場所で1羽、宮下橋上流のフェンスにとまっていた別個体と思われる1羽を観察されたと情報が入りました。筆者も10時に見沼代用水と江川・毛長川の合流点で1羽を見ることが出来ました。

旧芝川の再生地で観察しました。

開花植物:キンエノコロ、エノコログサ、オギ、イタドリ、マメアサガオ、センダングサ、アレチウリ、ヨメナ、ヨモギ、ミゾソバ、タカサブロウ、イノコズチ、サンカクイ、フトイ、オナモミ、アカバナユウゲショウ、ヒメジオン、アゼガヤツリ、アブラガヤ、セイヨウタンポポ、クコ、ノゲシ、ムラサキツメクサ、アオゲイトウ、ガマ、イヌタデ、オオイヌタデ、オオケタデ、ヒガンバナ、カラスウリ、ツユクサ、ヨウシュチョウセンアサガオ、セイタカアワダチソウ、クズ、ジュズダマ、クサギ

昆虫類:アキアカネ、オオシオカラトンボ、シオカラトンボ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、モンシロチョウ、モンキチョウ、スジグロシロショウ、ウラギンシジミ、ルリシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ、ホウジャク、ベツコウハゴロモ、カヤキリ、オンブバッタ

魚類:メダカ、ツチフキ、クチボソ

野鳥:コサギ2、ササゴイ若1、カルガモ17、コガモ16、ハクセキレイ、ハシボソガラス、ムクドリ、スズメ、(ササゴイは夏鳥であり、渡り途中に立ち寄った可能性があります)

桜町6丁目の自宅では、コカマキリ、ハラビロカマキリ、ホウジャク、エンマムシ、テントウムシ、オオスカシバの幼虫、ナミアゲハの幼虫などを観察しました。

10月 4日 Ha氏より、ゴイサギの写真が送られてきました。見沼代用水と江川・毛長川が合流する場所でフェンスにとまっていたところをパチリです。このゴイサギは全体が褐色で、白い斑点があり星五位と呼ばれるゴイサギの若鳥です。ゴイサギの若鳥は同じ夏鳥であるササゴイの若鳥とよく似ています。

宮下橋付近ではウグイスの仲間のメボソムシクイを観察し、詳細な観察情報が寄せられました。メボソムシクイは夏の間、日本で繁殖し春と秋に市内などを通過していく小さな渡り鳥です。

近年少なくなったオニグモが、我が家の庭に網を張りました。昨日まではジョロウグモ2匹が縄張りを占めていたのですが、1匹が2mほど位置を移動し、大きなオニグモが網を張り真ん中に陣取っていました。今年最後のアブラゼミか?台所の裏で骸となり沢山のアリが集まっていました。19時頃にクチナシの葉にコチャバネセセリが止まり、一夜を過ごすようです。

10月 5日 家のイヌ走りの上でキイロスズメ(蛾の幼虫)の若齢幼虫が骸となっていました。また、ヤマノイモの葉が丸坊主になっていたので探してみると、ここにもキイロスズメの幼虫がいました。先月から今月にかけて数種類のスズメガの幼虫を紹介していますが、これらの幼虫は俗に“芋虫”と呼ばれており、元来は農家で栽培する芋類に寄生する害虫であったところから、総称してイモムシと言われているようです。

庭の片隅に数株のゲンノショウコが開花しました。いつの間にか増えてきたようです。

昨年はヒヨドリジョウゴを庭で見つけ、抜かずに置いておいたところ2株が花をつけて実が生りましたが、いつの間にか鳥に食べられてしまいました。今年は一株も見られません。ヒヨドリジョウゴが市内にあることが不思議に思っていたのですが、恐らく移動してきたヒヨドリが運んできたのでしょう?

八幡木2丁目のN氏より、綺麗なルリタテハが飛んでいたとの情報を頂きました。ルリタテハは蝶(成虫)のまま冬越しをする蝶です。これからの季節、日溜まりで見かけることがあります。

10月 7日 辻のKさんより、天神橋付近の鳥の情報を頂きました。その中に鳩ヶ谷市内初記録の野鳥2種類がありました。オートレース場裏の旧芝川でイソヒヨドリ(♀)(通常は海岸に生息しますが、恐らく荒川沿いに移動してきたものと思われます)、他にはカワセミ(2)、新芝川でシマセンニュウ(北海道などで繁殖し、秋の渡り途中で立ち寄った物と思われます)、コガモ(6)、カイツブリ、コサギ(4)、アオサギ、バン、キセキレイなどを観察。

イソヒヨドリ♀(Kさん撮影) シマセンニュウ(Kさん撮影) ササゴイ
チチブ(ダボハゼ)  フナ(下)とモツゴ(クチボソ)

10月10日 辻のKさんより、天神橋付近の新芝川でクイナを観察したとの情報を頂きました。(場所は新芝川の水門向かいです。アシの後ろにまだら模様が見えたので、しばらく待っていると出てきました。土中のゴカイを引っ張って食べていましたが、排水口から出ている水路をまたいで飛び移り、また別の場所からアシ原に入っていきました。帰ってから図鑑を見ると、なかなか出てこない、とあるので幸運だったようです。)湿地帯が無くなった鳩ヶ谷市内では珍しい野鳥となりましたが、このまま越冬してくれると良いですね。旧芝川では今秋初認となるオナガガモ雄2羽、雌1羽も観察されました。

クイナ(Kさん撮影) アケビコノハの幼虫

10月11日 旧芝川で、アシハラガニ、クチボソ、チチブ、フナ、メダカなどの水生生物、      ササゴイ、コサギ、アオサギ、カルガモ、コガモ、カワセミ、キジバト、ハシボソガラス、スズメ、ハクセキレイ、カワウ、等の野鳥が観察されました。

桜町6丁目の自宅では、クチナシの葉にオオスカシバの幼虫10匹、ヘクソカズラの蔓にホシホウジャク、ヤブガラシの蔓にコスズメガの幼虫がいました。

10月12日 桜町6丁目の民家の脇にドブネズミの骸がありました。外傷はありませんでしたがネコにでもやられたのでしょう。実家のカラスビシャクがセスジスズメ(蛾の幼虫)3匹に食べられて殆ど坊主になってしまいました。昨日と今日の2日間庭で見つけたスズメガ類の幼虫は4種類、色々なイモムシがいるものです。

10月13日 桜町のHa氏より庭のアケビで撮した幼虫の写真が送られてきました。成虫はアケビコノハという木の葉そっくりの前翅を持った、大きなシタバガの仲間。幼虫は、アケビ、ムベ、ヒイラギナンテンなどの葉を食べます。アケビコノハの幼虫は紫がかった黒色のものと緑色のものがいて、2対の大きな眼状紋を持ち、危険を察すると、上の写真のような独特のポーズをとります(擬態)。

10月16日 桜町6丁目の自宅庭でセンチコガネを見つけました。赤紫色の金属光沢を持つコガネムシ。糞虫の一種で糞の下に産卵し、幼虫は糞を食べて育ちます。体色は金赤色〜赤紫色まで地域変異があります。イヌ走りのコンクリートの上でコカマキリが逆さまになってもがいていました。この種類は林の周辺から、草原、人家周辺まで、幅広い環境で見られます。地表を歩き回っていることが多く、さまざまな昆虫などを捕らえて食べます。敵にあうと、死んだふりをすることがあります。翌日は骸となり体の半分以上が何者かによって食べられていました。

10月17日 自宅のブロック塀のツタに2匹のゴマフリドクガがいました。白っぽい体に細かい胡麻のような斑点がある綺麗な蛾ですが、いかにもドクガという感じの蛾です。ここ数日、ハラナガツチバチという黒色で毛深く、黄白色の縞模様がある長い腹部を持ったハチが数匹庭を飛び回っています。オスの触角は長く、前翅長の3分の2ぐらいあり、幼虫は、コガネムシの幼虫を食べて育ちます。庭の土を掘り返すと多くのコガネムシの幼虫がいるので、自給自足の生活をしているようです。

10月18日 江川と見沼代用水の合流点付近でコサギ(1羽)、カルガモ(2羽)が採餌していました。ここ数日カルガモは同じ場所で餌を採っているようです。

10月19日 28日に自然観察会を行うので、コンフォール東鳩ヶ谷の隣接した空き地の生物を見てきました。現地はかなり草丈が高いものがありますが。

開花していた植物:アメリカイヌホオズキ、マルバアメリカアサガオ、アメリカフウロ、アメリカセンダングサ、シロノセンダングサ、キバナコスモス、ハルシャギク、キクイモ、ヨウシュヤマゴボウ、メヒシバ、ノゲシ、ハキダメギク、エノコログサ、ムラサキエノコロ、アレチノギク、シロツメクサ、アカザ、シロザ、ヨメナ、ツユクサ、イヌタデ、オオイヌタデ、ハコベ

昆虫類:モンシロチョウ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミ、ウラナミシジミ、ベッコウハゴロモ、オオウンモンクチバ、アオクサカメムシ、ナナホシテントウ、トノサマバッタ、イボバッタ、ツユムシ、エンマコオロギ、フタモンアシナガバチ、ハラナガツチバチ

野鳥:モズ、ヒヨドリの渡り(13羽)、スズメ(20羽) 

アメリカイヌホオズキの葉を食べるアオクサカメムシ 幼虫〜成虫

10月24日 南公民館のフェンスにハゴロモルコウソウ(モミジバルコウソウ)が咲いていました。マルバルコウソウとルコウソウの交雑種と言われています。

ハゴロモルコウソウ 毛長川の水鳥類(Ha氏提供)  柿の葉上のカネタタキ

10月25日 Ha氏より、いつもの場所でカワセミ2羽、毛長川でダイサギとコサギを各1羽観察したとの情報を頂きました。

辻のKさんから旧芝川でジョウビタキの雄を観察したとの情報を頂きました。今秋の市内での初認記録となりました。

自宅の柿の葉が落ちてくる時にカネタタキが一緒に落ちてきました。ホシホウジャクやアオバハゴロモなども庭隅で暖をとっていました。ヤモリ2匹もゴミ箱裏の定位置でブロック色に擬態してじっとしていました。

10月27日 台所に設置しておいたゴキブリホイホイにヤモリがかかっていた。死んでいるのかと思ったが少し動いたので、体を外そうとしたが粘着力が強く完全に剥がすことが出来なかったが、何とか四肢を外すことが出来た。腹部ははりついたままであるが、とりあえず仲間のいるゴミ箱の裏へ置いてあげた(残念ながら30日に死骸が見つかりました、腹部にはりついた粘着剤の影響で思うように動けず餌の摂取もままならなかったのでしょう。土をかけて埋葬しました)。

10月28日 足早に去った台風後の今日は秋晴れ、市内で5つのイベントが重なった影響か参加者7名ですがコンフォール東鳩ヶ谷の空き地で自然観察会を行いました。この土地を取得した開発業者が12月には民家の建設が始まるので、それまでの間は利用しても良いとのことで、今回の観察会が実現しました。鳩ヶ谷市内では、今後この様な広い面積の空き地が出来る可能性はありません。本来ならば、自然公園的な環境として残してほしい場所であります。参加した子供は虫籠に沢山の虫を採集して喜んでいました。

開花していた植物:アメリカイヌホオズキ、マルバアメリカアサガオ、アメリカフウロ、アメリカセンダングサ、キバナコスモス、ハルシャギク、キクイモ、ヨウシュヤマゴボウ、メヒシバ、ノゲシ、ハキダメギク、エノコログサ、ムラサキエノコロ、アレチノギク、シロツメクサ、アカザ、シロザ、交雑タンポポ、サンジャクバーベナ、ツユクサ、イヌタデ、オオイヌタデ、ハコベ、アカバナユウゲショウ(24種類)

結実した植物:セイバンモロコシ、ジュズダマ、ヘクソカズラ、イシミカワ(4種類)

昆虫類:モンシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、ヒメアカタテハ、アカタテハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミ、ウラナミシジミ、イチモンジチョウ、ベッコウハゴロモ、アオクサカメムシ、ブチヒゲカメムシ、エビイロカメムシ、ナナホシテントウ、アキアカネ、トノサマバッタ、イボバッタ、イナゴ、ショウリョウバッタ、オンブバッタ、クサキリギス、ツユムシ、エンマコオロギ、フタモンアシナガバチ、ミツバチ、シロヒトリ(クマケムシ)(27種類)  *アカタテハは市内では久し振りの記録です。

野鳥:ジョウビタキ(雌1羽:初認)、キジバト(1羽)、ヒヨドリの渡り(5羽)、ハクセキレイ(2羽)、スズメ(10羽)、ハシブトガラス(2羽) (6種類)

自宅へ戻ってきたところ、ユズの木にナガサキアゲハの雌が飛来していました。しばらく見かけなかったのですが産卵に来たのかも知れません。来年も羽化を見ることが出来るかも知れません。落ち葉が溜まった樋を掃除していたところ、落ち葉の下からタマムシの死骸が出てきました、かなり時間が経っているようですが羽根の輝きは玉虫色をしていました。

10月29日 昨日、コンフォール東鳩ヶ谷の空き地で今秋初めてのジョウビタキ(雌の姿と声)を確認しましたが、今日は桜町6丁目の公園付近の桜並木で声を聞きましたが、姿を見ることは出来ませんでした。恐らくここ数日で市内に渡ってきたものと思われます。

10月31日 新芝川の辻公園付近で今秋、初めてのユリカモメを観察しました。これから個体数が増加してくることでしょう。