No.171 2018年9月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (184)

ヒバリシギ(シギ科)Calidris subminuta

ヒバリくらいの大きさのシギで雌雄同色。成鳥の夏羽は頭から背、翼が赤褐色で、顔には白く太い眉斑がある。喉から下の体下面は白色。冬羽では体の上面が灰褐色になり、頭部などに黒褐色の縦斑がある。嘴は黒色で、シギ類としては細く短い。足は黄緑色である。大きさの近いウズラシギやヨーロッパトウネンと似ているが、足の色の違いや初列風切羽が突出していないことで区別できる。干潟よりも水田や休耕田などに飛来することが多い。小型のシギの仲間は種類が多いが、どれもよく似ており識別が難しい。また、このような小さな体で春と秋に長距離を移動することは驚きでもある。川口市内では蓮田や休耕田が消失したためヒバリシギなどの内陸性のシギ・チドリの飛来できる場所が無くなりましたが、過去に、芝川第一調節池の工事中にできた干潟状の水たまりで数例の記録がある。

自然の記録:

 9月 3日 久しぶりに家の周囲をアブラコウモリが1頭飛んでいました。以前は10頭以上を家の周りで見ることが出来ましたが最近減少しているようです。

 9月 5日 桜町の元屋敷園内を散策、2008年頃川口市内に侵入してきた南方系のナカグロクチバ(蛾の仲間)が旧鳩ヶ谷市内では初めて記録された。オオウンモンクチバ、シロオビノメイガ、カノコガなども飛んでいました。ニホンミツバチの巣箱の近くではウスグロツヅリガというメイガの仲間がいました。ハチミツガとも言われています。ミツバチは侵入者に対する防御をするが、巣の活動が弱体化していたりすると、ウスグロツヅリガが入り込んでしまい、巣に卵を産みつけます。生まれた幼虫は、この巣やミツバチの幼虫、サナギを食べます。養蜂家が常に点検・掃除をしないと、この虫に巣を壊滅的にさせられることもあるようです。その他、オオカマキリ、ショウリョウバッタ、ショウリョウバッタモドキ、クルマバッタモドキ、エンマコオロギ、ツユムシ、ハラオカメコオロギ等のバッタの仲間、アキアカネ、ミヤマアカネ、ノシメトンボ、ウスバキトンボ(ベニガラトンボ)等も観察された。

ウスグロツヅリガ ナカグロクチバ ミツバチの巣箱
シロオビノメイガ オオウンモンクチバ 秋型のキチョウ

 9月 6日 桜町6丁目自宅のテレビアンテナにコムクドリ2羽が飛来したが、すぐに飛去してしまった。我が家の庭でコムクドリを見るのは初めてでした。自宅庭や上空通過した野鳥の種類は56種類となりました。また、郵便受けにオオカマキリが一日中止まっていました。

 9月 8日 はとがやに里山をつくる会のメンバー6名で豊田の森の整備作業を行いました。新しく若い女性がメンバーになってくれたので戦力になりました。台風21号の影響で樹齢400年以上のイチョウの木の大枝が6本も折れました。折れた枝には沢山の銀杏が実っており大量に落下していました。スダジイなどの古木からも枯れ枝が大量に落ちており、枯れた竹の間伐16本の作業も含め2時間があっという間でした。その後、湧水公園に移動し、池周辺の除草を行いました。8月中暑かったことから作業を行わなかったので、コセンダングサやヒメムカシヨモギなど1mを超える高さまで伸びていたものもありました。

豊田の森で竹林の整備作業 台風で落ちた大量の銀杏

 9月 9日 ボタンクサギの茎にクロメンガタスズメの終齢幼虫がいました。今年はシモフリスズメの幼虫を何度か見つけましたが、クロメンガタスズメの幼虫は初めてでした。台所の入り口ではヒカゲチョウが止まっていました。

 9月10日 旧芝川を散策、ギンヤンマ、ウスバキトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ等のトンボの仲間、ナミアゲハ、モンシロチョウ、ヤマトシジミ、コミスジ、イチモンジセセリ、クワコ等の蝶の仲間など、野鳥は少なく、カモ類の渡りも遅いようである。

 9月16日 一週間ほど雨の降りそうな日が続き、昆虫類の動きも止まったかのように庭に飛来する昆虫が少ない。熟し始めたカキの実にはムクドリが集まり始めた。

 9月17日 久しぶりに晴れたので元屋敷園の中を散策、クモヘリカメムシ、ハリカメムシ、ホソハリカメムシ、アオハナムグリ、キムネクマバチ、オオスズメバチ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミ、オオウンモンクチバ、シロオビノメイガ、ヨモギコヤガ、ショウリョウバッタモドキ、オンブバッタ等を観察することが出来ました。桜町湧水公園では池の周りの草刈りが行われて歩きやすくなっていました。ベニシジミ、イチモンジセセリ、オンブバッタ、クサキリ、クモヘリカメムシ等がいました。

クロメンガタスズメ キムネクマバチ

 9月28日 久しぶりに晴れたので旧芝川を散策、カモ類の渡来はまだでした。今年は遅いようだ。サツマイモの害虫として知られるナカジロシタバの幼虫(俗にイモヨトウとも呼ばれる)が道路上を歩いていました。野鳥も昆虫類も少なく、アジアイトトンボ、シオカラトンボ、ウスバキトンボ、ギンヤンマ等のトンボの仲間、ヤマトシジミ、モンシロチョウ、ナミアゲハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、イチモンジセセリ等が飛んでいました。イヌキクイモの黄色い花が目立ち、アメリカアサガオ、アレチウリ、オオオナモミ、オオブタクサ、セイタカアワダチソウ、セイバンモロコシ等の外来種の植物が花盛りでした。ヒガンバナも芝川沿いの道にはところどころ咲いていました。沢山生えているクワの葉が蛾の幼虫に食べつくされて白っぽい葉脈だけが残っている木が沢山ありました。

ナカジロシタバ 紅白のヒガンバナ

 9月29日 庭隅でヒバカリを見ることが出来ました。今年は見られないかと思っていましたが、毎年どこかで孵化しているようで30cm〜50p程度のヘビを見ることが出来ます。近年はヘビを見ることが少なくなりましたが、家の周りに生息しているのは嬉しいですね。

地球温暖化を考える(123)

木漏れ日の道と斜面林(東内谷)

東縁見沼代用水に沿って川口自然公園近く、JR武蔵野線を超えた左手に東内谷の木漏れ日の道があります。グリーンセンター方面から来ると、木曽呂北の交差点を通り過ぎて少し行くとテニスカンパニー「パインヒルズ」があります。そこを右に折れてすぐ、竹藪の脇を流れる用水沿いの小道が「木洩れ日の道」。アジサイの道としても知られています。斜面林は竹林やスダジイなどの樹種で構成されて、ヒヨドリなどの野鳥によって運ばれてきたアオキ、エノキ、シュロ、シロダモ等の下生え等で構成されて豊かな緑地を形成しています。脇を流れる用水は清流とは言えませんが水の流れと緑があることによって涼しさを感じます。温暖化により京都の社寺では苔の消失や減少している場所が多くなっているようです。今年の夏は高温が続き、異常気象と言われています。地球温暖化の影響も多分にあると思いますが、主な原因は、ヒートアイランド現象とも言われています。異常気象は、地球温暖化の影響とヒートアイランドの影響の2つの要因があります。ヒートアイランドは、グリーンインフラを中心とした開発行為・都市化の進展によって起こる局所的な高温化現象です。東京都や埼玉県の気温上昇は、他の日本の地域と比べて突出しています。しかし、緑に囲まれた場所にいるのと、アスファルトで覆われた場所にいるのでは、体感温度は全く違います。埼玉県南部は自然環境の減少のみでなく農地などの減少が著しく宅地開発が進められています。建築ラッシュに歯止めをかけ、減築し、ヒートアイランドの影響を少しでも抑えた設計にしないと誰も住めないような都市になってしまうかも知れません。

アジサイが咲く木漏れ日の道 東内谷団地付近
木漏れ日の道の斜面林