No.125 2014年11月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (138)

コハクチョウ Cygnus columbianus

 ハクチョウは古くは鵠(クグイ)と呼ばれていました。日本に冬鳥として渡来するハクチョウはコハクチョウ、オオハクチョウの2種類があり、稀に北米から飛来するナキハクチョウという大型の白鳥がいます。また、皇居のほとりや公園などで見られるコブハクチョウが野生化していますが、もともとはドイツから移入されたものと言われています。コハクチョウはオオハクチョウよりもやや小型で、嘴の黄色い部分が少ないのが特徴です。コハクチョウの亜種でアメリカコハクチョウは黄色い部分が殆どありませんが、近年はコハクチョウとアメリカコハクチョウの交雑した中間型の個体がよく見られるようになりました。埼玉県では川島町の越辺川河畔の大きな水門がある支流との合流点で川幅が広く、川の流れが緩やかなことから、主にコハクチョウの飛来地として知られています。

 川口市内では見沼田んぼの一角にある芝川第一調節池で毎年数個体から10数個体の越冬が観察されています。

 今月に入ってから、色々な野鳥の糞から鳥インフルエンザウイルスが検出されています。数年前から鳥インフルエンザの影響で越冬地でのハクチョウ類に対する餌付けが自粛されています。野鳥を観察する時には、あまり近づきすぎないように観察をすることは基本です。

 

自然の記録

11月 1日 庭のムベ蔓にアケビコノハの幼虫がいました。卵から孵化して数日程度の小さな幼虫でしたが終齢幼虫同様の擬態をしていました。11月になってから孵化するなんてと思いましたが、日中の気温が22℃近くあるので何とか蛹にまで成長してくれればよいのですが。

10月中旬以降、市内の水辺ではカワセミを見る機会が多くなってきました。意外と人馴れしているのか5m近くでも留まっているものもいます。警戒心の強い個体は10mほどの対岸に止まっていても飛んでしまいます。

11月 3日 今日はキクイモ(菊芋)を食べました。キクイモは夏から秋にかけて黄色い花が咲き、地下に生姜によく似た芋(塊茎)ができるので、菊芋と名付けられました。キクイモは北米原産の植物で、終戦直後はよく食べられたようですが今は忘れられた存在で食べる人は少ないようです。多少の苦味はありますが肉やジャガイモなどと一緒に似たり、キンピラにしたりすると割合食べやすいものです。

11月 6日 湧水公園の池の周りにタヌキの足跡がありました。菖蒲田が枯れているので足跡も見つけやすく、ムクドリやハクセキレイあるいはタニシが這った後もたくさん見られます。昆虫類は少なくなったものの、冬枯れの湿地では足跡を通して思わぬ発見があります。

11月 7日 雨戸をあけるときにサクラの枯葉が落ちてきましたが、その合間を縫ってジョウビタキが飛んできたのでもう少しで見過ごすところでした。カキの実もかなり熟しているものがあり、スズメ、ヒヨドリ、メジロ等が飛来するようになりました。今日は立冬ですがイチジクの木のキボシカミキリは健在です。立冬とは冬の気配が山にも里にも感じられる頃のことですが、木々の葉が落ち、冷たい風が吹き、冬枯れの様子が目立ってくることなのですが、我が家の庭を含め周りじゅうが青々としており、風の冷たさだけが先行している感じです。隣家の庭では赤いサザンカの花が開花し始めました。

11月 8日 湧水公園の池で今冬初めてのカワセミの飛来がありました。メダカやモツゴの稚魚が多いので餌には困らないので定住してほしいものです。

枯れ枝に止まるカワセミ(♂) キクイモの塊茎

11月10日 我が家のブロック塀に沿って春の七草のコオニタビラコが開花しています。立冬を過ぎて開花するのは珍しいことですが、数年前には1月に開花していることもありました。

11月12日 近所の庭ではヤツデやテイオウダリアが開花し始めました。庭のキボシカミキリも健在で、何時までいてくれるか楽しみです。

毛長川調節池で今冬初認のキンクロハジロ雌を確認、八幡木の住宅街ではオナガの群れが飛び回っていました。このあたりは農家が多く庭にカキを植えているところが多いので熟柿を求めて移動しているようです。

11月13日 庭隅の月桂樹の茂みでウグイスの笹鳴きが聞こえ、様子を見ていると電線に止まり鳴きながら消失しました。今冬も我が家の庭へ来てくれたので安心しました。

11月14日 今日も暖かい一日でした。モンシロチョウ、キチョウ、ヤマトシジミ、ウラギンシジミなどが飛んでいました。近所ではハハコグサやコオニタビラコが咲き、キズイセンの葉が伸びており春の気分です。一方ではムラサキシキブ、ツルウメモドキ、シロナンテン等の実が結実し、ヒイラギやチャの花が開花しました。

11月15日 8時頃に自宅庭でツグミを初認しました。同じ時間にカルガモ3羽が上空を通過しました。豊田の森には樹齢400年を超えるイチョウの木がありますが、15名ほどで銀杏拾いをしました。流石に人数が多いと回収も早いですね。毎年多くの銀杏が回収できずに春になると20p〜30pほどの若木が出てくるので抜くのに苦労しています。

シモフリスズメの終齢幼虫 ランタナの花とモンシロチョウ

11月17日 イチジクのキボシカミキリはまだ健在で、約1か月も滞在しています。

11月18日 昨日まで見かけたキボシカミキリは今日は見当たらず、代わりにオオカマキリの雌がいました。お腹が大きいのでこれから産卵のようです。

11月20日 今日は午後から冷たい雨が降り寒い一日でしたが、桜町のH氏より湧水公園でカワセミが採餌をしていたとの情報をいただきました。夏の間はカワセミを見かけませんでしたが、最近はよく目にするようになったとの情報が寄せられています。

オオカマキリ 日向ぼっこのゴイサギとバン

11月21日 新芝川の鳩ヶ谷大橋と白鷺橋の間の川面にキンクロハジロ10数羽が浮かんでいました。まだまだ、カモ類の個体数や種類数は少ないが市内でも姿が見られるようになってきました。市内のカキの木は実が沢山なっていますが収穫しない家が多く、スズメやムクドリの餌になっています。

11月23日 庭の陽だまりでキチョウが飛んでいました。富士見市の友人からビン沼でカワセミがモズに襲われて落鳥、先日はツグミが落鳥、カッコウもモズに追われてトイレに逃げ込んだとか、この時期にカッコウがいるのも珍しい現象ですが、ツツドリも記録されているそうですので自然界は不思議なことが多いですね。これも気候変動の影響かもね。

それにしても、自分の体よりも大きなツグミやカッコウを襲うなんてモズがやはり小型の猛禽と言われるのも納得です。芝川第一調節池では8種類の蝶が飛んでいたそうです。すでに小雪(ショウセツ)を過ぎたというのに。寒さが進み、そろそろ雪が降り始めるころのことを小雪といいますが、近ごろは寒さもまだそこまではいきません。

昨日発生した長野県の地震はM6.8からM6.7に修正、震源の深さも10kmから5kmに修正されました。久しぶりに地震速報の警報が携帯電話に届き揺れは感じませんでしたがトイレを覗いてみるとたまり水がわずかに揺れていました。水の揺れが一番わかりやすいので弱い地震の時はいつもトイレを覗くことにしています。

11月28日 昨日は六義園や旧古川庭園の紅葉を見に出かけましたが、ハゼの葉の紅葉は見事でしたがもみじの紅葉は今一つでした。今日は近くのスーパーマーケットへ買い物のついでに、安行慈林薬師寺のそばを通るとモミジの紅葉が見事でした。庭園の紅葉は庭を見る目的もありますが、身近な場所で紅葉を楽しむのも良いですね。枝垂れウメの枝を剪定していたところ、ドクガの若齢幼虫が落ちてきました。2日もすれば12月というのに今頃孵化して生きていけるのなと思いますが、昔と異なり今は緑の葉が沢山あるので何とか成長していけるのかもしれません。

11月30日 クンシラン、シンビジュウム、アマリリス等の冬越しのために、布団袋の大きなビニール袋を利用して小型のビニールハウスを作製しました。終了と同時に野良猫2頭がハウスの上に乗り日向ぼっこを始めました。近ごろの野良猫は人が近づいても逃げようという気がないのか体に触れるまで、寝たふりを決め込んでいました。体に触れるか触れないかの瞬間に飛び上って移動しましたが、逃げる気配はありません。仕方がないので剪定したウメの枝を10本ほど置いた所、恨めしそうな目で見ていました。 

 

地球温暖化を考える(78)

 気候変動とライチョウ

御嶽山が爆発してから1か月がたちますがいまだに噴煙を上げています。爆発による降灰の影響で山頂周辺のハイマツ帯では植物への影響が懸念され、更にそこで生活しているライチョウの生存が心配されます。御嶽山周辺には約150羽のライチョウが生息しているといわれています。

ライチョウは、神の領域に住む鳥、雷の鳥と言われ、また神聖な鳥として崇められきました。3〜4万年前の氷河期、日本列島がシベリアから陸続きだったときに、ライチョウは日本に渡ってきたと考えられています。氷河期が終わり、氷が溶けて海水面が上昇すると、日本列島は大陸と隔てられ、島となってライチョウは隔離されました。そして気温の上昇により、本州中部山岳地帯の中でも標高の高い地域に生息域を移動しました。本州の低い山域では、標高の高い場所に逃げることができず、絶滅したものと思われます。

現在、日本の本州中部山岳地帯が、世界最南端のライチョウ生息域となっています。日本のライチョウ生息数はおよそ2000〜3000羽と言われています。気候温暖化の影響により2500m〜2900mの亜高山帯のハイマツがさらに高みへ移動することによりライチョウの生息域が狭まることが懸念されます。北へ移動できる野鳥はまだ生きるすべがありますが、上へ上がることしか逃げ場のないライチョウにとって気候変動は死活問題です。現状でも人が廃棄した生ごみを求めてハシブトガラスやハクビシンなどが高山へ移動してきていることも大変な脅威になっています。

20世紀半ば以降の地球温暖化は人間活動が原因と言われています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書によると、人間活動が原因とする確率が95%以上とされています。