No.65 2009年 11月

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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (78)

ハクセキレイ(セキレイ科) Motacilla alba

スズメよりもやや大きく、ツバメのようにホッソリとした体。長い尾をよく振って、チチン・チチンという声で鳴きます。尾を上下に振る習性から古来より俳句の季語ではイシタタキと呼ばれ、親しまれています。河原の石や民家の屋根に止まって囀っていたかと思うと、飛びたってガガンボやシオカラトンボなどの昆虫類を捕らえ、上手に羽をむしり取って食べます。

二昔前ほど前までは冬鳥といわれていましたが、市内でも20年ほど前から繁殖するようになりました。以前に、中央公民館の換気扇に巣を造り繁殖したことがあります。また、新設された鳩ヶ谷駅前の交差点では、7月から9月初めまで夏塒として20〜30羽が電線に止まり塒を取っていました。

交通量が激しく、排気ガスの多い場所で塒を取らなくても良いのではと思いますが、JR川口駅前ロータリーのクスノキなどに数年前まで冬塒がありました。夕方、6時頃になると各地から1羽、2羽と集まり、マルイやそごうビルの屋上に止まったりして日が落ちると塒入りし、最盛期には200〜300羽を数えました。

豚舎や牛舎のあるところでは、多くのハエが発生するのでハエの蛆や成虫を捕食するために集まってきます。また、ハクセキレイは亜種が多くタイワン、シベリアなどの地名、あるいはホオジロ、メンガタなどといった名前の亜種がいて、多くの群れがいるところでは亜種が混じっていることがあります。

 

自然の記録:

11月 3日 急に寒気が強くなってきたためか、富士山も奇麗に見えるようになりました。夕方、荒川大橋を渡る時に“赤い冨士”をみることができました。反対側の窓外には黄色く大きな月があり、一幅の絵を見ているような感じでした。

11月 4日 自宅庭で今冬初めてのジョウビタキの声を聞きました。10月末には各地から情報が入っていましたが、町の中に現れたのは今日が初認です。ジョウビタキの初認は1996年からの19年間でみると、11月1日〜12日の間ですので比較的早い記録と思われます。

寒くなってきたので、植木鉢を家の中に入れていたところクロコガネの遺骸が出てきました。

江川ではコサギ、カルガモ、八幡木中学校付近の毛長川ではカルガモ3羽、オナガガモ雄1羽、雄のエクリプス1羽、コサギ、ハクセキレイ等が頻りに採餌をしていました。

この辺りでは、フトイ、サンカクイ、コガマ等の水生植物が生えており、ヘドロさえなければ良い水辺環境が創出されるのではないかと思います。

気温が急激に下がってきたためか昆虫類の動きも緩慢になってきました。植物も開花しているものが少なく、目立つのはイネ科植物のエノコログサやチカラシバなど。

園芸種マルバスミレ開花 ハナカタバミ オオメカメムシ

11月 5日 鳩ヶ谷小学校の校庭の片隅に野鳥が運んできたクスノキが2mほどに伸びていましたので、探してみるとアオスジアゲハの蛹が2つ見つかりました。残念なことに寄生蜂(ハエ?)に食べられて蛹は空洞になっていました。

斜面林ではシュロが繁茂しており、いつかシュロ林になりかねない状態です。林内にはドバト、キジバト、カラスの羽が落ちていました。

11月 6日 三光稲荷の周辺は市内では、まとまった緑のあるところですが、明日は立冬というのにモンシロチョウ、キチョウ、コミスジチョウ、ヤマトシジミ、ウラギンシジミなどの蝶が飛び交っていました。また、チャの花にはハナムグリ、ミツバチ、ハラナガツチバチ等が集まっていました。花の少ない時期なのでチャの白い花は昆虫にとっては御馳走です。

11月 8日 隣家のクリの木にツグミが飛来しました。今冬初認です。春に咲いたゲンペイコギクがまた開花しました。

11月 9日 庭のイヌ走りの上にマダラカマドウマの遺骸がありました。最近見かけることがなかったのですが、まだいることが確認できて嬉しくなりました。

クコの葉に黄色の体に黒い縁取りのあるドクガの幼虫がいました。体長は2〜3cmぐらいのゴマフリドクガです。ドクガの体に触れるだけでなく、ドクガが落とした毒針毛(どくしんもう)が体に付着した場合でも、毒蛾皮膚炎(どくがひふえん:毛虫皮膚炎とも言う)が起きます。皮膚のあちこちに赤いぶつぶつができて、ひどいかゆみを伴います。

美しいものには毒があるとは本当ですね。

ダイコン葉上のニホンカナヘビ ゴマフリドクガの幼虫

11月10日 玄関の前に数年前から増加しつつあるハナカタバミが満開となりました。花のない時期に大型のピンクの花がまとまって咲くと見事です。クコの葉には前日に見つけたゴマフリドクガ、オオメカメムシ、ササグモ等が日を浴びていました。カナヘビ2頭もダイコンの葉で日向ぼっこ。

空ではハシブトガラス数羽が絡み合うようにして飛んでいます。そろそろ繁殖期に入るのかも知れません。

エノキの瘤に紛れるようにホシホウジャクの成虫が止まっていました。

11月12日 冷たい風が吹く中をカキの葉が落ちてきますが、落ちる葉を縫うようにシジュウカラ2羽が飛来し、カキの枝で頻りに何かを突いていました。

11月13日 里在住のSさんより、ナガサキアゲハの貴重な情報を得ました。(鳩ヶ谷市坂下町(昭和橋近く)の実家のユズにいたクロアゲハの4齢幼虫を2009年9月24日頃採取し、飼育して10月中旬に蛹になり、翌年放すつもりで自宅前の駐輪場の日射が当たらない日陰に飼育容器ごと吊るしておいたところ、本日(11月13日)、夕方、帰宅したところ羽化していました。この情報により、ナガサキアゲハの市内での確認地点は、桜町・本町・坂下町・里・南町・八幡木で確実な記録が確認されたことになり、ほぼ鳩ヶ谷市内全域に生息していることがわかってきました。

11月15日 鳩ヶ谷郷土資料館では「資料館友の会」を発足しました。色々な部会がありますが自然部会もできました。今後どのような活動をしていくか楽しみです。

11月16日 サザンカの枝に熟し柿を刺しておいたところ、オレンジ色をしたベッコウバエが飛来しました。近所の空き地では高さが3mを超えるオギの小群落があります。

市内を歩くと民家の庭にピンク色の花をつけたテイオウダリアが盛りです。3m〜5mくらいの高さにまで成長しているものもあり、丈の高い物ほど沢山の花をつけているようです。

11月20日 芝川の境橋付近で、今冬初めてのユリカモメを観察しました。すでに飛来していたものと思われますが、今まで確認できずにいました。

11月22日 久し振りにコゲラが庭に飛来、柿の木に止まり頻りに幹を突いていました。残り柿にはハシブトガラス、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメ、ツグミ等が群れています。降雨のためどんよりとした空に浮かぶ鳥の姿は皆シルエットでした。

シルエットで大きさや形などから身近な野鳥が識別できるようになれば、野鳥をみる楽しみも増えてきます。

  ハシブトガラス ムクドリ ツグミ

11月28日 庭の落ち葉を掃いていたところ、エンマムシの遺骸がありました。また、縁側に置いてある植木鉢で越冬していたのかマルカメムシが数匹窓ガラスに張り付いていました。

11月29日 柿の木には相変わらず野鳥が群がっています。本町2丁目の民家の庭では5羽のメジロが飛来し、塀の外に出ているマユミの木で採餌していました。江川ではコサギが小魚を何度か捕らえていましたが、確率が悪かったようです。

庭のノゲシが開花し始めました。上空を久し振りにアオサギが通過しました。

柿に集まるスズメとメジロ

11月30日 一日中どんよりとした日であるが、コゲラ、シジュウカラ各2羽が柿の木に飛来し、頻りに幹を突いていました。コゲラは何を突いていたか解りませんが、シジュウカラはイモムシのような昆虫を捕らえて行きました。10分ほど滞在していましたが野良猫が上ってきたために飛去しました。現在、我が家には10頭以上の野良猫が出入りしているため、色々な問題が起きています。

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 29

ダルマガエル

10年位前までは、鳩ヶ谷市内でも時々みることができましたが、近年は殆ど見る機会がありません。水田や湿地が無くなった事が一番大きな原因ですが、最近はカエルツボカビ病なども影響しているのではないかと思います。以前は、トノサマガエルと間違われていた事が多いカエルです。私たちにとって身近な存在であったカエルさえも声を聞かなくなりつつある今日この頃ですが、町は発展と称して開発の波は留まることがありません。

 

地球温暖化を考える(21)

調節池とビオトープ 寺尾遊水池

都市型河川の問題点はちょっと雨が降るとすぐに氾濫してしまうことです。川幅が狭いうえに、流域の地面の多くがアスファルトに覆われて保水能力が低下しているのが原因です。この対策として、あちこちに遊水池が造られており、川越市にある寺尾遊水池もその一つです。土手の周囲はアスファルト舗装されて住民の散歩やジョキングコース(1820m)となっています。湿地内は細い水路で囲まれていますが、その水路沿いは土の中にセメントが混ぜこまれているのでかたくなっていますが、その上を覆うように土が被さっているために貴重な湿地の植物が豊富に生育しています。また、タヌキなども生息しており、池の中心部まで人が入ることが少ないので野生生物の生息地としては良い環境となっています。タヌキが生息していることは近隣の人たちはよく知っており、夕方になると水門の近くにタヌキが出没し餌付け(良いことではありませんが)をしている人たちもいるようです。

遊水池の外側を流れる川ではコウホネ等の植物も部分的に繁茂しており、ヒドリガモやカルガモの憩いの場所になっていました。

2007年10月10日

 左の白い建物は調節池の管理棟、右の流れは新河岸川と繋がっていて、カワセミが頻繁に行き来していました。

2007年11月13日
2007年7月20日 撮影 植生調査風景
人に馴れたタヌキ タヌキの溜め糞(秋は柿の種が多い)10月10日