No.168 2018年6月

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鳩ヶ谷周辺で見られる野鳥シリーズ (181)

アリスイ(キツツキ科)Jynx torquilla

アリスイはその名の通り、アリが好物で、ねばねばした長い舌でアリを舐め採るように捕らえることから、蟻吸いの名がついたようです。英名のWryneckとは、曲がった、あるいはねじれた(Wry)首(Neck)の意味、学名も「首をねじる小鳥」です、アリスイが頻繁に首を曲げ、辺りをうかがう習性があることから付けられたようです。キツツキの仲間は、巣穴を自分でほり、営巣、育雛しますが、アリスイは自分で巣を作らずに他のキツツキが使った巣や、木の穴(樹洞)を利用したり、巣箱を使うことも報告されています。他のキツツキの仲間は、アカゲラやアオゲラ等のようにケラという名がついており、赤や緑あるいは黒色などの色調があるが、アリスイは地味で枯れ木に止まっているとわかりにくいほど擬態している。モズに似たような声でキッキッキッキッあるいはクイクイクイクイという感じで鳴く声から存在がわかります。ヨーロッパからアジアにかけて広く分布し、繁殖後はアフリカ大陸北部などで越冬する。 日本では北海道と青森,秋田,岩手など東北北部で繁殖記録がある.越冬期のアリスイは関東地方から九州地方まで観察されているが、国外への渡り状況については不明である。川口周辺では芝川第一調節池で毎年数個体が越冬している。

 蟻吸といふ不気味な鳥も地に居りて 蛇に似る鎌首をさし伸べいたり  中西悟堂

自然の記録:

 6月 3日 坂下町3丁目のHさんより、自宅でハクビシンを見たとの情報をいただきました。5月20日には新井宿のR122号線交差点付近で轢死体を見つけましたが、交通量が多いため近寄ることが出来ませんでした。

 6月 5日 庭の桜の木にナガゴマフカミキリが飛来、ナミアゲハ、ヒカゲチョウ等の蝶やウメエダシャク、カノコガ等の蛾の仲間が飛んでいました。蛾の仲間はひらひらとゆっくり飛んでいるので羽の模様がよくわかります。

 6月 6日 気象庁によると関東地方は今日から梅雨入り、庭のアジサイが満開となる。ヒメアカタテハが飛来し、すぐに消失しました。市内ではスイカズラの花が咲き始めました。スイカズラは白色から黄色に変化するところから金銀花とも呼ばれ、解熱や関節痛などの生薬として知られている。

 6月10日 雨が降り始めた頃にカキの木から何か落ちてきたので近づいてみるとヨコヅナサシガメでした。中国原産の大型のカメムシの仲間である。刺されると痛いので触らないこと、サクラの木などに群れているので気が付かずに触ると大変。

 6月14日 梅雨に入りアジサイがきれいな時期になった。雨に濡れたアジサイの趣は何とも言えない風情がある。グリーンセンターや興禪院では各種のアジサイが満開となり、町内にある地蔵院のアジサイも見事である。近所のノブドウの花にはコガタスズメバチやオオモンクロクモバチ(オオモンクロベッコウ)等が活発に飛び回っていました。

湧水公園では上の池ではコウホネが池面を埋め尽くす勢いで繁茂しており、下の池はヘドロが溜まり水面が浅くなっていました。浚渫が必要でしょう。ハンノキには黒い色のハンノキハムシの幼虫が大発生していました。池の周りではシオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ショウジョウトンボ等が飛んでおり、梅雨の晴れ間を楽しんできました。

グリーンセンターのアジサイ コミスジ

 6月15日 町内にあった林が宅地化されて20件近くの住宅が建ち、家の周りには多くの樹木が植栽されヤマボウシの花が満開、地蔵院では鳩ヶ谷市内では珍しくなったミズヒキが開花していました。

 6月18日 朝8時過ぎにテレビをつけると大阪で震度6弱の大地震発生とのニュース。1995年1月17日の関西淡路大震災を思い出しました。当日は豊中市に住んでいて埼玉へ転勤の日でもありましたが、交通機関は全面ストップとなりました。今回の被害が大きくならなければよいなと思ってテレビを見ていました。

今日も雨が降ったりやんだりでしたが、庭のモクレンが2度目の開花、ここ数年は3月に咲き、6月〜7月に、更に9月頃にも開花するようになりました。今年も秋に開花するか楽しみです。

 6月19日 雨天続きの合間に庭ではコミスジ、ルリシジミ、ナミアゲハ、ヒカゲチョウ、ヤマトシジミ等が飛来しました。ジャコウアゲハの食草であるウマノスズクサが例年の倍ほどに増えてきましたが、肝心のジャコウアゲハの飛来がありません。庭中に蔓延るボタンクサギの花芽が大分ついてきましたが、今年は、シモフリスズメやクロメンガタスズメなどの蛾の幼虫の姿が見えません。

 6月21日 見沼代用水にかかる富士見橋の付近でノシメトンボが止まっていました。今年初認ですが例年より早い気がします。

 6月22日 庭で枯死したサクラではキマワリ2頭、ナガゴマフカミキリ2頭がいました、キイロガガンボ、ホリカワクシヒゲガガンボ等のガガンボの仲間も飛来。

コンフォール東鳩ヶ谷で営巣していたツバメが巣を放棄、巣内にいた3羽のヒナは餓死したようである。雄のツバメがいなくなり雌だけで子育てをしていたようだと観察していた人の話である。

近所の民家では1階の駐車場にネットをかけてカラスなどの被害から守っているが、それでも2回失敗し、現在3回目に挑戦しヒナを育てている。鳩ヶ谷地域内のツバメは1984年に116巣あったが、1995年には10巣以下となっていた。旧鳩ヶ谷市内は宅地化が進み農地が減少し、市内の農地の大半が消失した。更にツバメが営巣していた商店街が様変わりして、古い商店街の半数近くが空き店舗となり、大型マンションや駐車場に変わり、更に住宅地内でも空き家が多くみられるようになった。鳩ヶ谷市内の緑地や農地が極端に減少したことによりツバメが生息できる環境がなくなってしまった。緑地が減少したことにより、街の温暖化も進み、どこの街でもグレイインフラが中心の開発、そしてグリーンインフラがなおざりにされている。

このようなツバメの営巣分布の変化から、街の変貌もわかってくる。人もツバメも共存できる環境がなくなったことがツバメの減少した一番大きな原因であろう。ツバメが暮らしにくい街は人間にとっても住みにくい街になっていくのではないでしょうか。

営巣数が少なくなったツバメの巣では、折角ヒナが生まれても途中でカラスやオナガなどによる鳥による被害やヘビ等による被害が出ています。以前は人による害も多かったのですが、近年はヒナが巣立った後で巣を壊してしまう家もある。

1983年 2017年

 6月24日 朝は小雨が降っていましたが、晴れ間が出てきたらナガサキアゲハの雄が飛来しました。サクラの枯れ木にはキマワリが来ていました。

 6月25日 近所のパンジーの植え込みで、ツマグロヒョウモンの雌が飛来して、産卵していました。一時期に比べて市内では少し減ってきているような気がします。

 6月27日 所用で立ち寄った安行領家の植木畑でニイニイゼミの初鳴きを聞きました。少し早いかなと思いましたが、昨年は6月22日でした。

 6月28日 庭中にボタンクサギが蔓延って、シャガ・チジミザサ・カキドオシ・ノカンゾウ等が激減してしまった。ボタンクサギは一斉に開花し始めクロアゲハやナミアゲハなどが吸蜜に訪れている。オナガの家族も毎日カキの木に来ている。近所で撒いているネコの固形飼料を狙ってきているようで、雛は親が銜えてきた餌をねだっている。

 6月29日 今日、梅雨明け宣言が出たようですが、風が強く暑い一日でした。

湧水公園の菖蒲田の草抜きに行ったところ、池の中がゴミだらけでした。泥に埋もれたものもあり飲料の空き缶、ペットボトル、布や紙など撤去するのに1時間ほどかかりました。

サッカーのワールドカップでは試合終了後のサポーターがゴミ拾いをするマナーが他の国のサポーターにも広がったとのニュースがありましたが、人が見ていないところではゴミを捨てる人が多いようです。池や川の中にごみを捨ててもゴミがなくなるわけではなく、誰かが処理をしなければなりません。菖蒲田は雑草が伸び放題でしたので丈の高いアメリカセンダングサ、クサヨシ、ガマ、枯れたショウブなどを除草しましたが、タマガヤツリやアメリカアゼナ等がかなり蔓延っていました。池の中のコウホネは殆ど池を埋め尽くすほどになりました。鳩ヶ谷市の時代に植栽したハンノキ4本は成長して、ハンノキハムシが増殖して、多くの葉は葉脈が見えるほどに網目状に食べられていました。また、消失したと思っていたタコノアシ(埼玉県絶滅危惧U類)が菖蒲田内に分散して200株以上生育していました。

ハンノキハムシ  繁茂したウマノスズクサ
タコノアシの群落 池から回収したごみ

地球温暖化を考える(121)

荒川鳥獣保護区(秋ヶ瀬公園)

県営の公園としては埼玉県最大の広さを持つ秋ヶ瀬公園。浦所バイパス(国道463号)羽倉橋から、県道40号の秋ヶ瀬橋に挟まれた荒川東岸の一面が秋ヶ瀬公園で、広さは約100haあります。開設されたのは昭和46年でした。全域に樹林帯が広がっている秋ヶ瀬公園ですが、特に樹木が多く下草も豊かなのが公園北西の端付近に位置する「ピクニックの森」です。林内にはいくつもの池がありハンノキ林が繁茂して、さしずめ熱帯雨林のような様相を呈しており、植生を保護するために、ロープを張り巡らせています。山野草が豊かなことから多くの昆虫類が生息し、渡り途中の野鳥の休息地ともなっています。真夏の暑い太陽が照りつける日でも林内に入ると、全く別世界に来たような気分になります。また、豊かな自然があることによって、多くの生物が集まってきます。植物ではチョウジソウの群落、昆虫では県の蝶として知られるミドリシジミが多く生息しています。林で枯死した樹木や倒木は自然のままに放置されていますが、近年は昆虫マニアの増加により樹木の皮がはがされたり、枯死した倒木は中にいる昆虫類採取のためにボロボロにされています。いずれは朽木となるものですが昆虫類の住処になっている環境まで破壊してしまうのは残念です。

秋ヶ瀬公園ピクニックの森の風景
ハンノキ林 コムラサキ フクロウ
ミズイロオナガシジミ ミドリシジミ ナナフシモドキ