No.108 2013年6月

Loading

鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (121)

ヨタカ(ヨタカ科) Caprimulgus indicus

ヨタカは漢字で書くと“夜鷹”、30年以上も前になりますが、ヨタカという鳥がいるのですかとご婦人から質問されたことがある。そのご婦人は夜の高尾山の探鳥会でキョキョキョキョキョと鳴く声を聞いたので、何の声ですかと聞いたところヨタカですと言われて何かバカにされたような気がしたのだそうです。その時に教えてくれた人の説明不足が原因であったようです。暗くなってから山道を歩いていると、いきなり足元から飛びたって驚くことがありました。コスタリカではヒメヨタカという小型のヨタカを見たことがありますが、日が暮れると何処からともなく集まってきて、その数は数千羽にもなりました。大きな口を開けて飛んでいる昆虫類を捕食していました。

ヨタカは夜の鷹と書くように、タカの仲間に感じがよく似ています。体色も木の肌のような感じをしており、日中は木の枝などに横に止まっているので見逃すことが多い鳥です。鳩ヶ谷地域では大龍寺山(桜町6丁目12番)で1966年9月25日および1967年4月16日の2回、同じ場所で観察されました。それ以後は、宅地開発のために山林が伐採されてしまったので確認できていません。渡りの途中、都市公園などでも観察されることが時々あります。

 

自然の記録:

 6月 1日 湧水公園の斜面林の整備を行いました。4月の強い風で折れたイチョウの大枝の処理に1時間ほど費やしましたが何とか地上に横たえることが出来ました。お陰でカブトムシを集めるための場所も2倍に増えました。竹林内ではウラシマソウが増殖し、竹林外では野生化したホオズキの小群落が白い花を付けていました。斜面ではカラムシとヨウシュヤマゴボウの群落に加え、ヤブジラミが繁茂していました。ヤブジラミとは変わった名前ですが、4月頃に花を付けますが、5月下旬から6月初めにかけて種子が出来ます。この種子が白くて体にくっつきやすいところからシラミ(虱)に似ているので名が付けられたようです。

小さな湧水公園の上の池ではコウホネの葉上に止まってクロスジギンヤンマの雌が頻りに産卵していました。帰宅途中、ラクダ坂の林縁で羽化したばかりのウメエダシャク2頭がいました。黒と白のコントラストが綺麗でした。

 6月 2日 夕方にウメエダシャクが庭を飛び回っていました。ここ数日、各所で羽化したようです。鳩ヶ谷本町3丁目付近の見沼緑道ではオナガの数羽の群れが飛んでいました。

 6月 4日 鳩ヶ谷地域のツバメの営巣状況を見て回ったところ、抱卵中が3か所、育雛中の巣が3か所(2羽、5羽、4羽)でした。5月中旬に見た時に抱卵していたところでは、原因はわかりませんが1か所で巣が壊されていました。

江川ではオオカワジシャが薄紫の花を付けていました。小さな調節池ではヒメガマが穂を付け、その周りをヨシが取り囲んでいました。

熟し始めたクワの実 熟したグミの実

 6月 5日 今日も一日中暑い日でした。湧水公園の斜面林でアオスジアゲハを初認しました。そのほか、アゲハチョウ、ツマグロヒョウモン、モンシロチョウなどが飛んでいました。    

湧き水の水路ではオナガ、ムクドリ、スズメ等が頻繁に水浴びや水飲みに来ていました。湧き水の水温は比較的冷たいので気持ちよさそうに浴びていました。昨年水路に移植したオモダカが今年は10本に増殖しました。池に植えた一本はクワイクビレアブラムシの寄生によって惨めな姿になっていましたが、このアブラムシはメダカの餌になるので痛し痒しです。

毎日のように子供達がアメリカザリガニやヌカエビを採りに来ていますが、かなりの個体数が生息しているようです。下の池にオオシオカラトンボの雌の遺骸が浮いていました。

池面にはアオコがかなり発生していますが、アサザの生えているところだけは綺麗な水があり、底まで見ることが出来ました。

 6月 8日 買い物のついでに湧水公園に立ち寄ったところ、ショウジョウトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、クロスジギンヤンマ等が飛んでいました。下の池に植えたオモダカに寄生したクワイクビレアブラムシが池面に浮かんでいるのをメダカが食べに来ていました。

庭の柿の木にヒカゲチョウ、隣家の庭にキマダラヒカゲが飛んでいました。ブロックの隙間にはキマワリがじっとしていました。カナヘビと大きなミミズの遺骸にアリが集まっていました。

 6月10日 暑い日が続いています。空を飛んでいくカワウも暑いのでしょう、大きな口を開けて飛んでいました。

 6月16日 ここ数日、雨が降り続き庭の草木も生き返ったように成長を始めています。多少の手入れはしていますが、殆ど自然のままを(手抜き)維持していますので、カキ、ウメ、サクラの枝は伸び放題です。そのお陰で南側は暑い日差しを遮っていますが、風が吹かないとむしむししています。昆虫の種類は相変わらず少ない傾向にあります。鳩ヶ谷本町2丁目の坂道でツマグロヒョウモンの終令幼虫が歩いていました。

 6月17日 湧水公園の菖蒲田でアライグマの親子が観察されました。また、斜面林のイチョウの木を登っている姿も確認されたそうです。ちなみに、鳩ヶ谷地域で観察された記録は以下の通りです。27日には近くの民家で仕掛けた捕獲籠に幼獣1頭が入ったとの情報がありました。

目撃場所    頭   数
111022 鳩ヶ谷市本町4丁目(三浦宅) 成獣1
120423 桜町6丁目自宅周辺で捕獲(環境総務課) 成獣1
120430 桜町6丁目藤波自宅 成獣1 5/3迄
121007 桜町2丁目(江口宅) 成獣2
130412 桜町1丁目湧水公園 成獣足跡
130617 桜町1丁目湧水公園および斜面林 成獣2,幼獣3
口を開けて飛ぶカワウ ナガミノヒナゲシの種子

 6月18日 久しぶりに旧芝川を散策、蒸し暑い一日でした。野鳥も昆虫類も少なく、フトイ、ヒメガマ、アオガヤツリ等の群落が目につきました。その間にタコノアシ、カワジシャ、オオカワジシャ等が生育していました。目だったものはシマヘビ、ウシガエル、クロベンケイガニ、アカテガニ等、水辺ではドバトの群れが水浴びをしていました。昆虫類は、ヤマトシジミ、ウラナミシジミ、ベニシジミ、モンシロチョウ、ツマグロヒョウモン、アゲハチョウ、キアゲハ、アオスジアゲハ、コシアキトンボ、シオカラトンボ等が目立ちました。

路上にはベニスズメ(スズメガの仲間)の終令幼虫がいました。

新芝川の土手ではタチアオイの色とりどりの花が開花していました。数年前までは数株でしたが、現在は100m程の護岸を埋めつくすほどです。

湧き水公園ではシオカラトンボ、コシアキトンボが産卵しており、真っ赤なショウジョウトンボも飛び交っていました。

庭では今期初記録のスジグロシロチョウが飛び回っていました。

 6月19日 桜町5丁目のT氏より、自宅庭でカブトムシを捕獲したとの情報を得ました。湧き水公園の斜面林では2年前よりカブトムシやクワガタムシを増やす目的で枯れ枝を積み上げて環境作りを行っています。そこから発生したのであれば良いのですが。

イチジクの木にはキボシカミキリが飛来していました。カミキリムシが寄生するとイチジクの木は枯死する事が多いので困りものの害虫です。それでも見かける機会の少なくなった昆虫です。

 6月21日 今年も我が家の庭でトウキョウヒメハンミョウが羽化したようです。トマトの葉や地上でよく見かけます。

 6月23日 庭のボタンクサギが赤い蕾からピンク色の花に開花し始めました。蔓延りすぎて50株を越えています。毎年、抜いてはいるのですが根が残っているようです。花は咲けば綺麗、葉はクロメンガタスズメなどの幼虫が食べるので残しておきたいという気持ちが増える原因でもあります。フェンスに絡みついたキカラスウリの花もかなりの数の花が開花しました。昨年から庭に蔓延りだしたのですが、冬の間は数少ない野鳥の餌として種子を残しておいたのが原因。

 6月27日 久し振りに晴れて暑くなりました。その影響か庭のモクレンが4月に続いて、2回目の開花をしました。ここ数年は毎年、2回咲くようになりました。南町の民家ではコスモスが開花していました。トマトの葉にニジュウヤホシテントウが寄生して穴だらけになっています。トマトの実にも影響が出るため駆除を始めましたが、毎日50匹以上採取しても減る気配がありません。ブロック塀の間に落ちて朽ちた枯れ枝にコキマワリがいました。

 6月28日 今年は本当に昆虫類が少ない。年々少なくなっているという印象はありましたが鳩ヶ谷博物誌を書き始めて10年になりますが、こんなに少ない年は初めてです。昆虫類が少なくなると野鳥も少なくなりますが、我が家の庭を見てもトマトに集まるニジュウヤホシテントウとホウズキに集まるカメムシ以外は個体数も種類数も少なくなりました。昆虫類のみならず、クモ類もあまり目立ちません。庭で見かけるのはギンメッキゴミグモとササグモ等で、ジョロウグモやオニグモの姿や網もありません。最近はネオニコチノイド系の農薬を使うところが多くなったことも昆虫類の減少に一役買っているのではないかと思っています。

 6月29日 湧水公園の菖蒲田を調べたところ、アライグマとタヌキの新しい足跡を見つけました。足跡は斜面林から出てきて、池の方へ向かっていましたが戻る足跡は見つかりませんでした。菖蒲田を管理している人が毎日歩き回るので踏み消されたものと思われます。

斜面林脇では市内でも珍しくなったソクズの花が咲き始め、ミソハギやヤブカンゾウが咲いていました。また、アメリカオニアザミの花も今年初めて確認されました。トンボ類ではギンヤンマ、ショウジョウトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、コシアキトンボ等が見られました。

庭でもヤブカンゾウが咲き始め、周りにはクサカゲロウが飛んでいました。

 

地球温暖化を考える(63)

はとがやの湧き水の里に関連して(22)

 

湧水公園がリニュアールして3か月が経ちました。毎日、学校が終わると子供達が10人以上集まってきます。目的は池の中に入って、どろんこになりながらアメリカザリガニやメダカなどを採ることです。池の周囲にはロープを張って入らないようにしていますが、子供達は乗り越えて池の中で遊んでいます。時々は池に落ちたり、稀には顔から池の中に落ちる子もいますが、周囲の大人達が注意しても全く聞きません。このように書いている筆者自身も、昔は見沼代用水や水田の中に入って泥んこになっていました。最近になって、菖蒲田から斜面林にかけてはアライグマが親子で時々出現しています。アライグマは外来生物ですので捕獲の対象になっています。タヌキも生息しており、このような小さな公園でもタヌキ、アライグマ、イタチ等の野生生物が生息しています。川口市内の公園はほとんどが都市型公園で、魚を取ったり虫を捕ったりするような公園はありません。町の中にこそ自然豊かな公園を創ることが行政の役割ではないかと思いますが、このように考える行政は殆どないようです。

アオコに覆われた池面(矢印:アサザ) アサザが生えているところは綺麗な水がある
キショウブと花ショウブ  菖蒲田で咲き始めた花ショウブ
満開の菖蒲田(6/18)          
ツマグロヒョウモン 池の中でザリガニを採る子供達
アライグマの後肢(左)と前肢(右)の足跡  タヌキの足跡
アライグマ捕獲籠を設置