No.2 2004年5月 |
カラスは古来より忌み嫌われているが、スズメやツバメ同様大変身近な野鳥の一つである。カラスは黒い体のため、又声が綺麗でないため、あるいは動物の死体に群れて食べたりする習性から良くないイメージがあります。
そのために、民話などでは他の鳥をだましたりする悪者として登場します。
また、言い伝えでも「カラスが鳴くと人が死ぬ」「カラスの鳴き声が変わったので悪いことがおきる」など、縁起の悪い兆候を伝える鳥として扱われています。
逆に古事記では、天皇が熊野に行幸されたとき、夢のお告げで「天よりやたガラスを遣わしむ」のとおり、大きなカラスが現れて道案内をしたと伝えています。これらのことから熊野三山ではカラスを神の使いとして護符の絵柄に使われています。
地球上には、約九千種類もの鳥類が生息しています。この内の約半分の五千種類近くがスズメ目といわれるスズメの仲間に属します。この中にカラスの仲間のカラス科も含まれており、カラス科には約百種類がいます。カラス科の鳥は鳥類の中でももっとも進化した種類と言われています。
日本で記録されたことのある鳥類は約六百種類、そのうちカラス科の鳥は十種類。この中にはオナガやカケスのように締麗な鳥と体の色が黒い俗に吾うカラスが含まれています。しかし、「カラス」という和名の鳥はいません。
黒を基調とした一般にカラスと呼ばれているのはカラス属の鳥です。この中にはハシボソガラス、ハシブトガラス、ミヤマガラス、コクマルガラス、ワタリガラスと言った種類のカラスがいます。「カラス」は、シラサギやハトと同じように特定の仲間を表す呼称です。このようにカラスと言ってもいろいろなカラスがいるわけです。
しかし、我々が普通に見ることが出来るカラスは、ハシブトガラスとハシボソガラスの二種類です。これらの二種は、人が生活している近くとその周辺や農村などで生息しているため、人との軋轢が生じて、しばしば問題になるのも主にこの二種類です。
両種は大きさも殆ど同じくらいで、色も黒色で形もよく似ているので、一口にカラスとひとくくりされてしまうことがよくあります。しかし、この二種は住んでいる環境も習性も異なります。そのため、カラスの問題を考える時、あるいは対策を考えるとき、ハシボソガラスなのかハシブトガラスなのか、その種類によって対応が全く違ってくる場合が少なくありません。
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ハシブトガラス | ハシボソガラス |
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この二種は大きさ、形、色がよく似ているので野外での識別には多少のこつが必要である。
ハシブトガラスは名前の通り喘が太く、ハシボソガラスでは細いという違いがあります。もう一つの違いは額の出っ張り方の違いです。ハシブトガラスの額はヘルメットをかぶったように出っ張っていますが、ハシボソガラスの額はなだらかで細い顔つきをしています。従って、留まっている時は頭の形と囁を見れば、両種の違いが解ります。もう一つの違いは鳴き声です。ハシブトガラスは「カアカア」、ハシボソガラスは「ガア、ガア」と濁った声で鳴きます。ただし、ハシボソガラスは澄んだ声で鳴くことはありませんがハシブトガラスは時により、例えば威嚇する時などは濁って聞こえることもあります。また、鳥をよく観察している人であれば飛んでいる形でも識別することが可能です。ハシブトガラスは大きく尾が長め「しやもじ型」に見え、ハシボソガラスの尾は短めで先が「バチ型」に見えます。また、ハシブトガラスが悠々と羽ばたいて飛んでいくのに比べ、ハシボソガラスの飛び方は羽ばたきが浅くバタバタした感じに見えます。
ゴミの出し方に問題有り、カラスにとって生ゴミは御馳走。ゴミの減量と出し方でカラスの被害を減らすことができます。食べるものがないとわかればカラスはそこからいなくなる。
ゴミは収集時間に会わせて出す/ビニール袋はきちんと封をする/カラスは目が良いので生ゴミが見えないように袋の奥に入れるなど工夫する/ゴミ袋はネットからはみ出さないようにする。
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@メッシュが細かく覆いがあるた め完壁 |
A三方をブロックで囲まれてい るが網の目が大きいので、嘴で 突いて生ゴミを取り出してしまう。 |
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B網袋がゴミとぴったり接触しているが、 編み目が細かいために生ゴミを取り出し にくい。 しかし、外に出ているゴミ袋のよ うに何の対策もされていない場合は、ゴミ が飛散する。 |
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4月のゴミ収集日に桜町6丁目と本町1、3丁目のゴミ対策の状況を調べた。
対策の方法 | 場所数 | 備考 |
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網カゴ | 1 | カラスの姿が見えなかった |
網掛け | 8 | 網からはみ出したゴミが目立った |
青いビニールシート | 9 | ゴミが完全に隠れていると有効 |
対策なし | 15 | 数カ所でカラスがゴミを漁っていた |
合計 | 33 |
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越生町のゴミ箱(これは完全にカラス対策になる) |
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鳩ヶ谷市のみならず近隣市町村は都市化が進み畑や水田、雑木林などが極端に減少した昨今、生態系の頂点にいたタカやフタロウなどが街の周辺から姿を消してしまった。その位置に取って代わったのはカラスと野良猫、そして、いずれも増やしたのは人間である。カラスは勝手に増えたわけではないのです。いなくなったタカやフタロウなどが生活していける豊かな自然と共存できる街をつくり、人間の生活を見直さない限り人と共存できる生息数にまでカラスの個体数を戻すことは難しいことです。
カラスはゴミを荒らす、あるいは人を襲う、一方で死んだ魚や猫あるいは弱っているカモや小鳥なども襲って食べる。都市の生態系の中では頂点に君臨すると共に掃除やさんもかねている。悪いところばかりではないことも、知る必要がある。そして、上手に共存していく方法を見つける必要があるのではないか。
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魚魚の死体を食べるハシブトガラス (三番瀬) |
コガモを襲って食べるハシブトガラス (葛西) |
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生きたハタネズミを捕らえた ハシブトガラス |
洗濯物のハンガーを利用して巣を 造る |
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巣の場所 | 地名 | 巣の高さ | 巣の数 | 備考 |
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大塚家の庭 | 桜町6丁目 | 約10m | 1 | クリ |
中央病院 | 桜町6丁目 | 約10m | 1 | サクラ |
ロイヤルサロン | 桜町5丁目 | 約6m | 1 | サクラ |
笠原書店 | 本町2丁目 | 約10m | 1 | ヒマラヤスギ |
協和銀行跡地 | 本町1丁目 | 約30m | 1 | クレーン車* |
ウナギ湊屋 | 本町1丁目 | 約10m | 1 | ケヤキ |
御獄神社 | 本町3丁目 | 約10m | 1 | スダジイ |
埼玉植物園 | 本町3丁目 | 約13m | 6 | アカマツ |
里郵便局付近 | 里 | 10m〜15m | 7(利用は1) | ケヤキ |
常住寺付近 | 辻 | 約15m | 1 | ケヤキ |
梶@クマイ | 三ツ和 | 約15m | 1 | ケヤキ |
*:クレーン車のクレーン先端近くに営巣したが途中で巣を壊されてしまい、繁殖は失敗した。