No.90 2011年12月


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鳩ヶ谷で見られる野鳥シリーズ (103)

シメ (アトリ科)  Coccothraustes coccothraustes

シメ(蝋嘴鳥)はスズメよりも少し大きめの小鳥で、体が太めなのでかなり大きく見えます。シメの名の由来は「鳥名の由来辞典」(柏書房)によると、奈良時代には「ひめ」もしくは「しめどり」とよばれ、江戸時代に「しめ」と定まったといわれています。万葉集に次のように解説があります。「宮の前に二つの樹木あり この二つの樹に斑鳩(いかるが)と比米(ひめ)と二つの鳥大(いた)く集れ来たりき」。ここで「斑鳩」と呼ばれている鳥は「イカル」のことではないかと思われます。よく似た2種類の鳥が同じ場所に来たことを考えると越冬期の事と思われます。シメの「し」は、この鳥の地鳴きが「シッ」と聞こえ、「め」は小鳥を表現する接尾語であることからつけられたという説が有力なようです(東京書籍「鳥の名前」)。英名ではHowfinchと言いますが、英国の友人の話では英国にある名前はよく解らないが堅い木の実があり、その木の実を太い嘴で割るところから名付けられたと聞いたことがあります。繁殖地はシベリアや極東地方ですが、一部は北海道でも繁殖しています。本州では冬鳥として10月末から11月初め頃に鳩ヶ谷地域で姿を見かけるようになりますが個体数は少ないようです。

  北風はげしシメは梢よりこぼれ落っ  安田 春怜

上記の俳句のように、明るい林の中の高い枝の上でチチッ、ピチピチなどと鳴いていたシメが、地上に降りて餌を拾っている姿が浮かんでくるような情景が目に浮かんできます。

自然の記録:

12月 1日 12月と言えば師走という言葉がついて廻りますが、落ち葉を集めて作った堆肥の中は素手を差し込んでも暖かいぬくもりがあります。そうした中でカブトムシの幼虫は来年の夏まで過ごします。

川口市内にある公園では樹林がある場所でも奇麗に清掃されて、落ち葉などが溜まる場所が殆どありません。落ち葉は汚いものではなく、林内の良質な表土を作るための原材料なのです。公園の一部の片隅にでも堆肥置き場を作っておくとカブトムシとまでは言わなくてもコガネムシやクワガタの仲間の住処になります。

今年は、原発の影響もあり堆肥を作ることを止めているところも多いようですが、堆肥を肥料として使うかどうかは別にして、生物の住処として有用なので落ち葉や庭木の剪定枝は毎年堆肥にしています。生ゴミもコンポストで堆肥化しているので生ゴミの量も少なくなります。

良質な堆肥中のカブトムシの幼虫 クマネズミの遺骸

12月 7日 家の自転車置き場の隅にクマネズミの遺骸がありました。昨日の冷たい雨にうたれて皮毛はずぶぬれの状態でした。クマネズミはドブネズミ同様に民家に生息するネズミですが、ドブネズミとの違いは体が小さく、尾の長さが頭胴長よりも長いのが識別ポイントです。天井裏を走り回っているのは、このクマネズミです。

普段見る機会はありませんが、我が家の住人として住んでいたようです。

12月 8日 午後から冷たい雨が降って来ましたが、堆肥を入れているビニール袋の中にクビキリギスが入っていました。「クビキリギス」はキリギリス科クサキリ亜科の仲間で餌のない時期にどのように過ごしているのか疑問ですが、成虫で冬眠し冬越します。

 南町2丁目周辺を42羽以上のオナガが電線や林などにとまり活発に活動していました。八幡木中学校脇の毛長川ではダイサギが1羽採餌をしていました。

12月 9日 朝から降雨に続いて小雪がぱらつきましたが、午後から奇麗に晴れ上がりジョウビタキの雄が飛来しました。残り柿にはメジロとスズメが交代で飛来しています。

12月10日 旧芝川の野鳥観察に出かけました。カモ類の種類数や個体数は11月と殆ど変わりませんでしたが、珍しくオオバンがいました。カルガモ(24)、コガモ(雄10、雌24)、ヒドリガモ(雄3、雌4)、キンクロハジロ(雄3)、オナガガモ(雄16、雌10)、その他カワウ、カワセミ、オナガ、ヒヨドリ、ハクセキレイ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ダイサギ、コサギ、ドバトなどが見られました。12月に入ってもウラナミシジミとヤマトシジミの2種類の蝶が飛んでいました。

12月13日 鳩ヶ谷中央病院庭のドウダンツツジとモミジが紅葉真っ盛りで、見応えがあります。近くの民家では寒椿が塀から外へあふれ出て見事に開花しています。咲いている花も見事ですが、落下した花の絨毯も見応えがあります。周辺ではシジュウカラやメジロが飛び回っていました。暖かいと小鳥類も活発に活動しています。

庭のブロック塀の上をハラビロカマキリが歩いていました。

ドウダンツツジとモミジ各種

12月15日 隣家の柿の木にオナガ数十羽が群れており、賑やかに柿の実を啄んでいました。オナガに混じり漸くツグミ2羽が姿を見せてくれました。今までは殆ど通過だけでしたので、やっと冬本番という感じです。

12月17日 風が冷たい1日でしたが、毛長川ではキンクロハジロ21羽が今冬初めて観察されました。オナガガモ雌1羽もキンクロハジロに混じっていました。江川ではオナガガモ(雄2、雌3羽)とカルガモ5羽が仲良く採餌していました。

見事な寒椿 柿の木に来たツグミとオナガ

12月20日 湧水公園では今日もカワセミがフェンスや棒杭などにとまりサービスをしてくれました。流石に厳冬期には子供達や散歩する人も少ないようで、カワセミは自由に飛び回っていました。増殖していたコウホネも今は枯れて開水面が見えるようになってきました。

 隣家の柿の木には、500個以上の柿が残っており、今日も各種の野鳥が集まっています。最大勢力はオナガの50羽、次ぎにヒヨドリ、ツグミ、ムクドリ、スズメの順です。

他にはメジロ、ジョウビタキが顔を出しますが、ジョウビタキは全く柿には見向きもしません。

12月21日 風が冷たい一日でしたが、庭のアメリカスミレサイシンが鮮やかに開花しました。外来産の園芸種ですが花の少ない時期には嬉しいですね。日本産のスミレに比べて蔓延るのも早いようで、根から上が持ち上がるように高くなり増えていきます。春になれば、ツマグロヒョウモンの幼虫の餌には絶好のようで、幼虫が数匹見つかります。

12月22日 江川でカルガモ2羽、オナガガモ(雄5、雌3羽)、コガモ(雄1、雌2羽)が採餌していました。江川でのコガモは今冬初記録です。

12月26日 鳥仲間から今年は鳥が少ないという連絡が多く、特にツグミの個体数が少ないようです。例年関東地方では11月初めに夜空を渡る声が聞こえ、少しずつ数が増え、下旬には普通に見られるツグミですが、この秋の渡来は大幅に遅れています。 12月下旬の今でも家の周りでは3羽見たのが最大羽数です。

今朝玄関の戸を開けるとオナガの遺骸がありました。特に外傷もなく健康状態も見た目には良好でしたが、ネコに襲われて玄関の戸に激突したのかも知れません。裏庭に埋葬しました。

12月27日 旧芝川の野鳥観察に出かけました。カモ類はカルガモ(17)、コガモ(雄10、雌18)、ヒドリガモ(雄11、雌12)、キンクロハジロ(雄3、雌1)、オナガガモ(雄37、雌20)、ホシハジロ(雌1)、その他オオバン3、ヒヨドリ、ハクセキレイ、ハシボソガラス、アオサギ、ドバトなどが見られました。

12月29日 家の周囲の日溜まりでハルノノゲシが数本開花しています。黄色のタンポポのような感じの花ですが、少し小型です。寒い時期に咲いてくれるのは心温まる感じがします。

 

鳩ヶ谷から消えた生物・消えつつある生物 54

   コムラサキ(タテハチョウ科コムラサキ亜科)

路上の水分を吸水するコムラサキ

中型のチョウで南西諸島を除くほぼ日本全国に分布しています。オオムラサキのような派手さはありませんが、写真のように雄の翅の表面は美しい紫色に輝くので、この和名がつけられており昆虫学者の高千穂宣麿の命名とされています。幼虫はヤナギの葉を食べ、成虫はゴマダラチョウなどと同じようにエノキなどによく飛来します。鳩ヶ谷地域でも時々は観察される機会がありますが、ずいぶん減少しました。このように美しい蝶を身近で見ることが出来るような環境作りをしていきたいと思っています。

 

地球温暖化を考える(45)

 

仮称・はとがやの湧き水の里に関連して(7)

 冬枯れの湧水公園ですが、ラクウンショウの紅葉が奇麗です。11月に除去したアマゾントチカガミも枯れてきて、かなり土になじんできたようです。コウホネが枯れ、アマゾントチカガミが除去されたことで、開水面が広がりカワセミが常連となりました。このカワセミは雄ですがいずれは雌も飛来するのではないかと期待しています。隣接する竹林の斜面で繁殖してくれることを期待していますが、常連さんになってくれただけでも大歓迎です。鳩ヶ谷の中心地域でカワセミが生息しているだけでも進歩です。

 ハクセキレイやキセキレイも飛来してくれていますので、今後はカモ類が飛来するような環境作りが必要ですが、それには面積が必要ですね。

 菖蒲田の上には、イタチが徘徊した足跡が残っていました。狭いながらも、それなりに生態系が維持されているようです。

池の周囲に積んだアマゾントチカガミ 紅葉したラクウンショウ
中央の棒杭に留まるカワセミ(簡易デジカメで撮る)  枯れてきたコウホネ
カワセミの♂(上下の嘴が黒いのが特徴)

 

2011年度に観察された生物

 

動物:  ハクビシン、タヌキ、アライグマ、イタチ、クマネズミ、アブラコウモリ、シマヘビ、トカゲ、カナヘビ、ヤモリ、クサガメ、ミシシッピーアカミミガメ、ウシガエル、メダカ、モツゴ、ハゼの仲間、コイ、ヌカエビ、テナガエビ、アメリカザリガニ、サカマキガイ、ミスジコウガイビル、オニグモ、ナガコガネグモ、ジョロウグモ、ワカバグモ、ネコハエトリ、マミジロハエトリ、ササグモ、ギンメッキゴミグモ、アリグモ、ワキグロサツマノミダマシ、ウズキコモリグモ 、ジグモ(34種類)

野鳥:  カイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、ゴイサギ、コガモ、カルガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、キンクロハジロ、オオバン、オオタカ、ハイタカ、イソシギ、ヤマシギ、セグロカモメ、ユリカモメ、キジバト、ヒヨドリ、カワセミ、ツバメ、ハクセキレイ、キセキレイ、ツグミ、アカハラ、シロハラ、ジョウビタキ、ウグイス、メジロ、シジュウカラ、アオジ、スズメ、コムクドリ、ムクドリ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス(39種類)

昆虫類: ナミアゲハ、キアゲハ、アオスジアゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハ、ナガサキアゲハ、モンキアゲハ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、キチョウ、キタテハ、アカタテハ、ヒメアカタテハ、ルリタテハ、ツマグロヒョウモン、ゴマダラチョウ、アカボシゴマダラ、コミスジ、キマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、ヒメジャノメ、ミスジチョウ、ウラギンシジミ、ルリシジミ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ウラナミシジミ、ムラサキツバメ、ビロードハマキ、チャハマキ、クロシオハマキ、オオスカシバ、キイロスズメ、セスジスズメ、ホシホウジャク、カノコガ、ウメエダシャク、マエアカスカシノメイガ、モンキクロノメイガ、ヨツモンマエジロアオシャク、スジモンヒトリ、キマダラヒトリ、ヨトウガ、ハスモンヨトウ、クロメンガタスズメ、シモフリスズメ、シマケンモン、トビイロトラガ、ニセオレクギエダシャク、タケノホソクロバ、エゾギクトリバ、アカキリバ、アオイラガ、カブトムシ、コクワガタ、スジクワガタ、コフキコガネ、ドウガネブイブイ、アオドウガネ、シロテンハナムグリ、ビロードコガネ、コガネムシ、センチコガネ、アカビロードコガネ、アオオサムシ、キマワリ、サビキコリ、コメツキムシ、コアオマルガタゴミムシ、マルガタゴミムシの仲間、ヨツボシゴミムシ、ナガゴマフカミキリ、オニヤンマ、ギンヤンマ、オオシオカラトンボ、シオカラトンボ、コシアキトンボ、ノシメトンボ、コノシメトンボ、アキアカネ、ショウジョウトンボ、キイトトンボ、アジアイトトンボ、マダラガガンボ、キイロホソガガンボ、クサカゲロウ、アメンボ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ニイイニイゼミ、ツクツクボウシ、ミツボシツチカメムシ、マルカメムシ、ハラビロヘリカメムシ、ヨコヅナサシガメ、クサギカメムシ、ウズラカメムシ、ナガメ、ヒメナガメ、アミメアリ、クロヤマアリ、クロオオアリ、オオヒラタエンマムシ、スグリゾウムシ、コクゾウムシ、クロフヒゲナガゾウムシ、トホシクビボソハムシ、セアカクビボソハムシ、クロウリハムシ、キイロナガツツハムシ、キバラルリボソハムシ、サンゴジュハムシ、ニジュウヤホシテントウ、ナナホシテントウ、キイロテントウ、セイヨウシミ、オオキマダラヒメガガンボ、セイヨウミツバチ、クマバチ、アシブトハナアブ、キイロスズメバチ、オオスズメバチ、キアシナガバチ、フタモンアシナガバチ、チュウレンジバチ、ハラナガツチバチ、キンンケハラナガツチバチ、オオモンンクロベッコウ(オオモンクロクモバチ)、オオシロフベッコウ(オオシロフクモバチ)、キバネオオベッコウ(ベッコウバチ)、ニホンヒゲナガハナバチ、ベッコウバエ、オオクロバエ、キボシアシナガバチ、トックリバチ(ミカドトックリバチ)、マガリケムシヒキ、コンボウヤセバチ、ネズミモチハバチ、ニホンカブラハバチ、ニホンミツバチ、ツリアブ、コンボウアメバチ、センチニクバエ、キバラヒラタアブ、ルリハナアブ、シマハナアブ、シマバエの仲間、クビキリギス、ツユムシ、ハラオカメコオロギ、ウスグモスズ、サトクダマキモドキ、オンブバッタ、ハラビロカマキリ、オオカマキリ、コカマキリ、ウマオイ、アオマツムシ、トウネズミモチハマキワタムシ、コミカンアブラムシ、ムギワラギクオマルアブラムシ、クロアワフキ、シロオビアワフキ、トウキョウヒメハンミョウ(158種類)

植物:  セイヨウタンポポ、カントウタンポポ、交雑タンポポ、ノボロギク、コオニタビラコ、ヒメジオン、ゲンペイコギク、タカサブロウ、アメリカセンダングサ、タチツボスミレ、ツボスミレ、アメリカスミレサイシン、タネツケバナ、ナズナ、オランダガラシ、セリ、ホトケノザ、キュウリグサ、ハナイバナ、カラスノエンドウ、コハコベ、ハハコグサ、ウラジロチチコグサ、オランダミミナグサ、タガラシ、オオカワジシャ、オオイヌノフグリ、タチイヌノフグリ、スズメノカタビラ、ツクシ、ホウチャクソウ、ウラシマソウ、ムサシアブミ、カラスビシャク、ムラサキケマン、キケマン、菜の花、ムラサキハナナ、ユキヤナギ、サンシュウ、マンサク、キズイセン、ウメ、ロウバイ、ミツマタ、ベニアセビ、ソメイヨシノ、クサイチゴ、ベニコウホネ、ナガミノヒナゲシ、ヤマブキ、ドウダンツツジ、ゲッケイジュ、チョウジソウ、ニリンソウ、キンラン、ギンラン、アカバナユウゲショウ、アメリカフウロ、カラタネオガタマ、アメリカオニアザミ、コバンソウ、エノコログサ、カルドン、ヒルガオ、ハゼラン、イシミカワ、アカネ、ホウズキ、キンモクセイ、ボタンクサギ、ゲンノショウコ、ヒナタイノコヅチ、ミソハギ、ムクゲ、ヤブミョウガ、カラスウリ、アマゾントチカガミ(ドワーフアマゾンフロッグピット)、ホテイアオイ、トウネズミモチ、カラムシ、ジュズダマ、チカラシバ、エノキグサ、オヒシバ、メヒシバ、アブラススキ、シロザ、スズメノヒエ、アキノエノコログサ、ブタクサ、ニワホコリ、ヒメムカシヨモギ、ミズヒキ、キンミズヒキ、オニドコロ、ヒガンバナ、ハギ、タイワンホトトギス、フジバカマ、センダングサ、クヌギ、コナラ、モミジ、寒椿(104種類)

 

鳩ヶ谷博物誌を初めて8年、今までに記録された植物311種、昆虫類424種、野鳥・動物など142種で合計877種類となりました。特に昆虫類は我が家の庭での観察記録が大半を占めています。自然環境が極端に悪化した鳩ヶ谷市内ですが、注意してみれば多くの多様な生物が生息していることに改めて驚いています。